2012年2月6日月曜日

地域医療の行く先

先日、医療過疎の進む沖縄の八重山諸島からこの様なニュースが入ってきました


八重山病院 産婦人科医めど立たず
2012年1月31日
【八重山】県立八重山病院が産婦人科医不足で3月中旬から出産を受け付けられない可能性が出ている問題で、松本廣嗣院長は30日、順天堂大など複数の大学や医療機関、個人などと交渉しているものの、医師確保にめどが立っていないことを説明した。八重山の医療を守る郡民の会が同日、松本院長を訪ねて現状を聞いた。竹富町議会と与那国町議会も同日、産婦人科医確保を求める意見書と要請決議をそれぞれ全会一致で可決した。
  松本院長によると、複数の医療機関に産婦人科医の派遣を要請したり、退職予定の医師に残留を求めたりしているが、30日までに具体的な回答はなく、4月以降の医師確保にめどは立っていない。  八重山病院は眼科、神経内科、血液内科も不在で、週に1回他の病院から医師を派遣してもらい外来診療を行っている状況も明かした。
  八重山の医療を守る郡民の会の宮平康弘会長は「産婦人科医がいないと安心して住むことができない。定住できず過疎化が厳しくなるのは火を見るより明らか」と事態を危惧。「長い間勤める地元出身の医師を増やすなど安心できる状況をつくってほしい。医師確保は一義的に県の役割だが、私たちも協力する」と強調。産婦人科医など専門医が不足しないよう、医師定員増加などを求める要請書を八重山市長会などに送った。



さて、まずこの八重山病院なのですが、石垣島にあり、西表島を含む近隣諸島の中核病院のようです
石垣島だけで4.5万人の人口があるので、普通に本州の自治体病院レベルは要求されるところですね
HPをみたところNICUもあるようで、産科も分娩件数年620件(帝王切開153件)となっていて、なかなか数はあるようです
外来表には6人のDrの名前が確認できます
また、2010年から助産師外来も開かれており、立地から考えるとかなり潤沢な人的資源があったと思われます

…が、それが突然、



当院での出産を検討している皆さまへ
2012年01月25日 投稿
 産婦人科医師の不足のため、平成24年4月より9月までの間、当院での出産が困難になる恐れがあります。
 この間出産予定の皆様におかれましては、下記の対応策を参考に、他の医療機関での出産をご検討いただきますよう、お知らせします。
 <対応策>
 他の地域で里帰り出産をする。
 八重山病院での里帰り出産を取りやめる。
 他の医療機関に紹介してもらい、36週未満までに移動する
 当院では引き続き産婦人科医師確保に努めてまいります。
 今後、状況が変わり次第、お知らせしてまいります。


となっています
過去の記事等を調べると、もともと九大の関連だったのが、打ち切られて、他の県立病院や県外医療機関からの応援+自前でもっていたようですが…
普通に考えると、常勤の産科医がかなり転出することになったのでしょう
なんでそんなことになったのかについては、いささか気になるところですが

この件は結局



要請団に県が報告 医師4人の診療体制を継続
【那覇】八重山病院産婦人科の医師不足問題で、県病院事業局の伊江朝次局長は3日午後、関係医療機関から指導医を含む産婦人科医2人の派遣が決まり、医師確保のめどが立ったことを明らかにした。伊江局長によると、新任医師は5月から勤務。心配された同病院の産科医不足問題は、医師確保が決まったことで、5月以降も4人の医師による出産医療体制が継続し、出産ができることになった。
伊江局長は、同日午後に県庁で八重山市町会と3市町議会、八重山の医療を守る郡民の会、市女性団体ネットワーク会議が行った要請に応えたもの。
要請に対応した仲井真弘多県知事は「医師確保のめどがついたと伊江局長から連絡をもらっている。詳細は近くまとめて発表したい。いい答えになると思う」と述べた。
伊江局長は、医師派遣を要請していた医療機関からこの日、了承を得たという。要請団には、地元出身医師を養成する重要性を指摘。地域での受け入れ態勢の在り方にも触れ「八重山圏域でお産ができる病院は八重山病院のみで、産婦人科医は最低でも4人体制を守る必要があると考えている」と述べた。
産科医不足問題には「八重山の妊婦や関係者に心配をかけたが、全国的にも数が少ない産婦人科医を確保する上ではこれからも起こりうる問題。引き続き医師確保に全力を尽くしていきたい」と語った。
市議会の伊良皆高信議長は「安心した。県も苦労しているが、郡民約5万5000人の良い医療環境をつくっていきたい。今後も配慮してほしい」、八重山の医療を守る郡民の会の宮平康弘会長は「尽力に感謝したい。八重山は都市地区とは別の医療体制で、医師定員を増やすことを検討していただければ」とそれぞれ語った。
要請団は、産婦人科医確保や他分野での慢性的な医師、看護師不足の現状を訴え、その改善なども要望した。仲井真知事、伊江局長、県議会の高嶺善伸議長はいずれも積極的に協力していく姿勢を示した。



というわけで、他の県立病院からの派遣を増やすことで当面の解決をえたようです
…とはいえ、他の県立病院も余裕があるワケじゃないですからね

こういう「白い巨塔」時代の医局の様な無茶な人事が続くと、若手医師や学生から県立病院群が嫌われるでしょうしね

地域枠がそろそろ実戦投入される頃合いですが、それもどこまで効果があるのかは、甚だ疑問です
日経メディカルから、アメリカの医療に関する記事ですが、アメリカにもマイノリティ向けに「地域枠」があるようですが、ほとんど効果は上がってないようです



2012. 1. 31
大都会の医療“過疎”地で起こっている悪循環
<略>
「黒人医師は、ここのような都会の医療過疎地のクリニックでは働きたがらない」との答えでした。マイノリティー(黒人やヒスパニック)の医師の大半は貧困層出身者。彼らが自分の出身地に戻ってマイノリティーの医療を改善するという狙いで、affirmative action(※1)が存在しています。にもかかわらず、医療格差の改善は実現されていない。明確な裏付けはないものの、「もともと経済的に苦労して育ってきた人が、医師になって研修を終えて、わざわざ収入の低い職場を選ぶことはない」(指導医)という理由が推測されるそうです。
※1 affirmative actionとは、underrepresented minoritiesに対して平等なチャンスを与えるための優遇措置で、1960年代に始まりました。例えば、黒人やヒスパニックの医師は人口比率に照らしてかなり少なく、この状況が医療格差に関係してくるのではないかという指摘があります。そのため、メディカルスクールなどが入学志願者を選考する際、簡単に言えば、同じ学力の白人・アジア人・黒人がいれば、黒人を優先的に合格させることが許されています。こうした措置は今も国家レベルで広く行われていますが、逆差別につながりかねないという反対意見もあります。
<略>
医療過疎地となっている地域の住民は無保険者または公的保険(メディケイドやメディケア)の対象者であることが多く、そのような患者層を対象にクリニックを経営することは、少なくとも普通の医師にとっては、国や州からの助成金がない限り不可能なのです[1、2]。したがって、医療過疎地は固定化されることになります。 
<略> 



実際、日本では収入の格差はそれほどではないものの、大都市出身者が地方に出て大都市に帰るのに比べて、地方出身者が大都市に出て地方に帰る率は少ないように思います

これに対して、国や読売新聞は医師を強制配置するシステムを考えていますが、民間人に過ぎない医師に居住の自由を侵害するのは普通に憲法違反です
医師会が強制配置するドイツは、医学部定員割れ+優秀な医師・学生は海外or企業流出という状況です

要はこの問題って、世界レベルで解決できてないんですよねぇ
ただ、客観的にいって、ハイリスク分娩やNICUってのは、本来的にはとんでもない贅沢です

産科だけではないです。医療が高度化するに従い、集約化と医療格差は広がざるをえません
医療が消失する…というよりは、元々の姿に戻る、というべきでしょうか
あと20年もして高齢者がいなくなり限界集落ばかりとなれば、なおのことでしょう
先日いった五箇山の「残ったのは8世帯」という状況が、日本中で生まれるでしょう

医療は空気や水ではないということを思い出して諦めてもらう時代が、もうそこに来ていると思います

2011年12月24日土曜日

診療報酬その後

診療報酬の争いですが、
「診療報酬本体」+1.379%「薬価・材料費」-1.375%=「診療報酬全体」+0.004%
というわけで、綱引きはど真ん中で決着したようです

この決着は、大局的な長期政策ではなく、民主党内部の政治的駆け引きという感じのようです


診療報酬プラス改定「最後は官房長官判断」- 安住財務相
 安住淳財務相は22日の閣議後の記者会見で、2012年度診療報酬改定の改定率が全体(ネット)で0.004%の引き上げで決着したことについて、「最後は(藤村修)官房長官にご判断いただいた。それはやむを得なかった部分もある」と述べた。

この官房長官ですが、まったく名を知らなかったので経歴をみたところ
2009年、ネクスト厚生労働大臣
2010年、菅第1次改造内閣で厚生労働副大臣(大臣は細川律夫)
というわけで、 野田グループではあるものの、立場的には野田内閣と民主党の中継役というところでしょうか
もしかしたらマニフェストの作成に関与していたかも知れません

で、この0.004%の評価ですが、


プラス改定「医療を守っていく姿勢示せた」- 小宮山厚労相
この政権として医療をしっかりと守っていくという姿勢は示せた」と述べた。一方、プラス改定となったことで国民負担が増加することについては、「国民の負担がどういう形でどこに使われて、それが今の医療の体系の維持にどう役立っているかを分かりやすく説明しないといけないが、安心してお産ができるようになったり、小児科医不足が解消したりすることに結び付くことが分かれば、納得していただけると思う」と強調した。

 日医原中会長、プラス改定は「95点」
 日本医師会は22日、緊急記者会見を開き、2012年度診療報酬改定の改定率が全体(ネット)で0.004%の引き上げで決着したことについて、医師の疲弊や地域医療の崩壊を食い止めるものと評価する見解を発表した。同会の原中勝征会長は、「(100点満点で)95点くらい」とプラス改定の実現に高い点数を付けた。
 日医の見解では、「医師の疲弊、産科医療・小児医療・救急医療など、地域医療の崩壊を少なからず食い止めるものと確信している」と診療報酬のプラス改定を評価。

0.004%アップ ネット上の声さまざま- 「財務省を押し返した」「横ばい」
 長妻昭・元厚労相は「今回の改定でもほんの少しプラスになり、医療立て直しの歩みを続けることができた」と評価。山井和則・元厚労政務官も「診療報酬は二回連続、政権交代のあと、ネットプラスとなり、マニフェストを実現できた」。
 厚労省の幹部は「数字の前の符号は大事なんです」と、小宮山洋子厚労相の成果を強調した。


なんつーか、自演乙wって感じです
日医も、原中氏も結局は政権べったりになって、とても専門家集団とは言えない有様です
これに対して、当たり前ですけど、世間の声は冷たいです


 ただ、一般の人たちの書き込みには、「そこまで小数点以下の改定率にするか。辛うじてプラスだけど、四捨五入すればプラマイゼロ?」「企業だとこんなの横ばいと言うんです」といった厳しい意見が目立つ。
 医療系業界誌のある記者は、「プラス改定ともとれれば、プラスマイナスゼロ改定ともとれ、長期収載品の引き下げ分を引けば実質はマイナス改定でもある。どうにでも解釈できる」とつぶやいた。


とまぁ、要は解釈次第でどうともとれる玉虫色の結果です

つーか、+0.004%っていくら増えるのよ?
医療費を40兆円(厚労相発表)として、0.004%っていくら?
ちょっと計算してみましょう
(4*10^13)×(4×10^-5)=16*10^8
16億しかねぇじゃん!


どうみても、横ばい以外のなにものでもないですね

これで「安心のお産」「小児科医不足対策」「地域医療崩壊阻止」ができると?
年末ジョークにしてはきついですねぇ


数字上の解釈はどうあれ、現場の現実はただ1つです
戦線が膠着状態であるならば、戦線維持という言い訳が立ちます
戦線が回復しつつあるならば、彼らが主張する通りでしょう
しかし、前回改訂で医療費を少々増やしたところで、状況は好転しましたか?しませんでしたね?
だって、自民党政権下では社会保障分野は毎年2200億円減ってましたから

この結論は、現在崩壊している戦線に援軍を送らないと言うことです

医療崩壊は、あと2年は続きますね

まぁ、2.3%引き下げを+-0にまで持ち込んだ長妻元厚労大臣には、お疲れ様でしたとは言っておきましょう
でも、ここで「まだ足りない」といえない当たりが、やはり派閥・官僚政治の限界なのでしょう

2011年12月18日日曜日

境界線上の診療報酬

昨今にしては珍しく、与党内でまったく意思統一が図れていない診療報酬のお話

まず、各陣営の現在の立場を明確にしましょう


1.厚労相
「本体切り込みはあり得ない」
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/36225.html
小宮山洋子厚生労働相は16日の閣議後の記者会見で、2012年度診療報酬改定をめぐり来週から始まる閣僚折衝に臨むスタンスについて、「(診療報酬の)本体を切り込むということはあり得ない」と述べ、本体マイナスを主張する財務省をけん制した。
  小宮山厚労相は、診療報酬への基本的な考え方について、「診療報酬は本体と薬価があるが、薬価は下がる。その辺の見合いとかある。政策目的がきちんと達成できるような方向で、厚労省として当然、主張していく。命にかかわることなので、考えは貫いて各方面に説明する」と語った。

2.財務省
診療報酬本体下げ方針「来週も変わらぬ」- 安住財務相、「ネットプラス論外」
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/36227.html
安住淳財務相は16日の閣議後の記者会見で、2012年度診療報酬改定での本体部分の改定率について、「さまざまな社会状況を勘案すれば、プラスにするのは難しい。その考えは来週になっても変わらない」と述べ、来週に予定している小宮山洋子厚生労働相との折衝でも引き下げを主張する方針を示唆した。診療報酬のネット(全体)でのプラス改定については、「論外」との認識を示した。
  安住財務相は、「経済界や労働組合、市町村、中小企業の意見を聞いているが、診療報酬を引き下げるべきだということを皆言っている。国民負担にも直結する」と指摘。さらに、「医療環境を改善するため、わが党もこの1、2年大変努力してきた。経営の改善が見られた病院も数多くある」と述べ、引き下げ方針の正当性を強調した。

3.民主党(座長=長妻昭衆院議員
診療報酬の改定率、「前回以上」を
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/36237.html
決議文は、▽診療報酬本体とネットで、10年度改定を下回らない報酬の引き上げ▽急性期の医療機関への継続的な対応と、在宅療養の充実を目指した中小病院、有床診療所などへの一層の対応▽医薬品産業の成長を阻む要因となる長期収載医薬品の過重な引き下げや、原価割れ問題への対応▽現状の介護報酬水準に加え、介護職員処遇改善交付金分(2%)以上の報酬引き上げ▽7区分に再編される介護報酬の新たな地域区分の見直しについては、現行報酬より引き下がる地域が発生しない対応-の5項目。
厚生労働省との折衝で財務省側は、12年度の診療報酬改定の改定率に関して、本体部分を1%程度、先発医薬品の薬価を10%程度それぞれ引き下げるよう求めており、決議文はこれをけん制したものだ。
梅村聡副座長によると、この日の会合に出席した36人の議員のうち、9割がプラス改定を目指す方向性に賛同したほか、薬価の大幅な引き下げに懸念を示す声も多かったという。
 09年に閣議決定された新成長戦略では、20年度までに医療・介護分野で280万人の新規雇用の創出を掲げているが、報酬の引き下げでは働き手を増やすことが困難なため、プラス改定を目指す方向で一致。野田佳彦首相(当時財務相)自身が党代表選前、「基本的にマイナス(改定)はない」と発言していることから、それを守るよう求める意見もあった。





さて、まず三者の立場ですが、これが少々面白いものとなっています


右派:民主党
左派:財務省
中道右派:厚労省

であり、党と厚労省の本来の位置が逆転しています
というわけで、これだけみると長期目標としては厚労相と民主党は一致しており、党と厚労省は診療報酬引き上げで一致しており、財務省が孤立しているようにも見えますが、発言内容を慎重に見ると、実は孤立しているのは民主党になっています



…と、その前に解説を少し挟みましょう
まず、「診療報酬」には狭義と広義があります

「狭義の診療報酬」はここで言われている「本体」、つまり医行為に対する診療報酬で
「広義の診療報酬」は「医行為+薬価」です


で、ここで本題に戻ります
民主党は「広義の診療報酬=医療費」upを要求していますが、
厚労相は「狭義の診療報酬」keepにしか言及しておらず、「広義の診療報酬」については沈黙によってdownを認めているのです
よって、厚労相と財務省=内閣は診療報酬downで一致していると言えます


実は財務相の発言は「平行線戦術」であり、議論をしていません(故に今回のブログのタイトルとなっていますw)
これは、時間切れによる没交渉を狙う交渉戦術です
…ええ、戦術です。断じて戦略ではありません
これは「議論を行わないこと=時間稼ぎが勝利条件」であるときにのみ使われる必勝戦術です
(ちなみに、今週それを双方意図的にやっているのが野田首相とイ・ミョンバク大統領だったりします)


また、厚労相が用いているのは「前提のすり替えによる誘導」です
狭義において相手と自分は一致しているようにみせて、実は広義においては対立関係であるわけです
要は、詐欺師の戦略です
この状況に陥ると議論はまず平行線となるため、平行戦術の前準備としても使えます
(また、終わらない議論がしばしば発生するのは、意図せずに「前提のすり替え」が行われていて、広義で一致しても狭義で対立していることに気づいていないということがほとんどです)

今回の最低なところは、自民党下の財務省ですら、医療費国亡論という仮説を用いて長期戦略として診療報酬削減を国是としたのに対し、現財務相は来週のことにしか言及せず、長期戦略を盲目にすることで診療報酬削減を目指していることです


これに対する正道は、議論のゴールを相手に要求し続けることで、長妻氏は正解です
ただし、この正道は決着をつけることを双方が求めている場合にしか有効ではありません
財務相と厚労相がやっている議論の拒否は、ディスカッションとしては負けない(ただし勝てない)戦術ではありますが、末期の自民党政権ですら診療報酬upを目指さざるを得ないくらいに疲弊した医療現場に対して、この時間稼ぎは敗北条件以外の何者でもありません
というか、野田内閣は福祉国家として敗北することを勝利条件にしている…としか考えようがありません


結局のところ、この診療報酬の議論は、実は内閣と民主党の対立が1つの形を伴って表面化しただけのモノと言えます
今回は、「官僚政治をぶっ壊す民主党」と「財務官僚主義の首相」の対立と言えるでしょう
最近、鳩山氏や小沢氏が野田首相叩きに急に躍起になっているのをみれば明白ですが、TPPを期に、内閣の親中対米から親米対中路線への切り替えは表面化しました
診療報酬についても、まだ場外戦が発生する可能性があります


ただ、現場の意見として1つ言わせてもらうなら、「医療の充実」を行うのであれば民主党方針しかありえません
医療費というのは軍事費と同じで、相対的に同じレベルを維持するなら自然増するものです
診療報酬を維持するだけでも、国際比較では医療は後退しているのです
診療報酬引き下げともなれば、医療レベルの後退は必至です
そして、一度後退したものを再度引き上げるには、実現不可能と思えるほどのコストを覚悟する必要があります
つまり、診療報酬を引き下げるのであれば、「医療に対してもうなにも求めない」ことが前提として必要であり、それこそ「国民感情」に反するものであります

内閣には、是非ともまず、最終目標を示して頂きたいものです


2011年11月14日月曜日

TPPと医療制度

どうにも情報の混乱している今話題のTPPと混合診療の問題について、少しまとめてみたいと思います
その前にTPPってなによ?というところを整理する必要がありますが、実はこれが難問です


まず、ネットや本屋を漁っても、TPPの条項を引用した上で中立的に分析したものはまったくありません
何せ、基本理念以外なにも決まってないor公開されていない物だから仕方ないかも知れませんが…

経済を専門とする親父殿に聞いても、

「各国ごとにFTA結ぶのめんどくさいから、まとめて一緒にやろうぜ!」

というのが本来の目的であり、参加国の制度まで踏み込むものではない、という程度の情報しかありませんでした
ただ、逆に言えば仮に医療制度にまで踏み込んだ要求をされたところで

「お前のいいたいことはわかった。だが断る!」

で十分であり、TPP加入=混合診療解禁とか保険医療崩壊とかいうのはありえないとのことでした
そういうわけなので、首相が記者会見や国会で

「世界に誇る日本の医療制度、伝統文化、美しい農村は断固として守り抜く決意だ」

と明言したのは十分なジャブで、現時点ではこれ以上の回答はあり得ないでしょう
(守るのは農業じゃなくて農村かよという突っ込みはこの際スルーします)


ただ、業界そのものが経営危機にある米国の先発薬メーカーは、TPPに乗じたロビー活動を展開しているのは事実で、各国に対し先発薬の知的財産保護とジェネリック抑制を要求しており、ニュージーランドとオーストラリアは防戦に回っているようです
http://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=1742044

しかし、これはTPPを避けたからと言って逃げられる問題ではありません
また、国際的な特許争いはIT業界では日常茶飯事であることを考えれば、医薬品の特許争いが起きることも避けられないでしょう
先発やメーカーとジェネリックメーカーが、さながらAppleとSamsungのような訴訟合戦を起こす日が来るかもしれませんが、むしろTPPに参加することによって各国でスクラムを組んでアメリカに対抗することができるかも知れません

また、仮に米国の要求を部分的にでも呑むことになったとしても、これで変わるのは薬価制度です
薬に関税がどれだけかかってるかは知りませんが…まぁ医療費は上がるでしょうが、だからといって即、混合診療解禁というのは言いすぎです
実際、メリケンからしても、金持ちしか使えない薬を売るより、公的保険でみんなに使ってもらった方が売れますからねぇ…
医療費が上限まで来たところで、はじめて高負担高福祉にして高額療養費制度を拡充するのか、低負担低福祉の混合診療にするのかという議論が出てくるはずです

むしろ、今回は将来の日本の医療制度をどう設計するのかを議論するいい機会であり、平和憲法のごとく国民皆保険万歳というのは、間違いだと思います


TPPで直接的に問題になるのは、医療制度そのものよりもドラッグ・ラグ、デバイス・ラグでしょう
医療界のお偉方には、この機に乗じてこの問題を解決するぐらいの気概が欲しいものです


また、TPPとなると就労移民も問題となるという人もいますが、
これに関して、日本への流入は、良くも悪くも心配する必要はありません
労働時間と給与から考えて日本に来るうまみが全くなく、また既にEPAで日本に来ている東南アジアの看護師を見る限りでは、日本語の壁は想像以上に分厚いことは容易に想像できます。まして医師ともなればその比でないことは明白です


で、結局のところ、TPPで医療のなにが変わりそうかというと…たぶん、なにも現場的には変わりません
薬価や認可制度の変更はあり得そうですが、それ以上はTPPが肥大化しすぎます
文化や経済規模の近い陸続きのEUですら医療制度の統一はできませんでした
先進国から途上国、資本主義から社会主義までそろった北米と南米とオーストラリアとニュージーランドと東南アジアと日本がいるTPPで、まとめようがありません

2011年10月29日土曜日

マッチング2011と地域枠の行方

毎年恒例の初期研修医のマッチングが出ました
そろそろ地域枠の卒業者が出てくるはずですが、まだ数が少なかった時代のようでマッチング参加者自体は微減しています

また、県別に見ると被災した宮城、福島はもとより、東北の被災県よりも首都圏が激減しています
東京の40人減はまだしも、埼玉の20人減はクリティカルではないかと思うのですが、これも震災の影響でしょうか?
他の大都市圏でも減少が見られていますが、こちらは定員が減らされたせいもありそうです

軒並み上昇しているのは、日本中央部の山岳部と、九州ですね
大地震が少ない地域に固まっているのは、やはり地震のせいかもしれません
例年なら大都市に留まるメンバーが実家に帰ったのでしょうか?
http://www.jrmp.jp/koho/2011/2011kekka_koho.pdf


一方で、大学と地方で分けると、大学の減少は昨年以上です



研修医マッチング、進む大学病院離れ- 今年度の内定結果公表
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/35842.html

 医学生らの来年度からの臨床研修先を内定する今年度の研修医マッチング結果によると、大学病院に内定した人が占める割合は47.1%(前年度比0.8ポイント減)で、マッチングを開始した2003年度以降、最も低かった昨年度を下回り、過去最低を更新した。内定結果は、医師臨床研修マッチング協議会が10月27日に公表した。
 今年度のマッチングに登録した医学生ら8225人のうち、内定したのは7951人で、内定率は96.7%(0.7%ポイント増)。マッチングに参加した大学病院は115施設(1施設増)、基幹型臨床研修病院は906施設(9施設減)だが、内定者は大学病院が3746人(82人減)、基幹型臨床研修病院が4205人(35人増)だった。
 内定者数を都道府県別に見ると、「都市部」の6都府県では、前年度から1人増えた福岡の439人を除き、東京1369人(40人減)、神奈川577人(2人減)、愛知460人(29人減)、京都244人(21人減)、大阪612人(12人減)と軒並み減少。都市部以外の内定者が全体に占める割合は53.5%(1.1ポイント増)で、前年度に引き続き過去最高を更新した。
 内定者が前年度より増えたのは21道県で、増加数が最も多かったのは宮崎。前年度の30人から倍増の61人が内定した。厚生労働省の担当者は「病院のプログラムが評価を受けたのではないか」としている。
 研修医マッチングは、次年度から臨床研修を受ける医学生らと、研修病院のそれぞれの希望を事前に登録し、コンピューターで組み合わせるもの。双方の希望が一致すると内定先が決まる。今年度は9月15日-10月13日、希望の登録を受け付けた。今年度の研修医マッチングに参加した大学病院・基幹型臨床研修病院は1021施設だったが、来年度に臨床研修を実施するのは1026施設あり、研修医マッチングによらない方法で研修医を採用する病院もある。

■被災3県は軒並み内定者減
 宮城は、来年度の臨床研修の募集定員を前年度比19人増の173人に設定し、研修医マッチングでは170人分の内定枠を設けていた。しかし、内定したのは98人で、前年度比12人の減。岩手と福島の内定者は、それぞれ67人(3人減)と61人(17人減)で、東日本大震災で被害の大きかった3県の内定者数は、軒並み前年度を下回った。
 一方、東北地方で唯一内定者数が増加した秋田は、16人増の67人だった。


初期研修を行う意味をきちんと説明できず、明確に違法な労働状況を放置する大学を忌避する姿勢は明確に定着しました

これから来る定員増の世代が増えれば、割合としては減少しても絶対数自体は大学が増えるかも知れません
しかし、人的資源を相対的に喪失しつつある大学に、本来の役割を果たす能力が残るとはとうてい思えません

また、大学別のランキングを見ても黎明期の5年間とはまた違った流れができつつあるようです
印象としては、首都圏の私大は自学者の残存率を高めてマッチング率を上げています
一方でフルマッチの常連だった順天堂はその座を慈恵に譲っています
慶応も中堅が板についてしまった感じですね…
ブランドだけではない、中身のある大学改革を行えるかが今後の試金石になりそうです


ところで、先日の社会保障審議会で少々気になる会話が漏れ出しています



地域医療支援センターへの異論相次ぐ

 27日の会議ではそのほか、医療提供体制のうち、地域医療支援センターや在宅医療、療養病床について議論。
 地域医療支援センターとは、医師不足対策として厚労省が2011年度から予算化した事業。都道府県が「コントロールタワー」となり、地元大学や地域の医療機関と協力しながら、医師確保、医療機関への医師派遣などを行う事業。現在、9県で先行的に行われている。厚労省は、この地域医療支援センターを医療計画に位置付け、都道府県が責任を持って医師不足解消に取り組む体制を提案。
 だが、この案については、様々な視点から異論が続出。邉見氏は、「そろそろ都道府県に丸投げするのではなく、国が直接、実施しなければいけない。この10年、幾つかの取り組みがあったが、医師の地域偏在も診療科偏在も解決していない。マッチング的な強制的な取り組みなどを検討しないと、地域や診療科の偏在は一向に改善しない」と述べ、国の関与を求めた。
 中川氏は、各県の地域医療支援センターの多くが、数名程度の医師の派遣等にとどまっている現状を指摘、「ほとんど効果がなかったと読める。地域医療支援センターは、(行政の)自己満足ではないか。派遣する医師もいないセンターが機能するのか。根本的なことも議論してもらいたい。医師は、臨床研修を行った地域に残るケースが多い。研修の希望者と募集人数をほぼ一致させることが偏在解消策の一つ」とした上で、「医師不足の問題については、医学部教育、医師国家試験、臨床研修などを総合的に議論すべき」と指摘した。
 これに対し、厚労省医政局指導課長の井上誠一氏は、「この事業は今年度から始まったばかり。また各大学の地域枠の医学生が卒業するのは先のことであり、今後の取り組みをぜひ見てもらいたい」と弁明した。
 東京大学大学院教授の永井良三氏も、「若い医師の専門医志向があり、また今の日本の医療は多くの専門医を集めないと成り立たなくなっている。こうした点を根本的に変えていかなければいけない。そもそも今の専門医の養成の仕方でいいかという問題もある。地域ごとに専門医を養成していくなど、様々な問題を国レベルで考えるべき」と、総合的な検討が必要だとした。


地域医療支援センターの法的な立場はまだはっきりとしていませんが、他の医療者の発言に対して、厚労省の回答は明らかに浮いています
要するに、地方が若手医師に嫌われる根本原因には一切触れる気はなく、地域枠卒業者が増えれば自然と地域医療支援センターの参加医師は増え、医師不足は解消されるという考えととれますが、現時点ではそれを担保するネタはありません
これが脳内お花畑の妄想なのか、何らかのバックグラウンドとなる密約があるのかは現時点では想像することしかできませんが、マッチングで地方大の一人負けが続けば、大学の身売りもあり得るでしょう

2011年10月16日日曜日

文科省 2012年度概算要求


重症&急患ラッシュでしばらく休んでしまいましたが、再開します
来年度の概算要求で、文科省が不思議なことをしているようです

まず前半部からですが、正直よくわからないことになってます



文科省の2012年度概算要求で新規事業 
文部科学省が9月末にまとめた2012年度概算要求で、大学医学部・大学病院における医師の処遇改善や医師の養成に関して、幾つかの注目の新規予算が打ち出された。「医学部・大学病院の教育研究活性化および地域・へき地医療支援人材の確保」、「被災地等の復興に貢献する総合診療医の養成」などだ(予算の資料は、文科省のホームページに掲載)。
「医学部・大学病院の教育研究活性化および地域・へき地医療支援人材の確保」は、勤務医の処遇改善と地域の医師不足解消の「二兎を追う」施策。「大学病院では、予算の不足から非常勤で働く医師も少なくない。こうした医師を常勤で雇用して身分を安定させると同時に、週に1日や2日など、一定の期間は地方の病院に出向き、地域医療を担ってもらう際に人件費を補助する」(文科省高等教育局医学教育課)。 全国の79大学(防衛医科大学を除く)、約5人ずつ、計380人を対象とすることを想定。1人当たりの予算は400万円、計15億2000万円を要求。400万円から、事務経費等を除いた額が、医師の人件費の補充に使われることになる。 大学などから地域の病院への医師派遣については、厚生労働省が2011年度から「地域医療支援センター」を開始している。同事業は、都道府県が実施主体で、地域医療に従事する医師のキャリア形成支援と同時に、医師が不足する病院への医師の派遣調整・あっせん等を行うもの。現在、15カ所で実施されており、大学が同事業の中心となっている地域では、文科省の今回の事業と連携した実施も想定される。


まず最初に疑問なのですが、
「地域医療」の主管は厚労省か?文科省か?
内容の是非以前に、前提の部分で疑問を感じます

まぁそこのところに目をつぶるにしても、「大学病院の予算不足」は文科省の補助金の前に、厚労省の診療報酬制度で議論すべきところでしょう
そして、キャリアのある主力の医師が非常勤扱いされるのは、予算の問題と言うよりは大学の定員や労働環境意識の問題ではないのでしょうか?>労基署よ、仕事しろ!

根本的なところに突っ込みどころ満載なのですが、そこも無視して施策の部分だけ見ても、やはりおかしなことになってます
週に1~2回地域の病院に出向いている医師は、各大学5名だけですか?
今私がいる科だけでも5名以上出てますが…
まさか院内で補助金がもらえる医師を抽選するわけにも行かないでしょう

となると、この金は勤務医個人ではなく病院(まわりまわって本体の大学)に流れることになります
…とうてい、「勤務医の人件費の補充」に使われるとは思えません

それとも、文科省が直接命令できる医師を各大学5名つくると言うことなのでしょうか?
どうにも油断ができない事業です

さて、お次は後半です


総合診療医養成は、全国14大学で
 「被災地等の復興に貢献する総合診療医の養成」は、東日本大震災復旧・復興高等教育振興費の一環。「被災地での医療支援では、総合診療医が活躍し、その必要性が認識された」(文科省高等教育局医学教育課)。総合診療に関する教育、実習にかかる経費への予算として、5億6000万円を要求。1件当たり4000万円、計14件を対象とする予定。全国を7ブロックに分け、各ブロック2大学ずつで行う。医学部のどの学年を対象とするか、また1学年全員、もしくは一部に限定して行うかなど、要綱等は今後、検討する。
震災関連では、「被災者等の心のケアを行う専門医療人の養成」も行う。総合診療医の養成と同様の趣旨で、各ブロック1件ずつ、計7件(7大学)での実施を想定。要求額は、1件当たり4000万円、計2億8000万円だ。
地域医療の担い手養成の一方で、研究医の養成も目指す。それが「基礎・臨床を両輪とした医学教育改革によるグローバルな医師養成」。予算は5億5200万円。(1)医学・医療の高度化の基盤を担う基礎研究医の養成(14件、1件当たり2000万円)、(2)グローバルな医学教育認証に対応した診療参加型臨床実習の充実(20件、1件当たり1060万円)、(3)医学・歯学教育認証制度等の実施(医科1件で1件当たり4000万円、歯科1件で1件当たり2000万円)、の三つの事業を行う。
以上の新規事業のほか、医師の処遇改善の関連では、(1)大学病院人材養成機能強化事業(周産期医療に関わる専門的スタッフの養成、チーム医療推進のための大学病院職員人材養成システムの確立など):2010年度予算23億円⇒2011年度概算要求21億円)、(2)医師事務作業補助者(医療クラーク)等の雇用:2010年度予算21億円⇒2011年度概算要求21億円)、などが要求されている。


医学生を、今から、東日本大震災の被災地に送る総合診療医や精神科医として育成するってことでしょうか?実戦投入は何年後ですか?
それとも、単に総合診療医を増やすための方便なのでしょうか?

後期研修医に補助金を出すとか、初期研修医に総合診療医枠をつくるとかなら理解できるのですが、学生のうちから総合診療医として育てるとか、現状の教育システムとは明らかにコンフリクトしそうなのですが…

これに8億4000万…どうにも、金の使い方がおかしい気がします

2011年9月19日月曜日

日大練馬 その後

日大練馬の後継が決まったようです



日大練馬光が丘病院の後継は地域医療振興協会
 練馬区は9月16日、区議会の医療・高齢者特別委員会を開催し、日大が来年3月末での運営撤退を表明している練馬光が丘病院(一般病床342床)の後継法人として、公益社団法人地域医療振興協会を選定したことを公表した(関連記事:2011.9.8「日大が練馬の病院から撤退」)。区は今後、病院引き継ぎに関する協議会を設置して詳細を詰めていく方針だ。
 同病院は1991年の開設以来、一貫して支出超過が続いて2010年度の累積損失は90億円弱に達していたことから、日大本部が「この状態が続けば学校法人自体の存続も危うくなる」(広報課)と考えて撤退を表明していた。これを受けて練馬区は8月1日に後継法人の公募を開始。4法人が応募したが、運営方針などをまとめた提案書を提出する段階で2法人に絞られていた。その後、医療関係者や有識者で構成される選定委員会が2回にわたって審査した。
 その結果、(1)多数の自治体病院の運営を受託している、(2)運営を担っている東京北社会保険病院の分娩や救急受け入れの件数が練馬光が丘病院と同水準である、(3)小児・周産期医療を継続するために必要な医師数が提示されている―といった理由から、地域医療振興協会が後継法人に選ばれた。ただし、撤退の意思や引き継ぎ時の協力について、区が日大に確認することを求める付帯意見も付された。
 選定委員会の付帯意見を受けて区は9月14日に日大本部と直接話し合い、撤退方針に変更はないこと、現在の患者について責任を持って支援することなどを確認したという。最終的に区長の志村豊志郎氏が後継法人を決定した。
 16日の医療・高齢者特別委員会では、地域医療振興協会が常勤の小児科医15人、産科医5人を確保し、練馬光が丘病院と同じ水準の小児科・産科医療を確保する意向であることが示された。
十分な医師・看護師を確保できるのか危惧 練馬区が後継法人を選定したのを受けて同日、「日大光が丘病院の存続を求める区民の会」は会見を開き、地域医療振興協会の運営で従来の医療水準を維持できるのか懸念を示した(関連記事:2011.9.9「撤退表明の日大練馬光が丘病院、地域住民が日大の継続運営求める」)。
 その理由として、(1)同協会はへき地医療を中心とした地域医療の振興のために設立された法人で、日大が提供してきた高度医療の実施は本来的な役割に沿ったものとは言いがたいこと、(2)ここ数年間で急激に運営医療機関を増やしているほか、来年4月から新たに浦安市川医療センターや三重県立志摩病院などの運営を開始する予定で、その状況下で光が丘病院においても十分な医師・看護師が本当に確保できるのか危惧されること、(3)実際に、スタッフ確保がままならず医療機能の後退が深刻になっている運営病院があること―などを挙げた。
 さらに、練馬区が一度も住民説明会を開いておらず、今回の後継法人選定の詳細ないきさつも明らかにしていないことへの不満も示した。同会は引き続き日大による運営継続を求め、同大に撤退方針を白紙に戻すよう要求していく考えだ。


さて、まぁ区民の会の過大な要求は置いておいて
(もともと自治体病院だし、区内に大学病院が2つも必要か?)

最近よく名前を聞く、「地域医療振興協会」ですが、文字通り地域医療を目的とする公益社団法人の様です
自治医大OBによりつくられた組織のようで、会長は現職の自治医大学長です
業務内容的には…済生会や赤十字に近いのでしょうかね。約50の病院・診療所を運営しているようです。病院は20ですね
自治医大の関連病院としてみると、かなり大規模ですね


首都圏の直営病院としては、来年オープンする浦安市川医療センター(344床)と並んで練馬が2つめとなるのですが
(浦安に続いて練馬って…この協会は順天堂に対抗心でもあるんでしょうか?)

協会が擁する医師数は研修医含め590人で、常勤の小児科医15人、産科医5人とか、はたして言うだけの医師数を実際にそろえられるのかは同業からみても疑問が残ります
小児科医15人って、地方医大の病棟医並の数だと思うのですが、そんな簡単に集まるなら医療なんて崩壊してないと思ってしまいますが…

来年の以降までに半年ほどしかないのですが、それまでに再び紙面を賑わすことがないよう願うばかりです