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2012年6月13日水曜日

期待を裏切らない練馬区長

練馬光が丘病院 日大撤退シリーズ、残念ながら続編です
過去編はこちら

日大の変
日大練馬 その後
地域医療振興協会への重大な懸念
続・地域医療振興協会への疑念
練馬区の一週間戦争

どうにかこうにかはじまった地域医療振興協会版ですが、まぁスタートから予想通りです
産婦人科は分娩・入院・夜間対応はおそくとも9月までには…ってかかれてますが、いまの時点で決まってないのはやばいのでは?

外来表も、毎週のように更新されているようですが…
医師の募集要項もみてみましたが、「年齢制限 不問」「採用人数 多数」「給与 面接時にご説明いたします。」ってはじめてみましたよ、こんなの…

まぁ、今回は協会をいじるのはメインでないのでこの辺でやめときますが、とりあえず、予想通りに人手不足で、まかりまちがっても
「日大と同程度」「区民に迷惑はかけない」
病院機能ではないのは明らかです

…ですけど、ここで、予想通りに居直った人が出てきました



光が丘病院問題 “最初から同等は無理”の区長発言の波紋 区議会委員「真意確認を」


(略)
委員会では土屋俊測委員(オンブズマン)が「区は当初から同等の医療を提供すると説明し、委員会はそれを前提に審議してきた。後から区長が『リップサービスだった』と述べるのは許し難い」と区に釈明を求めた。
(略)
志村区長 情報提供の見方は分かれるだろう。私どもは、日大は平成3年から21年間やってきた成果を見れば技術、医療の内容、高く評価していいと思う。
ただ日大だって20年の時間をかけて大きく成長してきた。だから、新しい病院、後継がすぐにそれと同じ規模、イコールでいけるはずが本来ない。
「約束したじゃないか」とよく言われる。新しい病院は日大に遜色ないものを設けますと、最初っから無理な話。日大と同等の医療はできるはずがないけれども、なんて言ったらば、これはどうしようもないこと。
後継の病院として、区民に対しても一生懸命やるからということで、ひけをとらないようにしますと言わざるを得ない。それでないと、お医者さんも集まらない。先行きどうなるか分からないような病院には就きたくはないというのが人情だ。希望は大きく、「日大に匹敵できるような病院にしたい」。こういうふうに思うのが当然だろうし、それを求めてわれわれも後継を選んできた。そんなところでご理解をいただきたい。
 記者 確認ですが、新しい病院は、当初から日大と同じレベルでいくのは難しいだろうと、区長としては思っていたということですね。
 区長 まあねえ。それもまたそうなんだと。努力義務というものがあるでしょう、行政には。だれにでも努力義務はあるんですよ。努力して全うできれば一番いい。だけどほとんど難しいかな。さっき副区長が申し上げたように、私だって日大の医者は少しでも残ってくれると思っていたし、そういう情報は持っていた。だが、日大は頑なに全部引き上げだと、総引き上げだと。
私は1月の会見で日大は区民、病人を捨てていくのかという言い方をしました。医者に聞いてくださいとつけた。でも報道されなかった。聞いてくれれば、医者も本当は残って手伝うと聞かされたはず。でも一つも受けてもらえなかった、記者さんたちにね。私どもは日大の医者に直に聞くのは立場上難しい。医者・看護師に記者さんから聞いてくださいという意味だった。聞いてくださいが省略されちゃって、私が、日大は不人情だと、診療をお願いしている区民を裏切るととられちゃったんで、非常にがっかりした。
(略)
記者 区長にうかがう。話が戻って申し訳ない。新しい病院を維持するとき、日大と同等規模というのは努力義務という認識だったということだが、これを区民に発表せず、あくまで同等の規模ということを一貫して述べてこられた。混乱をきたすからという考えは分かるが、一方、本当のことを知りたいという思いも区民にあったと思う。説明会の席上でどうなっているのという意見がかなりあったのも、一つの根拠としてあったと思う。耳に届いていたと思うが、どうご覧になっていたか。
区長 私が思うのは、同等にするということ自体が素人だと、さっき申し上げた。医療のあり方、中身、これについてだれが判断するんですかということ。同等というのはおおよその同等ですよ。厳密にきっちりと数学の方程式みたいにちゃんと言えって言ったって、言えない中身だ。ぼくはそう思う。
もう一つ、いちばん大変なことは、大卒・高卒の就職試験と、今度の病院の跡継ぎを決めるのは、全然違う。医者は、空白のままたくさん大挙している、待っている状態ではない。それぞれどこかに勤務して、全国に散らばっている。これを拾い集めてくるのは大変。これをよく協会は引き受けてくれたなと思う。協会とて神様じゃないから、そんな多くの職員を集めることは不可能だったんじゃないかな、最初から。だけどやってみなければ分からないというところはあります。やってみた結果、最終的には、日大の現況と今度の協会が集めてきたあれ(人数)には差異が出てきた。これは致し方ないことじゃないか。
(略)
記者 今の質問に関連するが、もし最初から「日大と同等はなかなか難しいと思うが」と言った場合、区長としてどんなことを危惧された、ということなのか。
区長 最初から「後継は日大には及びませんよ」「とても医者も集められないよ。だけども」と、その「だけども」は使えないですよね、区民に向かって。だから「最大の努力をする」ということで、ご理解いただくほかないですよ。
記者 もし言った場合には、区民に伝わらならない…、どうして言えないと判断されたのか。
区長 最初から、そんな100%埋めることはできません、そういうことは言えませんよ。
 記者 なぜそれを言えないか、ということなんですけど。
 区長 だって混乱しちゃうじゃないか。信用されなくなっちゃうでしょ、新しい病院が。そういう心の機微はご理解いただけるんじゃないか。
 記者 今回、言っていることと現実が違うから信用されてなくて、運動が大きくなっていったという印象を持っているんですけれど。
 区長 そういうことはないですね。
琴尾副区長 そもそも公募のときに、区として4事業、重点医療、今まで日大がやってきたことはちゃんとそろえてください、そのためにスタッフも揃えてくださいということで募集をした。提案書の中で、98人の医師を揃えますと、振興協会からでてきた。私どもとしてはそれちゃんとやってくださいと要請はしてきた。
ただ先ほど申し上げたように、協会としては日大の医者が残ってくれることを期待して織り込んでいた。それが日大さんのご事情でできなくて、こんな事態になってしまった。そういう意味では、結果として約束した通りにならなかった。それは協会としても区としても、区民の皆さんには申し訳ないと思っています。
だからといってダメだというわけにはいきませんので、とにかく一日も早くスタッフを揃えて充実した医療をできるように、協会さんにお願いしていただくということが、区の立場です。
区長 私は冒頭申し上げたように、練馬区は医療資源に非常に恵まれてない。そう危惧していながら、後釜がいないからって空白ができて、そうなると継続でなくなる。病院の継続でなくなる。新規病院を設立するとなると、そうすると別の扱いになる。都庁との話し合いでも、別の話になる。医療機関といっときも空白を置けない。そういう仕事だった。ウソ言ったんじゃないか、公約違反じゃないかと言われるけれど、継続・承継する病院がなかったと思われたら、新規の病院をつくることもおぼつかない。空白が完全にできてしまう、何カ月もね。



一般企業が株主総会でこんな事やらかしたら、クビどころか個人訴訟も避けられない問題発言なんですが、そういう意識は全くないようですね?
こんな真っ赤な嘘が「努力義務」の一言で踏み倒されるなら、東電の想定外すらかわいく思えてきます


あえて繰り返しますが、日大の練馬撤退は決して避けられない事件ではありませんでした
…練馬区が、20年踏み倒してきた50億円の返還を決めれば、ね。
区長と副区長のいう「日大の事情」というのは、「練馬区が50億円を踏み倒していること」であることは決して忘れてはいけません


しかも、日大の後継には4法人(最終段階では2法人)が手を上げていたわけで、日大と同等は無理であると最初から認めていれば、各地の新設病院で当初予定の医師数を割り込んでいる地域医療振興協会以外に受け皿がありました

そういうことを完璧スルーして責任転嫁も甚だしい


ちなみに協会のいう「98人」は、スタート時点では70人程度であったことから守れていないのは明白で、そもそも本当にそれだけ集められる予定があったのかも疑問ですが、
仮に協会のいうとおり98人集まっても、日大に比べれば24人も少ないわけで…日大の医師が自治医大系列病院に24人(日大練馬の20%)も残るなんて、あり得ないって事くらいわかります
つまり、協会も最初から日大と同等は無理という認識はあったはずです

T県の某市立病院をKI大が附属病院化した際の大騒動を全く知らないのか知ってて無視しているのか… ここまでくると、不適切な関係があるのではないかと勘ぐりたくもなります


とどめに、練馬区が医療資源に非常に恵まれていない???
どっかの神奈川県知事と同じこと言ってますが、
埼玉と千葉に謝れ!


この人、区長なので、医学部新設要請を出した全国市長会にも当然名を連ねているわけで

こういう人たちが要求する「医学部新設」なんて、絶対認めてはいけないでしょう

2012年2月6日月曜日

地域医療の行く先

先日、医療過疎の進む沖縄の八重山諸島からこの様なニュースが入ってきました


八重山病院 産婦人科医めど立たず
2012年1月31日
【八重山】県立八重山病院が産婦人科医不足で3月中旬から出産を受け付けられない可能性が出ている問題で、松本廣嗣院長は30日、順天堂大など複数の大学や医療機関、個人などと交渉しているものの、医師確保にめどが立っていないことを説明した。八重山の医療を守る郡民の会が同日、松本院長を訪ねて現状を聞いた。竹富町議会と与那国町議会も同日、産婦人科医確保を求める意見書と要請決議をそれぞれ全会一致で可決した。
  松本院長によると、複数の医療機関に産婦人科医の派遣を要請したり、退職予定の医師に残留を求めたりしているが、30日までに具体的な回答はなく、4月以降の医師確保にめどは立っていない。  八重山病院は眼科、神経内科、血液内科も不在で、週に1回他の病院から医師を派遣してもらい外来診療を行っている状況も明かした。
  八重山の医療を守る郡民の会の宮平康弘会長は「産婦人科医がいないと安心して住むことができない。定住できず過疎化が厳しくなるのは火を見るより明らか」と事態を危惧。「長い間勤める地元出身の医師を増やすなど安心できる状況をつくってほしい。医師確保は一義的に県の役割だが、私たちも協力する」と強調。産婦人科医など専門医が不足しないよう、医師定員増加などを求める要請書を八重山市長会などに送った。



さて、まずこの八重山病院なのですが、石垣島にあり、西表島を含む近隣諸島の中核病院のようです
石垣島だけで4.5万人の人口があるので、普通に本州の自治体病院レベルは要求されるところですね
HPをみたところNICUもあるようで、産科も分娩件数年620件(帝王切開153件)となっていて、なかなか数はあるようです
外来表には6人のDrの名前が確認できます
また、2010年から助産師外来も開かれており、立地から考えるとかなり潤沢な人的資源があったと思われます

…が、それが突然、



当院での出産を検討している皆さまへ
2012年01月25日 投稿
 産婦人科医師の不足のため、平成24年4月より9月までの間、当院での出産が困難になる恐れがあります。
 この間出産予定の皆様におかれましては、下記の対応策を参考に、他の医療機関での出産をご検討いただきますよう、お知らせします。
 <対応策>
 他の地域で里帰り出産をする。
 八重山病院での里帰り出産を取りやめる。
 他の医療機関に紹介してもらい、36週未満までに移動する
 当院では引き続き産婦人科医師確保に努めてまいります。
 今後、状況が変わり次第、お知らせしてまいります。


となっています
過去の記事等を調べると、もともと九大の関連だったのが、打ち切られて、他の県立病院や県外医療機関からの応援+自前でもっていたようですが…
普通に考えると、常勤の産科医がかなり転出することになったのでしょう
なんでそんなことになったのかについては、いささか気になるところですが

この件は結局



要請団に県が報告 医師4人の診療体制を継続
【那覇】八重山病院産婦人科の医師不足問題で、県病院事業局の伊江朝次局長は3日午後、関係医療機関から指導医を含む産婦人科医2人の派遣が決まり、医師確保のめどが立ったことを明らかにした。伊江局長によると、新任医師は5月から勤務。心配された同病院の産科医不足問題は、医師確保が決まったことで、5月以降も4人の医師による出産医療体制が継続し、出産ができることになった。
伊江局長は、同日午後に県庁で八重山市町会と3市町議会、八重山の医療を守る郡民の会、市女性団体ネットワーク会議が行った要請に応えたもの。
要請に対応した仲井真弘多県知事は「医師確保のめどがついたと伊江局長から連絡をもらっている。詳細は近くまとめて発表したい。いい答えになると思う」と述べた。
伊江局長は、医師派遣を要請していた医療機関からこの日、了承を得たという。要請団には、地元出身医師を養成する重要性を指摘。地域での受け入れ態勢の在り方にも触れ「八重山圏域でお産ができる病院は八重山病院のみで、産婦人科医は最低でも4人体制を守る必要があると考えている」と述べた。
産科医不足問題には「八重山の妊婦や関係者に心配をかけたが、全国的にも数が少ない産婦人科医を確保する上ではこれからも起こりうる問題。引き続き医師確保に全力を尽くしていきたい」と語った。
市議会の伊良皆高信議長は「安心した。県も苦労しているが、郡民約5万5000人の良い医療環境をつくっていきたい。今後も配慮してほしい」、八重山の医療を守る郡民の会の宮平康弘会長は「尽力に感謝したい。八重山は都市地区とは別の医療体制で、医師定員を増やすことを検討していただければ」とそれぞれ語った。
要請団は、産婦人科医確保や他分野での慢性的な医師、看護師不足の現状を訴え、その改善なども要望した。仲井真知事、伊江局長、県議会の高嶺善伸議長はいずれも積極的に協力していく姿勢を示した。



というわけで、他の県立病院からの派遣を増やすことで当面の解決をえたようです
…とはいえ、他の県立病院も余裕があるワケじゃないですからね

こういう「白い巨塔」時代の医局の様な無茶な人事が続くと、若手医師や学生から県立病院群が嫌われるでしょうしね

地域枠がそろそろ実戦投入される頃合いですが、それもどこまで効果があるのかは、甚だ疑問です
日経メディカルから、アメリカの医療に関する記事ですが、アメリカにもマイノリティ向けに「地域枠」があるようですが、ほとんど効果は上がってないようです



2012. 1. 31
大都会の医療“過疎”地で起こっている悪循環
<略>
「黒人医師は、ここのような都会の医療過疎地のクリニックでは働きたがらない」との答えでした。マイノリティー(黒人やヒスパニック)の医師の大半は貧困層出身者。彼らが自分の出身地に戻ってマイノリティーの医療を改善するという狙いで、affirmative action(※1)が存在しています。にもかかわらず、医療格差の改善は実現されていない。明確な裏付けはないものの、「もともと経済的に苦労して育ってきた人が、医師になって研修を終えて、わざわざ収入の低い職場を選ぶことはない」(指導医)という理由が推測されるそうです。
※1 affirmative actionとは、underrepresented minoritiesに対して平等なチャンスを与えるための優遇措置で、1960年代に始まりました。例えば、黒人やヒスパニックの医師は人口比率に照らしてかなり少なく、この状況が医療格差に関係してくるのではないかという指摘があります。そのため、メディカルスクールなどが入学志願者を選考する際、簡単に言えば、同じ学力の白人・アジア人・黒人がいれば、黒人を優先的に合格させることが許されています。こうした措置は今も国家レベルで広く行われていますが、逆差別につながりかねないという反対意見もあります。
<略>
医療過疎地となっている地域の住民は無保険者または公的保険(メディケイドやメディケア)の対象者であることが多く、そのような患者層を対象にクリニックを経営することは、少なくとも普通の医師にとっては、国や州からの助成金がない限り不可能なのです[1、2]。したがって、医療過疎地は固定化されることになります。 
<略> 



実際、日本では収入の格差はそれほどではないものの、大都市出身者が地方に出て大都市に帰るのに比べて、地方出身者が大都市に出て地方に帰る率は少ないように思います

これに対して、国や読売新聞は医師を強制配置するシステムを考えていますが、民間人に過ぎない医師に居住の自由を侵害するのは普通に憲法違反です
医師会が強制配置するドイツは、医学部定員割れ+優秀な医師・学生は海外or企業流出という状況です

要はこの問題って、世界レベルで解決できてないんですよねぇ
ただ、客観的にいって、ハイリスク分娩やNICUってのは、本来的にはとんでもない贅沢です

産科だけではないです。医療が高度化するに従い、集約化と医療格差は広がざるをえません
医療が消失する…というよりは、元々の姿に戻る、というべきでしょうか
あと20年もして高齢者がいなくなり限界集落ばかりとなれば、なおのことでしょう
先日いった五箇山の「残ったのは8世帯」という状況が、日本中で生まれるでしょう

医療は空気や水ではないということを思い出して諦めてもらう時代が、もうそこに来ていると思います

2011年11月14日月曜日

TPPと医療制度

どうにも情報の混乱している今話題のTPPと混合診療の問題について、少しまとめてみたいと思います
その前にTPPってなによ?というところを整理する必要がありますが、実はこれが難問です


まず、ネットや本屋を漁っても、TPPの条項を引用した上で中立的に分析したものはまったくありません
何せ、基本理念以外なにも決まってないor公開されていない物だから仕方ないかも知れませんが…

経済を専門とする親父殿に聞いても、

「各国ごとにFTA結ぶのめんどくさいから、まとめて一緒にやろうぜ!」

というのが本来の目的であり、参加国の制度まで踏み込むものではない、という程度の情報しかありませんでした
ただ、逆に言えば仮に医療制度にまで踏み込んだ要求をされたところで

「お前のいいたいことはわかった。だが断る!」

で十分であり、TPP加入=混合診療解禁とか保険医療崩壊とかいうのはありえないとのことでした
そういうわけなので、首相が記者会見や国会で

「世界に誇る日本の医療制度、伝統文化、美しい農村は断固として守り抜く決意だ」

と明言したのは十分なジャブで、現時点ではこれ以上の回答はあり得ないでしょう
(守るのは農業じゃなくて農村かよという突っ込みはこの際スルーします)


ただ、業界そのものが経営危機にある米国の先発薬メーカーは、TPPに乗じたロビー活動を展開しているのは事実で、各国に対し先発薬の知的財産保護とジェネリック抑制を要求しており、ニュージーランドとオーストラリアは防戦に回っているようです
http://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=1742044

しかし、これはTPPを避けたからと言って逃げられる問題ではありません
また、国際的な特許争いはIT業界では日常茶飯事であることを考えれば、医薬品の特許争いが起きることも避けられないでしょう
先発やメーカーとジェネリックメーカーが、さながらAppleとSamsungのような訴訟合戦を起こす日が来るかもしれませんが、むしろTPPに参加することによって各国でスクラムを組んでアメリカに対抗することができるかも知れません

また、仮に米国の要求を部分的にでも呑むことになったとしても、これで変わるのは薬価制度です
薬に関税がどれだけかかってるかは知りませんが…まぁ医療費は上がるでしょうが、だからといって即、混合診療解禁というのは言いすぎです
実際、メリケンからしても、金持ちしか使えない薬を売るより、公的保険でみんなに使ってもらった方が売れますからねぇ…
医療費が上限まで来たところで、はじめて高負担高福祉にして高額療養費制度を拡充するのか、低負担低福祉の混合診療にするのかという議論が出てくるはずです

むしろ、今回は将来の日本の医療制度をどう設計するのかを議論するいい機会であり、平和憲法のごとく国民皆保険万歳というのは、間違いだと思います


TPPで直接的に問題になるのは、医療制度そのものよりもドラッグ・ラグ、デバイス・ラグでしょう
医療界のお偉方には、この機に乗じてこの問題を解決するぐらいの気概が欲しいものです


また、TPPとなると就労移民も問題となるという人もいますが、
これに関して、日本への流入は、良くも悪くも心配する必要はありません
労働時間と給与から考えて日本に来るうまみが全くなく、また既にEPAで日本に来ている東南アジアの看護師を見る限りでは、日本語の壁は想像以上に分厚いことは容易に想像できます。まして医師ともなればその比でないことは明白です


で、結局のところ、TPPで医療のなにが変わりそうかというと…たぶん、なにも現場的には変わりません
薬価や認可制度の変更はあり得そうですが、それ以上はTPPが肥大化しすぎます
文化や経済規模の近い陸続きのEUですら医療制度の統一はできませんでした
先進国から途上国、資本主義から社会主義までそろった北米と南米とオーストラリアとニュージーランドと東南アジアと日本がいるTPPで、まとめようがありません

2011年10月16日日曜日

文科省 2012年度概算要求


重症&急患ラッシュでしばらく休んでしまいましたが、再開します
来年度の概算要求で、文科省が不思議なことをしているようです

まず前半部からですが、正直よくわからないことになってます



文科省の2012年度概算要求で新規事業 
文部科学省が9月末にまとめた2012年度概算要求で、大学医学部・大学病院における医師の処遇改善や医師の養成に関して、幾つかの注目の新規予算が打ち出された。「医学部・大学病院の教育研究活性化および地域・へき地医療支援人材の確保」、「被災地等の復興に貢献する総合診療医の養成」などだ(予算の資料は、文科省のホームページに掲載)。
「医学部・大学病院の教育研究活性化および地域・へき地医療支援人材の確保」は、勤務医の処遇改善と地域の医師不足解消の「二兎を追う」施策。「大学病院では、予算の不足から非常勤で働く医師も少なくない。こうした医師を常勤で雇用して身分を安定させると同時に、週に1日や2日など、一定の期間は地方の病院に出向き、地域医療を担ってもらう際に人件費を補助する」(文科省高等教育局医学教育課)。 全国の79大学(防衛医科大学を除く)、約5人ずつ、計380人を対象とすることを想定。1人当たりの予算は400万円、計15億2000万円を要求。400万円から、事務経費等を除いた額が、医師の人件費の補充に使われることになる。 大学などから地域の病院への医師派遣については、厚生労働省が2011年度から「地域医療支援センター」を開始している。同事業は、都道府県が実施主体で、地域医療に従事する医師のキャリア形成支援と同時に、医師が不足する病院への医師の派遣調整・あっせん等を行うもの。現在、15カ所で実施されており、大学が同事業の中心となっている地域では、文科省の今回の事業と連携した実施も想定される。


まず最初に疑問なのですが、
「地域医療」の主管は厚労省か?文科省か?
内容の是非以前に、前提の部分で疑問を感じます

まぁそこのところに目をつぶるにしても、「大学病院の予算不足」は文科省の補助金の前に、厚労省の診療報酬制度で議論すべきところでしょう
そして、キャリアのある主力の医師が非常勤扱いされるのは、予算の問題と言うよりは大学の定員や労働環境意識の問題ではないのでしょうか?>労基署よ、仕事しろ!

根本的なところに突っ込みどころ満載なのですが、そこも無視して施策の部分だけ見ても、やはりおかしなことになってます
週に1~2回地域の病院に出向いている医師は、各大学5名だけですか?
今私がいる科だけでも5名以上出てますが…
まさか院内で補助金がもらえる医師を抽選するわけにも行かないでしょう

となると、この金は勤務医個人ではなく病院(まわりまわって本体の大学)に流れることになります
…とうてい、「勤務医の人件費の補充」に使われるとは思えません

それとも、文科省が直接命令できる医師を各大学5名つくると言うことなのでしょうか?
どうにも油断ができない事業です

さて、お次は後半です


総合診療医養成は、全国14大学で
 「被災地等の復興に貢献する総合診療医の養成」は、東日本大震災復旧・復興高等教育振興費の一環。「被災地での医療支援では、総合診療医が活躍し、その必要性が認識された」(文科省高等教育局医学教育課)。総合診療に関する教育、実習にかかる経費への予算として、5億6000万円を要求。1件当たり4000万円、計14件を対象とする予定。全国を7ブロックに分け、各ブロック2大学ずつで行う。医学部のどの学年を対象とするか、また1学年全員、もしくは一部に限定して行うかなど、要綱等は今後、検討する。
震災関連では、「被災者等の心のケアを行う専門医療人の養成」も行う。総合診療医の養成と同様の趣旨で、各ブロック1件ずつ、計7件(7大学)での実施を想定。要求額は、1件当たり4000万円、計2億8000万円だ。
地域医療の担い手養成の一方で、研究医の養成も目指す。それが「基礎・臨床を両輪とした医学教育改革によるグローバルな医師養成」。予算は5億5200万円。(1)医学・医療の高度化の基盤を担う基礎研究医の養成(14件、1件当たり2000万円)、(2)グローバルな医学教育認証に対応した診療参加型臨床実習の充実(20件、1件当たり1060万円)、(3)医学・歯学教育認証制度等の実施(医科1件で1件当たり4000万円、歯科1件で1件当たり2000万円)、の三つの事業を行う。
以上の新規事業のほか、医師の処遇改善の関連では、(1)大学病院人材養成機能強化事業(周産期医療に関わる専門的スタッフの養成、チーム医療推進のための大学病院職員人材養成システムの確立など):2010年度予算23億円⇒2011年度概算要求21億円)、(2)医師事務作業補助者(医療クラーク)等の雇用:2010年度予算21億円⇒2011年度概算要求21億円)、などが要求されている。


医学生を、今から、東日本大震災の被災地に送る総合診療医や精神科医として育成するってことでしょうか?実戦投入は何年後ですか?
それとも、単に総合診療医を増やすための方便なのでしょうか?

後期研修医に補助金を出すとか、初期研修医に総合診療医枠をつくるとかなら理解できるのですが、学生のうちから総合診療医として育てるとか、現状の教育システムとは明らかにコンフリクトしそうなのですが…

これに8億4000万…どうにも、金の使い方がおかしい気がします

2011年8月29日月曜日

「医療崩壊」の定義

会話というのは、自分と相手とに言葉の定義が共通していないと成立しません
ソクラテスの言にもあるように 
「大工と話をするときは、大工の言葉を使え」
ということです
たいていの場面において会議が迷走するのは、そういった齟齬に気づかずに、「自分の世界の自分の言葉」でのみ語ることが原因となります


さて、多くの医療関係者には、既に医療が崩壊しているのは共通理解だと思いますが、為政者側は「医療崩壊」が起きていることは未だに認めていません
彼らにとっては、まだ問題は「医師不足」で済んでいるようです

現状は、「医療消滅」というチェックメイトをかけられた、キングをとられるまでの数手の間に過ぎません
ゲームであればすでに自動的に投了になっているのを、現実の残酷さで最後までやらされているというだけです

私たち医療崩壊論者が訴えているのは、その「数手の間」に、「ルール変更」することで王手を解除させるしかないということです
対して、政府の「医師不足」「医師の偏在」は、旧来のルールの内側でしかありません
政府の話に乗る限りは、医療消滅は防げません
しかし、政府にそれを認めさせるには、一度そのスキームで会話して、そんな手ではもうどうにもならないと認めさせるしかありません


長崎県病院企業団企業長の資料をちょっとお借りしましょう
よくある、県別の医師数です
http://lohasmedical.jp/news/2011/08/24024220.php?page=2

この表では医療崩壊のなにも表現できないことは、企業長の指摘を待つまでもなく明らかです
この企業長の面白いところは、次の表です
http://lohasmedical.jp/news/2011/08/24024220.php?page=3

医師数だけでなく患者数という関数まで取り入れたユニークな試みではあるのですが、分析で大きなミスがあります






A群、B群にとりますと、これは高い専門性、あるいは高度の救急医療、それから先進医療に対する医師が不足しているということが叫ばれている都道府県でございます。




これは時制は「現在」の医療崩壊を表現した二次元関数でしかありません
「これから」対策を立てるのですから、語るべき時制は「未来」でなければ先回りすることはできません(一度、戦略シミュレーションゲームでもしてみればよくわかりますよ)

また、こうした数字の扱いではいつも「東京」が悪者となるのですが、「首都圏」という枠組みでとらえないと自体の本質を見誤ります(これは、ベッドタウンに過ごした人間でないと実感できないでしょうが…)


最初の方の表をもう一度見ていただければわかりますが、東京以外の首都圏が、全て医師が少ない県Top10にカウントされています
また、地理的にも、「首都圏」という単位は地方の1つの県に相当する面積であると言うことも忘れてはいけません
「首都圏における東京と隣県」というのは、そのまま、「地方の県庁所在地とその他の市町村」に該当するのです
医療崩壊で「東京」を語ることはミスリードにしかなり得ません
また同様に、東京隣県内部の医療崩壊も、ベッドタウン地域とその他地域を同列に論じることもできません
要は、医療の実態は都道府県という枠組みではなにも表現しえないと言うことです


首都圏を代表とする大都市圏の医療崩壊と、地方の医療崩壊はまったく異なるロジックで起きています


医療崩壊の原因は、医師数と患者数のバランスの問題とも言えます
つまり、患者が多い=高齢者が多い地域が火薬庫であると言うことです
高齢化率の推移予測を示した図がこれです



http://lohasmedical.jp/news/2011/08/22014400.php?page=2


2030年までは、現在高齢化率の高い県がそのままの地位を維持しますが、2040年には全国が平均化し、2050年には逆に、現在医師過剰とされている都市部が高齢化の洗礼を浴びる計算になっています

原因は、まぁ社会学的な方面の知見があればすぐに思いつくと思いますが、この数十年の日本の人口分布の変化が高齢化という形に変換されてきているというだけのことなんですね


もともと、日本は人口的にも地方が中心でした
それが崩れはじめたのは、私たちの父の少し上の世代の就職列車からです
http://ja.wikipedia.org/wiki/集団就職

その後、バブル期に入りサラリーマンの時代となると、今度はベッドタウンとして隣県に人口増が波及します
そうして、日本人の過半数は大都市圏の住民となりました
 
現在は、そうして大都市圏に出てきた人たちの子ども世代が若手労働者として、大都市という故郷にそのままいるわけです
言うまでもありませんが、若手が増えれば高齢化率は下がり、若手が減れば自動的に高齢化率は上がります
こうして、大都市圏は若手が多いために高齢化率は低く抑えられています


一方で、現在の地方の高齢者たちは、集団就職で、東京に出てきた人たちの親なわけです
地方の高齢化の原因は、実のところ、現在の地方の高齢者たち自身だったりするのです


しかし、あと20~30年もすれば集団就職やバブルで大都市圏に来た世代も高齢者となり、その子どもたちもそれに続くわけです
そして、さらにその子ども世代は、少子化という問題が待ち受けています
大都市で30年後に起きる医療崩壊は、長崎の企業長が言うような高度医療・救急の問題では済まされなくなります
なにせ、このベッドタウン地域は30年前までは人がいなかったため、病院がないのですから

逆に、その頃には既に現在の医療崩壊地域の高齢者は寿命を迎えており、限界集落もいくつも出現し、病院どころか村ごと崩壊しているでしょう
その場合、医療需要そのものがなくなるので医師不足もなくなるでしょう


つまり、「あと20年続く医療崩壊」と「30年後から顕在化する医療崩壊」は全くの別物なのです
そして、現在の大都市部での医療崩壊は、後者の序章部分なのです


この様に、医療の需給バランスというのは、医師数以上に高齢者数が大きなウエイトを占めます
「医師不足」を語るに医師数だけをもってして動くのは、常に後手後手に回ることにしかなりません


医療消滅を防ぐには、現在の地方の医療崩壊に対する応急処置および集落としてのターミナルケアと、30年後を見据えた大都市部の病院整理が必要なのです
医師の強制派遣とか、地方に医大を新設とか言うのは、問題の本質を見誤ってるとしか言いようがありません
今から地方に医師を強制配置させる策を作ったところで、それが実行力をえる頃には地方の医療・介護需要は激減し、逆に大都市圏で医療・介護需要が爆発するのですから
今の政府の医師不足対策では、20年以内に地方と共に心中するだけです

2011年8月12日金曜日

医学部定員増と地域医療の自立

文科省で「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」なるものが開かれました
http://lohasmedical.jp/news/2011/08/11114154.php?page=1

内容は、予想通り直球で医学部新設や定員増の話ですが、委員の発言に興味深いものがいくつかありましたので抜粋して紹介したいと思います

[今井浩三委員(東京大学医科学研究所附属病院長)]
つまり医師数は10%ぐらい増えるんですけれども、総体として見ると、だんだん医師も患者さんと同じように高齢化するわけでありまして、医師のほうも......。
つまり、患者を診る側もですね、高齢化していくということをですね、考慮に入れるべきであるということを私、この間申し上げました。ですから実際には、60歳以下ぐらいの医師ですね、非常にビビッドに患者さんを診れる医師の数はそんなに増えないですね、この方式でいくと。
 (略)
医師の労働時間が非常に長いわけですね。たぶん、若い人だと70時間とか80時間とか、非常に過重労働。それを前提にしていろいろなことが......、そのまま行ったらということで考えられているんですが、これを是正しなければいけない。


東大なので、てっきり御用学者かと思いきや、病院長殿としていうべきことをきっちり釘さされてます
医師の戦力計算で、私は女性医師の係数配分の話をよくしますが
(未だに、女は入れないという人と、女性医師賛成だが男性と同等にはキャリア形成できないということをわかってない人が多いため)
医師、なかでも地域の中核戦力の高齢化と、後継者不足or後継者との激しい世代差(=技術差)の問題は、指摘にあるように回避しようのない問題です。
恐らく、今後10年ほどで表面化するでしょう
なにせ、今、最底辺で医療を支えている世代は、医学部定員削減の最終段階(=医師数が最も少ない)世代ですから
そこに対して問題提起したのは、非常に素晴らしいことなのですが…

東大病院の若手医師は、時間外労働月80時間で済んでるんですか?
それとも、これは週80時間なのかな?w



また、慈恵の学長からは非常に興味深い指摘がされています

[栗原敏副座長(日本私立医科大学協会副会長、東京慈恵会医科大理事長・学長)]
我々の時にはですね団塊の世代でして人口はたくさんいましたが医師になれる比率は非常に少なかったんですね。大体、18歳人口700数十人に1人。今は間口が広がったんで、100数十人に1人ぐらいが医師になれる時代になったんです。
 ですから、そこら辺のことも考えていただいて、我々65歳が高齢になりますから確かに医療ニーズは高まります。しかし、それが過ぎるとですね、極端に人口の減少ということがありますので、そこら辺でまた大きな変革というのが出てくるんじゃないかという点をご理解いただければと思います。

具体的な数字をあげられてこの話をされたのは、私が知る限りこれが最初です
となると、人口対医師数は団塊の世代の5倍くらいになると思えばいいんでしょうか?
そうなると、今よりは余裕のあるシステムになるでしょうか?

しかし、それはそれで少々考え物です
というのも、今の日本の人口対医師数は1000対2程度ですが、数十年したら1000対10弱になるわけです
これは、今現在どの国にもない密度になります
(OECD最多はギリシャの1000対6.1、先進国では医学部定員割れしているドイツが最多の1000対3.6)
歯科医師の二の舞になるとして医学部定員増に反対する勢力が根強いのも、あながち無根拠というわけではなさそうです


過重労働の解決や、研究や企業への人的資源の供給という点においてはいいかも知れませんが
いくらなんでも、ちょっと、余裕ありすぎでしょうし、国家として医師に人的資源を割きすぎでしょう
少なくとも、今よりも定員増やすとか、ましてや医学部新設は、ないでしょう…



また、医師派遣システムについて、文科省が勝手に妄想かけてるんですが
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/043/attach/1309577.htm

ええとですね、そもそも、この「医師の派遣」については「慣用語」と「法律用語」に解離があって整理が必要なんですが
「民間企業の医師の派遣業」はきっかり労働者派遣法で禁止されています
中核病院から医師不足病院へ医師を送るのは例外として認められているという形です
(要は、業としての医師派遣は禁止されてると考えられ、派遣の見返りや、派遣した医師の報酬をピンハネするのは違法である可能性が高い)

で、その上で、なにをもって医師を派遣する基準とするべきかってのは絶対に整理が必要なわけです
東日本大震災の急性期に全国から医師を支援に送り出したのと、慢性的な医師不足地域に医師を送るのはまったく別次元の話です 
医療はインフラですが、医師はインフラではないのです   

都会のフリーターを、後継者不足の農村に強制移住させる法律を作るとか言い出したら、どんなことになるか想像できますよね?
どんな正当性をもって一民間人でしかない医師を法的拘束力をもって強制労働せしめられるのでしょうか?
この人たちがやろうとしているのは、要はそういうことです

そのことは、医学部の人間よりも外の人間の方がよくわかっているようです

[生坂政臣氏(千葉大医学部付属病院総合診療部)]
 地域への強制派遣という視点から......。実際、被災地入りした医者は非常に多くてですね、短期であれば可能性はあると思うんですね。ですから、本当のニーズを行政なりが明確にして、「ここに派遣してほしい」と、それはもう、大学病院なりに強制させてもいいんじゃないかと思うんですね。短期だったら、大学病院さえクリアできればいけるんじゃないか。
 ただ、その時に内科医療、すなわち広範囲の診療に対応できないと困りますから、それは各大学でジェネラルな教育に留意していただくと......、可能ではないかな、と私は個人的に......。

[安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)]
 私が申し上げたのは仕組みと言いますか、法律的なことでございますので、そういう意味での本当に法的なところを突っ込んでみたときに、可能かどうかということで申し上げておりますので、ある意味ボランティア的に何か月かということはあり得るんじゃないかと思いますが、へき地の医療、過疎医療と言うんでしょうか、医療過疎の問題を本当に解決するには法的なところまでいかないといけないんじゃないかと思っているということでございます。

まあ、衰退するところには、衰退する理由がやっぱあるんですよね…

私は、医師派遣については反対の立場です
法的根拠も、補償となるインセンティブも存在しないことは1つの理由ですが、
実際に地方で医師として働いてみて強く思うのは
「アリにもキリギリスを助ける余裕はない」
ってことです
むしろ、 僻地であることを利用して実はアリより楽して肥えてるキリギリスも結構いるんですよね…


発展途上国への支援では、「与える」支援は依存を生み出すだけで害悪であったとの反省から、「自立させる」支援へと切り替わっています
地域医療支援も、同じじゃないですかね?

2011年8月3日水曜日

メンツをとって実利を捨てる救急体制

事前の協定通りにやった (私の記憶では、20数分で高岡への搬送が決まっていたはずですが?) だけのことでなぜここまで引っ張るのかよくわからない富山市救急問題に一応の決着がついたようです


病院搬送拒否死亡問題 全重症患者 受け入れへ 
県立中央 連絡会議で改善方針
富山市内の交通事故で重傷を負った女性(73)が、市内三病院から受け入れを断られた後に死亡した問題で、県は二十九日、富山市内で連絡会議を開いた。三病院の正副院長や市医師会長が、救急患者の受け入れ改善策を報告し、県立中央病院は原則すべての重症患者を受け入れる方針を示した。
今回の問題では、夜間救急当番だった富山市民病院が外科で患者五人を治療中で、足を切断した重傷患者の治療は不可能と判断。富山大病院も担当医が手術中だったため搬送を断った。重症救急患者を受け入れる三次救急医療機関の県立中央病院は、当番日でなかったため、治療できる外科医がすぐに駆けつけられる場所にいなかった。
県が四月から運用している搬送と受け入れの基準では、連絡開始から三十分以上経過しても搬送先が決まらない場合、県立中央と厚生連高岡の両病院が受け入れを調整するとしていた。しかし今回、各病院の体制不備などで基準が機能しなかった。
今後の対応で、県立中央病院は受け入れ態勢確保とともに、休日や夜間に病院からの連絡で駆けつける「オンコール医」には、搬送の可否を問うのではなく、診察を要請するとした。この医師が来院できない場合に備えて、連絡順位などバックアップ体制も整える。
消防機関には、救急隊から照会回数と経過時間などを連絡してもらうよう依頼する。
ほかの病院も受け入れの基準を職員に周知することなどを報告。市医師会は十月オープンする救患センターで「軽症患者を受け入れて、救急病院の負担を減らす」とした。
県立中央病院の対応について、市医師会の馬瀬大助会長が「勤務医の労働環境が悪化することが心配」と指摘。同病院の飯田博行院長は県に「医師の確保は『長期的』に取り組むのではなく、すぐにやってもらわなければ困る」と求め、会議後「県立中央病院も来年度に救急医を増員したい。改善策実行に最大限努力する」と述べた。 (山田晃史)

◇3病院搬送拒否死亡問題◇ 6月30日午後7時半ごろ、富山市開の県道で、同市藤ノ木の無職瀬川浜子さん(73)が軽乗用車にはねられ、足を切断する重傷を負った。しかし、富山市民、富山大付属、県立中央の市内3病院が救急搬送を断った。1時間半後に約25キロ離れた高岡市の厚生連高岡病院に運ばれたが、出血性ショックで同10時半ごろ死亡した。
県が4月から運用する基準では、照会が4回以上または搬送先が30分以上決まらない場合は「県立中央と厚生連高岡の2病院のいずれかが受け入れに努め、受け入れ先を調整する」としている。


突っ込みどころ多彩すぎですが

1.ただのつるし上げですよね?
お題目が「対策会議」とか「再発予防会議」でなくて「連絡会議」の時点ですでに県から一方的な要求が「連絡」されるだけなのは容易に想像できますがw
しかし、肢切断に対して「当番病院:パンク」「当番外の大学病院:手術中」「当番外の県立病院:医師不在」って、完全に詰んでるんですが、これで受け入れ可能な市外の病院へ速やかに搬送って誰か悪いですか?
はっきりいって、ただの選挙目当てのパフォーマンス以外のなにものでもないですね…

2.明らかに逆効果な「対策」
そんな会議で、いつものパターンに反して唯一まともなことを言ってるのが、市医師会です
そもそも、こんな事になったのは要求される病院機能に対して勤務医が不足しているのが原因です
そんな「医師不足」への対策が「労働強化」って旧日本陸軍の亡霊以外のなにものでもありません


3.もはやオンコールに非ず
えー。だいたいいつも労働問題で論争になるのですが、日本の医療業界においてはオンコールは勤務時間ではない(故に労働時間にはカウントせず賃金は払わない)となっているのですが、この新規定だと、誰がどう見ても当直だと思います。(海外ではオンコールは当直の一形態)
これは、グローバルスタンダードに乗っ取ってオンコールも当直と認め、労働時間としてカウントし、当直代も支払うという風にしないと、若手医師の敬遠や大量離職を招きますよ?

そもそも、県立病院の医師不足は、経営者である県の経営責任であるはずですが?

2011年7月31日日曜日

医学部の教養に戦略シミュを組み込むべき

埼玉県知事選があまりに失笑過ぎる件について

県内医療レベル 統一を  
金井忠男 県医師会会長
2011知事選  課題の「4年」
さいたま市で先月、交通事故に遭った車椅子の女性が、相次いで救急搬送を拒否される問題が起きた。新聞記事を目にした県医師会会長の金井忠男さん(67)はすぐ、関係する病院に連絡を入れた。どの病院も「外科医がいなかった」と答えたという。施設の数や質など、県内で最も医療が充実しているはずの県都で起きた。「この地域で起きるということは、どこでも起きる可能性がある」
1998年に7726人だった県内の医師数は、2008年には9954人に増加した。しかし、若手医師は過疎地を敬遠する。患者側の大病院志向もあり、本来、高度な医療を受けるべき患者に医師の手が回らないという現状もある。こうした複合的な要因が絡んだ結果が「医師不足」だ。
県は09年度以降、若手医師を県内に引き込むため、研修費の貸与制度を拡充するなどしてきたが、こうした行政側の取り組みが特効薬になるとは考えていない。その一方、他県では、医師や看護師らを確保するため、隣県などから人集めをするような動きも起きているという。「単なる奪い合いでは何の解決にもならない」と金井さんはクギを刺す。
東京に隣接する都市部と過疎地域の混在。埼玉の「日本の縮図」ぶりは医療界にも通じる。「県内の医療レベルは統一化されなければならない。日本のモデルを埼玉独自で作りたい」。定年を迎える団塊の世代、子育てを終えた女性の医師らを人材として活用できないか。県北部のように、他県の医療機関のほうが素早く搬送できる地域もある。「県は音頭取り、調整役を果たすべきだ」と考える。
金井さんは年に最低4~5回は、仕事やプライベートで横浜を訪ねる。駅や街を歩く若者が多く、景気が悪いというここ数年でも、新しいホテルやデパートが次々にできていることに驚かされる。30年暮らす埼玉との違いを痛感する。「全国から注目されるような大々的な観光地でなくていい。若者がさっと集まってくるような魅力が必要。医者も若者の集まりに参加する一人だから
(2011年7月27日 読売新聞)

ええと、この県医師会長さん、非常に正しいところと、非常に残念な混在しててどう突っ込んだものやら(笑
とりあえず分類しましょう

<正論>
・医療スタッフの共食いは問題の解決にならない
・魅力ある町じゃないと医師は来ない

これは、もう、残念なことに厳然たる事実であり、それ以外のなにものでもありません
比較対象が横浜なのはよくわかりませんがね…
だからといって、 ここまで堂々とハニートラップかましにこられるともう笑ってやり過ごすしかありませんがw(http://www.shinshu-liveon.jp/www/topics/node_191345


<意味不明>
・埼玉は日本の縮図

いや、純粋に意味わかんないです
東京都中心部と地方都市と僻地がそれぞれ違いすぎて、縮図なんて存在しえないと思いますがね?

まぁ、ここまではただの話の枕です
本命はこれから


<間違い>
・応需不能が県庁所在地で起きたから埼玉県全土で起こりうる
・圏内の医療レベルは統一されてなければならない


まず、応需不能(マスゴミ的「たらい回し」)が起きるのは、基本的に医療機関が潤沢な都市部もしくは都市部に丸投げしようとする近郊に限られます
僻地なんて、「たらいを回す相手」がいませんからね?
むしろ、医療は東京に丸投げしている印象があった埼玉県に、回せる医療機関が複数あることを誇るところかも知れませんよ?

さて、ではなぜ医療機関が比較的潤沢な都市部で応需不能が起きるか?
それは、医療スタッフを各医療機関に分散させてしまったために、各個撃破に持ち込まれているからです

あー、私が今何言ったかわからない人は、戦略シミュレーションゲームを自力でクリアできるようになるまで医師不足の議論には加わっちゃいけません

拠点分散→戦力分散→防衛力低下→各個撃破→全滅

の基礎がわからないで医師不足の話をするのは、1+1=2を知らないで相対性理論を解こうとするようなものです
スタッフも設備も予算も限られた現実世界において応需不能を防ぐには


医療スタッフ集約化→医療機関集約化→調整された医療格差


しかあり得ません
そういうことを無視して医療レベルを統一するというのは、医療レベルを全国最低ランクにそろえる結果にしかなり得ません

…と言うことをわからない人が県医師会長という時点で、歴代の医師会と医学教育の罪深さが垣間見えた気がします

2011年7月6日水曜日

医師不足の定義

また厚労省がよくわからんアンケートをやったようで 

 


医師不足地域、25%が拒否 勤務「交代いれば」半数 臨床研修で調査
2011年7月5日 提供:共同通信社
 
 医学部卒業後の「臨床研修制度」を終えた医師の65・4%が、医師不足地域での勤務について「条件が合えば従事したい」と答えた一方、25・5%は「条件にかかわらず希望しない」と考えていることが4日、厚生労働省の初の調査で分かった。8・1%は「既に医師不足地域で働いている」と答えた。
 調査は2008年4月~10年3月に臨床研修をした7512人が対象で、5250人(69・9%)が回答した。
 医師不足の地域で働く条件(複数回答)は「自分と交代できる医師がいる」が最多で55・7%、次いで「一定の期間に限定されている」(53・8%)、「給与がよい」(47・0%)の順。
 研修先の病院を選んだ理由(複数回答)は「研修プログラムが充実」(44・8%)、「多くの症例を経験できる」(40・5%)、「さまざまな診療科・部門でバランス良い経験を積める」(37・1%)だった。
 臨床研修制度は、免許を取った新人医師に2年間の研修を義務付ける仕組みで、2004年に始まった。以前は大学の医局を通じ地方の病院に派遣されることが多かったが、制度導入で研修先を選べるようになったため、大学病院の派遣機能が低下し、地方での医師不足の一因になったとされる。
 厚労省は調査結果も踏まえて現行制度を見直し、2015年度から新制度の運用を始める予定。


このアンケート、1学年しかとってなかったり、中身からして、すでに突っ込みどころ満載なんですよね…


そもそも、みんなの思い浮かべる「医師不足地域」って、実はみんなバラバラなんですよね…
そこの定義付けをちゃんとしないで話をするのは、神父とラビと神主を集めて神について議論させるようなものです 

その一番わかりやすい例が、医師不足地域で働いている自覚があるのが8.1%だけってことですね
この国に医師充足地域が92%もあるわけがない(笑



 OECD基準や、労働時間基準でいえば、問答無用に東京だろうが医師不足地域です
むしろ、専門性が高い故に交代医師がいない比較的都市部の大学病院よりも、患者不足地域の田舎の方が労働時間守れてる節もありますがね(時間外の中等症以上は全部丸投げしてくるから…)


現在の労働時間を受け入れるにしても、何かあったときに自分が休むことができるかどうかというのは重要なファクターです
ですが、その理屈でいうなら、 交代できる医師がいる地域は、医師不足地域ではなくなってしまいます

どうにもこうにも、このアンケート、選択枝が矛盾している典型例の気がします
これをつくった人は、なにもわかってない人か、全部わかった上でわざとやってるかでしょう 
どちらにせよ、最初に結論が決まっていて、その結論に向かうように設定されたアンケートに思えてきます…


よく忘れられがちですが、職場の立地というのは生活の場でもあります 
先日、大都市の研修医と話す機会がありました
大学に入るまではだいたい私と同じような環境で暮らしてた人たちなのですが、
私たちの日常(地方医大の立地や生活スタイル)を話すだけでみんなどん引きでしたね(笑
生粋のシティボーイに、三十路近くになってからいきなりド田舎で暮らせとか言ったって無理にもほどがありますが?
 

2011年6月19日日曜日

医師は兵士か?それとも騎士か?

病院経営に企業のノウハウを導入というのは、かなり低いレベルで限界にぶつかるので反対なのですが、社員教育には企業のノウハウは是非とも導入するべきだと思う今日この頃

昭和の遺物がまた頭の悪いことを統計学的に議論(笑)しているのでちょっと紹介しましょう

医学生の学力が低下、2008年の定員増以降
全国医学部長病院長会議、「医学部定員増には慎重な対応を」
2011年6月16日 橋本佳子(m3.com編集長)
6月16日に開催された全国医学部長病院長会議の定例記者会見で、医学生の学力が低下傾向にあることを示す調査結果が報告された。同会議の「学生の学力低下問題に対するワーキンググループ(WG)」が実施したもの。
同WGの座長で顧問の吉村博邦氏は、「過去5年間における医学部4年生に実施するCBTとOSCE、医師国試の合格率などには明らかな変化は見られない。医学生の学力低下は、2008年以降の入学定員増の影響が強く示唆される」と指摘、「偏差値がすべてではないが、一定の理解力、判断力などが求められる。これ以上の急激な医学部入学定員増は、医学生の学力低下を一段と加速することが懸念され、政府には定員増に対する慎重な対応を強く求めたい」と強調した。
調査は全国の医学部あるいは医科大学、計80校の医学部長あるいは教育担当責任者を対象に、2010年12月から2011年1月にかけて実施。主な結果は以下の通り。

【学生の学力低下問題に関する調査の主な結果】
医学部定員は、2008年に168人増、2009年に693人増、2010年に360人増。
◆1年生留年者数:2009年は、2008年に比べて有意に増加(P<0.047)
・53校(国立30校、公立2校、私立21校)のデータ
 ・2005年134人(入学者に対する留年者の割合は2.644人)、2006年131人(同2.556人)、2007年133人(同2.620人)、2008年148人(2.902人)、2009年176人(同3.178人)
◆2年生留年者数:2009年は、2008年に比べて増加
・53校(国立30校、公立2校、私立21校)のデータ
 ・2005年289人、2006年321人、2007年312人、2008年277人、2009年341人
◆「前期一般選抜試験の最終合格者」のセンター試験の平均点と最低点:2010年は2009年に比べて有意に低下(平均点:P<0.001、最低点:P<0.01)
・39校(国立30校、公立6校、私立3校)のデータ
・平均点:2006年90.1%、2007年86.6%、2008年88.5%、2009年86.2%、2010年84.5%
・最低点:平均点:2006年84.9%、2007年80.8%、2008年83.1%、2009年80.0%、2010年77.8% 

 1年生には、「生物、物理、化学」の補習も 
さらに、「教員から学生の学力が低下している、という意見があったり、そのような傾向があるか」との質問に、「ある」と回答したのは、79の回答校のうち68校(86%)、「ない」は11校(14%)。
その根拠として、(1)授業中の態度(私語や教員の指示への対応)の変化、(2)1年生における理科(生物、物理、化学)の成績低下、(3)進級試験不合格者数の増加、などが挙がった。
学力低下の理由として最も多かったのが、「小中高の、いわゆる、ゆとりカリキュラム導入」、以下、「若者全体のモチベーションの低下」、「医学部教員の多忙」、「医学部定員の増加」などの順だった。
90%(70校)が学生の学力低下に対し、「何らかの対策を講じている」と回答。「1年生で生物、物理、化学などの補習を行っている」、「講義・実習の出席を厳しくチェックしている」、「学生にチューター・メンターをつけている」などがその内容だ。

これらの結果を受け、会長の黒岩義之氏は、次のように語った。
この10年前くらいから、特に理科系の学力の低下がベースとしてある。さらに、5、6年前から18歳人口に対する医学部入学者の割合が低下していた。また、モデル・コア・カリキュラムは医学教育の全体的な底上げの意味ではいいが、一方で、画一化という点では、少しマイナスの面があった。これら複合的な要因で、医学生の学力低下が10年前、あるいは5、6年前から生じていたが、医学部定員増で、この問題が顕在化したと思っている。2008年以降の医学部定員増は、医師不足の緊急対策としては必要な、“治療”であり、功を奏したのは事実。しかし、その“治療”の副作用として、医学生の学力低下などが生じてきた。18歳人口はこれからますます減っていく。これ以上、入学定員は増やしていけない。医学部新設はあってはならない


わざわざP値までだしてお疲れ様なのですが、医学部長会議がこんな程度の低いスタディたてるとは、やはり日本の学力低下は深刻なのですね(笑


近年の「入口」の学力低下は今さら今さら議論するまでもありません
定員増や地域枠(一般化したのは2008年以降)で、ほんの7~8年前までの私たち医学部定員削減時代であれば落ちてた層に門戸が開かれたんですから、平均や底辺が低下するのは当然です
ただ、それを証明する方法が間違ってるという話です


まず、国試の合格人数・合格率は政治的に調整されているのでマーカーになりません

次に、「学力低下」がいつからあったのかがまったく証明されていません
10年前からあったなら、2008年と2009年を比べて、定員増が悪いというのはミスリードになります
せめて臨床研修医の入学時および卒業時のデータも出すべきでしょう

仮に、10年前から学力低下があるが卒業時のレベルは変わらないというなら、
「入学時点はこれだけバラツキがありましたが、卒業時にはみんな必要レベルを達成しました」
と宣伝するところですよ?



いま問題なのは、入学者の底辺が広がったことではなく、そんな「ずっと前からわかりきってたこと」に対して大学が未だに結論を出せていないことじゃないでしょうか?


そもそも医学部定員増になったのは、医師不足が原因です
定員増のペースに教育改革が間に合わないから少し待ってくれとか、もっと金よこせとかいうならわかりますが、入学時学力が低下しているから定員を増やすなというのは、話が通りません


国家の方針に従い、教育を強化して底辺を引き上げて医師増員を目指すのか
大学自治にこだわり、医師個人のハイスペックのために少数精鋭にして底辺を切り捨てるのか

決めるのは、そこでは?




つーか、外からの患者みてると、「学力が高かった時代」のお医者さんが、そんな言うほどみんな優秀には見えないんですけどね…


医療がちゃんとシステム化されてれば、いままでよりも低いレベルの医師でも医療全体は底上げできますよ
米軍が、その辺のヤンキーを世界最高峰の一人前のソルジャーに育て上げるシステムとかは見習うべきだと思いますがね


単に、教授たちの運営能力のなさを、臨床研修必修化や定員増のせいにされてはたまりませんよ

 「判断することを仕事とするトップは、アイデアを拒否する。現実的でないとする。イノベーションを可能とするのは、生煮えのアイデアを体系立った行動に転換することを自らの仕事と考えるトップだけである」(『断絶の時代』) 

2011年6月5日日曜日

責任と行動

今週は小ネタが多いのでどれにするか悩みましたが、これにしました

法か倫理か、救命士の処分がネットで物議 

 静岡県内の東名高速道路で4月中旬、交通事故の現場で静脈路確保の救命処置を行った茨城県石岡市消防本部の救急救命士の男性(54)が、5月31日付で同本部から停職6か月の懲戒処分を受けた。消防署から持ち出した注射針などを使用し、勤務時間外に医師の指示を受けずに処置を行ったことが、関係法令に抵触する可能性が高いと判断されたためだ。愛知県常滑市でも2月、職務中の救急救命士が、現行法が禁止する心肺停止前の患者に点滴を行った事件が発生しており、法律と倫理のどちらを優先させるかをめぐって、インターネット上で議論が巻き起こっている。
 石岡市消防本部によると、男性は4月14日午後、東名高速道路で発生した交通事故の負傷者を救うため、意識のあるけが人に静脈路確保を行った。現行法で救急救命士は、医師の指示がなければ救命処置ができないうえ、静脈路確保は心肺停止の患者に対してのみ許されている。男性は、「法律に触れる可能性があることは分かっていたが、助けたい一心だった」という。
 使用された注射針などは消防署の備品で、男性はその管理を任されており、懲戒処分を受けた5月31日に男性は依願退職した。鈴木徳松消防長は、「人命救助を目的とした行動であっても、関係法規に抵触する可能性が極めて高く、誠に遺憾(いかん)だ」とコメントしている。
 救急救命士の違法行為をめぐっては、愛知県常滑市で2月、交通事故の負傷者を病院に搬送した男性(38)が、救急救命士法が禁止する心肺停止前の患者に点滴を行ったことが報道されている。市消防本部によると、男性は「何とかしてあげたいと思った」と話しており、同本部では現在、医師や県の関係者を交えた検証会議で男性の処分について検討している。
■非番の日に生かせない免許
 石岡市消防本部の救急救命士の懲戒処分について、インターネット掲示板では、「情状酌量の余地アリだろ」「目の前に消えそうな命があるのに助けちゃだめなんて救命士だれが志すんだよ」「こういうのがあると現場はやる気なくすんだよな。救える命が救えなくなるかもな」といった同情論がある一方、「自分の都合で平気で法を犯すような人間、組織としてもこんなの面倒みきれんわ」「助けた事はいいと思うけど、注射針持ち出しはちょっと理解に苦しむ」「むしろこの行為によって助からなかったってことが無かったんだから良いかってくらいだ」などの意見も出ている。
 日本救急救命士協会の鈴木哲司会長は、男性が備品を持ち出したり、医師の具体的な指示を受けずに、意識のある傷病者に静脈路確保を行ったりしたことを問題視し、「報道が感情論に走っているのが気になる」と指摘する一方、「非番の日に免許が生かせない。これが救急救命士の実情なんです」と打ち明ける。
 法律上、救急救命士として職務が行えるのは原則、救急車の中だけ。このため、車内にいなければ救急救命処置を行えないのが現状だ。東日本大震災の発生を受け、厚生労働省は3月、救急救命士が行う心肺停止患者への医療行為について、被災地の通信事情の悪化で医師の指示を得られない場合でも、違法行為には当たらないとする通知を都道府県などに出しているが、「被災地に行っても、その技術を生かす機会のない救急救命士が大半」(鈴木会長)という。
 救急救命士の職域拡大は、政府の行政刷新会議の分科会が1月にまとめた検討項目に含まれており、内閣府と厚労省の政務三役は月内にも、震災の影響で休止していた協議を再開させる方針だ。
( 2011年06月03日 16:55 キャリアブレイン )


私見を言わせて頂くなら、 今回の件は「法か倫理か」ではなく「法も倫理も」アウトです
そもそも、この場で使われている「倫理」とは「職業倫理」でしょうか?「生命倫理」でしょうか?
まぁ、どちらにしてもアウトですが
それと、本件は非番かどうかは一切関係ないですから

法に関しては、まず、自分の立場を利用して医薬品と点滴セットを私物化している時点で、横領に当たります。100%、誰がなんと言おうとアウトです
これは、警官や自衛隊員が有事に備えて実弾入り拳銃を持ち歩いているようなものです



ましてや、医師の指示無く点滴を行ったことについては、医師法違反=傷害行為に当たり、刑事告訴されても文句いえないレベルです
(誤解の無いようにいっておきますが、私たち医師でも、患者でない人間に注射針刺したら傷害です) 


そもそも、医行為は医師の専業であり、看護師や救急救命士の医行為は、医師の指示の元で業務を代行するという形でしか認められていません
なぜそんなことになっているかというと、日本の看護師や救急救命士は、まだそのレベルにしか達していないからです
(注:業務に専念されている各氏を中傷する意図は一切ありません。途上国の医師が移住して看護師とかやってるような国と比べたり、救急車が無料のため医療用手袋の予算すら不足している業界にそれ以上を求める方がムリです) 


どうも(特に一般紙で)書いてる人間も理解していないようですが、心臓マッサージやAED、止血といった救命行為ならば民間人でも可能な行為であり、処分される謂われはありません
また、この男性が大量出血してるとかな状況であれば緊急避難も適応されるでしょうが、一般紙を見る限りではそんな記載はなく、胸痛(しかも日帰り)と書かれてました
となると、この患者はそもそも救命行為の対象であるのか?という疑問が湧いてきます
針を刺す前にバイタルチェックをしたのか、地元の救急隊とどういう連絡を取ったのかは是非とも明らかにしてもらいたいものですが、残念ながらそれらの記載を見つけることはできませんでした

こういう患者がERに運ばれてきた場合、交通事故によるハンドル外傷か、あるいは運転中に循環器疾患を起こして事故を起こした可能性が考えられるでしょうか
となると、下手な輸液は救命どころか追い打ちになる危険もあったということです

「何かをしたい」ではなく、「なにをするべきか、なにをすべきでないか」を判断するのがプロです
どう転んだところで、処分を免れられる状況ではありません

2011年5月22日日曜日

医療費は誰が払うべきか

不思議と医療ニュースや医療系ブログではほとんど取り上げられていないのですが、重大事項が霞ヶ関で動いています



医療費:定額負担構想 税断念し苦肉の策 給付抑制なく、財政再建派に不満

 患者から別途100円程度の徴収を--。そんな厚生労働省の「定額負担」構想は、難病患者らの負担軽減とセットになっている。東日本大震災の影響で強まる財政制約の下、弱者に優しい医療を実現し、「民主党らしさ」を示すための苦肉の策だ。ただ、同じ医療制度の中でカネをやりくりする案だけに、財政再建派が迫る給付削減には結びつかない。
 「政権交代の果実」を示すのと同時に、「福祉の党」を掲げる公明党に秋波を送りたい民主党政権にとり、医療費の自己負担に上限を設けている高額療養費制度の拡充は格好の材料。化学療法の発達で、がん患者らは日常生活を送れるようになった半面、治療が高額・長期化し、医療費がかさむようになっている。
 このため厚労省は、税と社会保障一体改革の議論が始まった当初から、制度の拡充を目指してきた。震災前、数千億円かかる財源は消費税増税で賄う意向だった。
 ところが、震災後は空気が変わった。逆に給付抑制を迫られ、仕方なくひねり出したのが自前で財源を用意できる1人100円程度の定額負担だった。厚労省が今回の一体改革で強調している「支え合い」の理念にも合致すると踏んだ。
 それでも、財務省や一体改革集中検討会議の財政再建派委員には、生ぬるく映る。一部委員からは「保険はビッグリスクに備えるものだ」と、保険免責制度の導入を求める声も出ている。
 保険免責は医療費のうち1000円程度の一定額までは患者負担とし、保険適用はそれを超える部分にとどめる仕組みだ。重病に適用するのが保険で、風邪などの軽い病気には使わないという考えに基づく。数兆円の医療費削減が見込めるものの、厚労省や医療関係者には「医療が必要な人まで通院しなくなる」と抵抗感が強い。
 政府内に医療費抑制ムードが強まる中、日本医師会の原中勝征会長は19日夜の検討会議直前、厚労省に細川律夫厚労相を訪ね、来年度の診療・介護報酬の同時改定見送りを要請した。「震災復興に全身全霊をささげるべきだ」。そう訴えた原中氏の腹の内を、厚労省幹部は「震災の影響で報酬が引き下げになることを嫌った」と読む。しかし、当の細川氏は最後まで明言を避けた。【鈴木直】
毎日新聞 2011年5月20日 東京朝刊

外来患者が重病患者を支えるとは、
大した「支え合い」ですな
「共倒れ」の間違いじゃないか? 
呆れてモノも言えん

結論から言うと、厚労省案も財務省案も「あり得ない」の一言です
ただし、「あり得ない」の意味はまったく異なります

まず厚労省案ですが、これは受益者負担でもなければ、「自分の不測の事態に備える」という保険ではありません
なによりも、健常人が一銭も払わないという時点で福祉ではなく、立場の弱い人間にさらなる負担を強いているだけです
いったいどの様な名前で徴収する気なのか、是非とも聞いてみたいモノです

一方で財務省案も論外です
まず 「保険はビッグリスクに備えるものだ」という彼らの前提条件ですが、そもそもこれは真でしょうか?
安ければ、自動車保険や生命保険は支払われませんか?

また、軽症患者の受診は医療者の過負荷を招いている一方で、重症化を防いでいるのも事実です
行きすぎた軽傷者の受診抑制は重症患者を激増させることは海外で実証されています
結果として、重症救急患者と医療費の増加を招く可能性が大で本末転倒になるでしょう

そもそもが、震災で医療費増が先送りになるのは致し方ないとしても、患者負担を増大させるというのはどういう理屈でしょうか?
火事場泥棒以外の何者にも思えません


どっちにしても、システム変更とクレーム対応で、収入が一銭も増えないのに苦労する羽目になるのは末端の医療機関です
閉院する診療所は一つ二つではきかないように思います

2011年5月15日日曜日

東日本大震災 No.7

久しぶりの大震災ネタですが、やっぱり厚労省が無能っぷりを発揮し始めました

被災3県の全仮設住宅群に診療所 厚労省
 厚生労働省は8日、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手、宮城、福島の3県に建設する仮設住宅群すべてに原則、仮設の診療所を整備する方針を固めた。診療に当たる医師や看護師らも被災地だけでは足りないことから、日本医師会などに中・長期の派遣を要請。常時、千人程度の応援を送り込む。
 震災で被災地の地域医療は大きな被害を受けた。もともと医療過疎地だっただけに再建には数年以上かかるとみられ、仮設診療所での医療支援で「空白を埋める」(厚労省幹部)のが狙いだ。
 避難生活の長期化で、避難所では体調を崩す高齢者が増加、深夜に肺炎などで救急搬送される例も少なくない。仮設診療所では風邪から高血圧症の治療など地域の診療所で受けられるような初期医療を提供、感染症予防にも当たる計画だ。
 阪神大震災の際も十数カ所で仮設診療所が設けられたが、地域医療が徐々に回復したため、医療支援は医師や保健師の巡回が中心だった。
 厚労省では、近くに病院や診療所があるケース以外は、仮設住宅群に診療所を設置。近所に診療所があっても大規模な仮設住宅群には診療所を設け、すべての入居者が診療を受けられるようにする。
 厚労省は第1次補正予算で被災地への仮設診療所約30カ所の建設費として約10億円を計上したが、避難所周辺への設置が中心で、仮設住宅への本格的な整備は第2次補正予算からになる見通し。
 被災3県には5月2日現在で日本医師会の災害医療チーム(JMAT)や日本赤十字社の応援医師、看護師、保健師ら約1100人が展開。厚労省では「今後数年は現在の応援人員ぐらいは必要」としている。
※仮設診療所
 大規模災害により地域の医療機関が被災した際、医師や看護師らが常駐、住民に初期医療を提供する施設。プレハブ造りが主流だが、組み立て式のものもある。阪神大震災時にも仮設住宅に併設された。東日本大震災で厚生労働省が計画しているのは、エックス線などの検査室なども備えた本格的なもので、1カ所につき3千万~4千万円程度の費用が必要となる。
 2011/05/08 19:03 【共同通信】

いうまでもなくネットでは批難にさらされてます
当たり前なことですが、亜急性期と同等の医療者を数年もボランティア派遣する余裕なんてどこにもないからです
ウチの病院では今月に入ってから派遣してないようです
まぁ、O-111の被災地域だからかも知れませんが

これに対して、阪神大震災で仮設診療所を経営していた方から突っ込みが入りました


2011. 5. 10
対応する仮設住宅が1000戸を切ると赤字に患者が徐々に減る仮設診療所には十分な支援を
伊佐秀夫(クリニック希望〔神戸市西区〕理事長)
 
 私は15年前の阪神・淡路大震災の際、1700戸ほどの規模の西神第一、第七仮設住宅で仮設診療所を経営していました。仮設診療所は当初、仮設住宅で2年間をめどに診療所を運営するとされ、診療所用地のほか900万円の予算が用意されました。
 仮設診療所の話が持ち上がった際、私は神戸市の病院で循環器内科の勤務医として働いていました。当初、厚生労働省は、震災で診療所を失った医師による仮設診療所の開設を期待していたようです。ですが、条件にうまみがなかったためか、手が挙がらなかったため、「やる人がいないならばやろう」と私が“立候補”したのです。もともと勤務医ですし、困っている人がいるのならばその期間だけでも診療所を運営し、また勤務医に戻ればいいじゃないかという気持ちでした。
 先でも触れたように、開設に際しては国から900万円の補助金がありました。ただし、900万円という額は、決して高額ではありません。建物を整備すると、残りは300万円程度でした。仮設の診療所とはいえ、そこから各種の検査機器のほか、キャッシャーやレセコンもそろえる必要があります。
 また、1700戸の仮設住宅があれば経営は成立しますが、仮設住宅からは徐々に人はいなくなります。最初は1日30人から50人程度の外来患者がいたでしょうか。ですが、開設から1年経った頃から患者は減り始めました。1000戸を切ったあたりで経営には赤字になりましたが、だからといって撤退できるものではありません。被災者の方に「見捨てられた」との印象を与えてはいけませんから、当初は「2年」との話だったものの、実際には3年半運営していました。


もし、厚労省が阪神大震災と同じ思考回路でいるんだったら、なおのこと手が上がることはないでしょう
っていうか、 
仮設診療所って国立じゃなくて私立だったんですね?!


今回の仮説住宅群の規模と数が調べてもよくわからないのですが、避難所周辺だけですでに30予定していて、仮設住宅にはこれからって…あわせて3桁は行きそうですね
阪神大震災ですら20行ってなかったようですが、それより小規模で分散するのは間違いないでしょう
まして、阪神以上の設備が求められるのなら、黒字化は不可能かも知れません

数年間、いくつの診療所をボランティア運営しろと言うのでしょうか?
スタッフも設備も民間頼みで無茶な要求ばかりというのはいただけませんな



ところで、先日は看護の日(ナイチンゲールの生まれた日)でしたが、
ナイチンゲールって、奉仕の精神は尊重したものの、ボランティアに頼った支援は否定し、経済支援を最重要項目にあげていたことってご存じですか? 

2011年4月24日日曜日

東日本大震災 No.6(4/18~4/23)

テレビ報道を見ている限りでは大した進展が見られない被災地ですが、いつの間にやらすでに6週間を超えてしまいました

ここにいたり、やっと望まれていた組織が立ち上がりました

被災者支援の連絡協議会、連休明けに始動- 代表に日医の原中会長
  東日本大震災の被災地のニーズと医療・介護団体による支援をマッチングするため、日本医師会や日本歯科医師会などが参加する「被災者健康支援連絡協議会」が4月22日、政府の「被災者生活支援特別対策本部」の下に設置された。被災地の医療ニーズに応じた医療チームの中長期的な派遣や、被災者の健康確保などに取り組む。5月の連休明けには実質的な活動に入る見通し。
 協議会のメンバーは、日医や日歯のほか、日本薬剤師会、日本看護協会、全国医学部長病院長会議、日本病院会、全日本病院協会など。各団体間で情報を共有し、協力調整して支援に取り組む。代表は、日医の原中勝征会長が務める。
 協議会は、医療チームの中長期的な派遣のほか、避難所などでのニーズを把握し、感染症対策など被災者の健康確保に必要な取り組みを行う。対策本部は同日、協議会にこれらの取り組みを行うよう協力要請した。協議会には「連絡事務局」が置かれ、厚生労働省が関係省庁の協力を得て実質的な庶務を行う。
 同日、記者会見した原中氏は、「夏に向けて、感染症の問題、被災者の健康上の問題をきちんと把握して、わたしたち専門家が力を合わせて対策を行っていく。被災者の方々の健康を守るために頑張りたい」と意気込みを語った。
 会見に同席した嘉山孝正副代表(全国医学部長病院長会議相談役)は、週明けにも会合を開き、具体的な活動に向けて詳細を詰める方針を明らかにした。嘉山氏は、「効率的で持続可能なものにする」と述べた上で、「5月の連休明けには実質的な活動に入りたい」との考えを示した。
■協議会設置「省庁の壁を越えた」-民主・足立参院議員
 同協議会について検討を進めてきた民主党の「被災者健康対策チーム」で取りまとめ役を務めた足立信也参院議員は同日、記者団に対し、「日本初の試み。省庁の壁が越えられたと思う」と語った。足立氏は協議会のメンバーに入っていないが、オブザーバーとしての参加要請があれば、積極的にかかわっていく考えだ。
 足立氏によると、協議会は今回の震災に限らず、今後の災害発生時にも対応する。足立氏は、「災害があった時に即座に集まって、災害の程度に応じた(支援の)提供体制を協議していただく形になると思う」と述べた。
( 2011年04月22日 21:56 キャリアブレイン )

なぜこの立ち上げに6週間もかかったのかは疑問ですが、やっと基本体制にメドがたったことは素直に喜びたいと思います
とはいえ、これだけの組織が手を組むのは恐らく初めてではないかと思われ、船頭多くして…とならないかは不安があります。しばらくはまだまだtry&errorが続くかと思われます。
後は、官僚が官僚語と手続主義から脱却できるかが課題ですね…

今回の震災で色々やらかしてますが、前回紹介した被災者の医療費免除とか、原文を見ると平時ですらやりたくないっていうか、ワケわからん代物なのがよくわかります
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000015rt9-img/2r985200000163i5.pdf

まず前文からして
一部負担金等の支払いを受けることを、2に掲げる期間猶予することができるものとする。
と書かれており、「被災者から医療費を取ってはならない」とか「国が支払う」ではないということがポイントですね
で、支払いを猶予される条件が、まず厚労省が認定した被災地であり、かつ以下の条件を満たすことが必要となります

① 住家の全半壊、全半焼又はこれに準ずる被災をした旨
② 主たる生計維持者が死亡し又は重篤な傷病を負った旨
③ 主たる生計維持者の行方が不明である旨
④ 主たる生計維持者が業務を廃止し、又は休止した旨
⑤ 主たる生計維持者が失職し、現在収入がない旨
⑥ 原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号)第15条第3項の規定
による、避難のための立退き又は屋内への退避に係る内閣総理大臣の指示の対象地域であるため避難又は退避を行っている旨

…こんな煩雑な業務を被災地でやらせるとかどういう神経してるのでしょうか?
っていうかどうやって病院が窓口で確認するんだ?

そして、ここまで認定した結果は、
当面、5月までの診療分、調剤分及び訪問看護分について、5月末日まで支払を猶予する取扱いとする。
なんですよね…
じゃあ6月になったら病院が徴収に行くのか?となったところで最後の最後に
保険医療機関等が猶予した一部負担金等については、各保険者において減免・猶予等いただくよう保険局より依頼する予定である。
で文書は終わります
…この文書、日本語として破綻してると思うの私だけでしょうか?
結局誰がいつ払うんだよ?
金がなければ回らないのは被災地の病院も同じだぞ? 


とまあこんな感じなので厚労省とタイアップってのは…非常に不安はあります。厚労省の認可がなければ協議会はなにもできないと言うことだけはないようにしていただきたいです

しかし、患者移送や物資輸送ルートの確保には医療者と各省庁の連携は避けて通れない道なのは間違いありません。
実際、観光庁のおかげでよくわからんことになっているのもあるようです


Vol.136 連載 生命を奪う規制 第3回 政府が選んだ宿泊施設
●千葉県職員と困惑する医師
『宿泊施設における県域を越えた被災者の受入体制について』これは観光庁が3月25日に出した通知です。
この通知が原因で、医師と県職員との間で軋轢が生じました。県は、災害救助法を適用した受け入れは、旅館ホテル以外では不可能であるとの解釈したため、ペンションや民宿で宿泊に災害救助法を適用することを拒否したのです。
小松秀樹氏(亀田総合病院副院長)は、『旅館組合に入っていれば災害救助法が適用されるが、それ以外はダメ、つまりペンションや、民宿はダメだと言われ、 さらに災害救助法自体のお金の出処が、被災県でそこからな何の話もないので、千葉県は手を挙げない、と言われました。』と憤ります。

患者移送時に、小松氏が観光庁令はただのホテル業推進でしかないと騒がれていた記憶がありますが、これで腑に落ちた気がします。
あの知事ですから今さら呆れることはなにもないわけですが、職員の対応が速やかであると評価された都とは好対照ですね
まあ、  災害救助法自体のお金の出処が、被災県というのもおかしな話ですが
 
病院が患者を受け入れようにも、地方自治体の協力がなければどうにもなりません
確か自治体長の集会があったように記憶してますが、その辺の「協力」を協議会がどう取り付けるか、そのためのシステムを官僚が創れるかが今後の鍵だと思います


ところで、いつの間にやら計画停電は終わり、夏の対策が急務となってますが全国医学部長病院長会議がこんな声明を出しました

大学病院の節電「3%が限界」- 全国医学部長病院長会議
 全国医学部長病院長会議(会長=黒岩義之・横浜市立大医学部長)は4月21日の定例記者会見で、今夏の電力不足への対応について、「使用電力3%の削減が、大学病院の医療の質を落とさないための限界だ」との認識を示した。
 政府が示した今夏の電力需給対策では、契約電力500キロワット以上の大口需要家は、最大使用電力を昨夏比25%程度に抑制することを求めており、大学病院も対象となっている。
 黒岩会長は、3月に計7日間の計画停電が実施された東京女子医大八千代医療センター(千葉県八千代市)を例に、手術や内視鏡検査、救急受け入れなどの制限のほか、MRIやCTなどの電源を何度も入れ直すことで機器の不具合が生じるといった影響があったことを説明。自家発電による対応では、限界があると強調した。
 また、森山寛副会長(東京慈恵会医科大附属病院長)は、東京電力と東北電力管内の10大学で節電シミュレーションを行った結果、スタッフエリアの空調や照明の制限、電子カルテ端末の一部停止などで3%程度を削減できるとしたが、「3%以上カットすると、医療の質を落とさざるを得ない」と述べた。
 同会議と国立大学医学部長会議、国立大学附属病院長会議、日本私立医科大学協会は同日、民主党の「電力需給問題対策プロジェクトチーム」に対し、大学病院を使用電力抑制の対象から除外するよう求める要望書を提出した。要望書では、「25%電力抑制は、外来または病棟を閉鎖しない限り達成困難」だと訴えている。
( 2011年04月21日 22:46 キャリアブレイン )

これ、事実上のストライキ宣言ですねぇ(笑
まあ、学習能力がない方が悪いんですが
実際問題、重要施設を計画停電から外すのと、重要施設を停電中自家発電でぶんまわすのと、どちらがコスト低いんでしょうね?

ちなみに、日赤は計画停電中は自家発電で血液製剤を守っていたそうな

2011年4月17日日曜日

東日本大震災 No.5(4/11~4/17)

気がつけばもう震災から5週間経ち、桜の花も散る頃となりました
しかし、未だに東北~東関東では大きな余震が続いております
未だに遠隔地や避難所にいる方も多く、またインフラの崩壊により帰宅しても大きな問題があることと思います
私の勤める病院からも支援チームが交替で派遣されていますが、いつまで続くのか先が見えない状態です
そんな状態で、ベースとなる仮設診療所の設立がやっと決まりました

被災地に仮設診療所設置 50カ所、1次補正で14億円 厚労省、医療復興目指す
2011年4月14日 提供:共同通信社
厚生労働省は13日、東日本大震災で特に甚大な被害が出た岩手、宮城、福島の3県に仮設の診療所や歯科診療所など約50カ所を設置することを決めた。津波で診療所を失った開業医に優先的に担当してもらうが、ボランティアの医師もサポートする。2011年度第1次補正予算案に約14億円を盛り込む。
厚労省は、診療所や医師が被災し、初期医療が空白となっている地域に仮設診療所を設置することにより、地域医療復興の足掛かりとしたい考えで、さらに数を増やしていく方針。
仮設診療所では、避難所を出て仮設住宅などに移った被災者に対し、風邪の治療から、高血圧症など慢性期の治療、採血などの検査まで行い、震災前に地域の診療所が担っていた、初期医療の提供を目指す。阪神大震災では、3年以上設置されたケースもあり、今回も長期にわたり、地域医療を支える役割が求められそうだ。
岩手県などによると震災で、大船渡市や宮古市など太平洋沿岸部で少なくとも医師2人が死亡し、4人が行方不明。27の医療機関が休止に追い込まれ、再開の見通しが立っていない。福島、宮城両県では、診療所の状況について、被害が大きすぎて把握していないとしている。
被災地にはボランティアの医師や看護師が避難所を回って医療活動を行っているが、被災地が広範囲にわたることから、仮設診療所の設置を求める声が上がっていた。

補正予算案が通らないとできないというのが鈍亀ですが…
急性期ではなく、あくまで復興期の支援と考えた方がいいのでしょうかね?

急性期の問題といえば、被災地でだいぶ想定の斜め上のことが起きているようです

 
東日本大震災:保険証紛失者、「全額負担」の苦情殺到 病院「免除の事務作業困難」 

http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110415dde041040030000c.html
厚生労働省は今回の震災で、地震や津波で自宅が全半壊した人、福島第1原子力発電所の事故で避難を余儀なくされた人などを対象に、窓口負担の猶予を認めるよう都道府県などに通知した。最終的には保険者(健康保険組合など)に全額負担を求め、被災者の支払いは免除する方針だ。
これに対し、医療機関からは反論の声が上がる。いわき市にある公立病院の事務担当者は「免除の措置は知っているが、震災の混乱で事務処理能力を完全にオーバーしている」と語気を強める。
保険証をなくした被災者が窓口負担の猶予を求める時は、自身の入っている保険の種類などを自己申告する。医療機関側は、それに基づいて保険者に問い合わせ、裏付けを取る必要がある。
だが、この担当者によると、窓口には避難生活で体調を崩した人などで常に長い行列ができており、確認作業に時間を割く余裕はないという。「払える人にはいったん払ってもらうしかない」のが現状だと説明する。
厚労省医療課は「被災者自身は免除される立場にあることを主張してほしい」と話している。【渡辺暢】


えーと、なんか医療機関と健康保険組合に、人災(政災?)ともいえる震災二次被害が発生しているようですが…
この制度、私も知ってはいたんですが、てっきり生活保護扱いで国が無条件で支払うのもだと勝手に思い込んでいました
まさか、事務手続を病院に、金銭負担を保険組合に全部丸投げしてるとは想定してませんでした
っていうか、こんなことで通信トラフィック占有させるな

さて、ということは、国のつくる仮設診療所とやらもこれと同じやりとりをすることになるのでしょうか?
国営無料診療所をつくる気はなさそうですね
この辺も次の震災に備えて叩いておく必要がありそうです

また、こうした状況の中で、数十年以内に日本のどこかで同等の震災が来るであろうことを見越した、「次の震災の対策」もはじまりつつあります

日本小児科学会が、病院機能のデータベース作成に着手しました

■■ 日本全体の小児医療のリソース管理のご協力のお願い
http://www.jpeds.or.jp/tohoku-j.html
今回の震災に伴い、今後は被災されたご家族の移動などによってこどもの疎開が増加し、被災されていない地域での患者増が懸念されます。
また、被災地においては壊滅的な被害を受けた病院も多く、医療機関の分布も再構築されると思います。
したがって、今回の震災で被災された地域の病院小児科の被災状況や患者受入状況などを知ると共に、被災されていない地域の病院小児科の支援可能な状況を提供することが必要な状態になっています。さらに、現況を理解した上で日本全体の小児医療のリソース管理を行うことが求められます。
この様な目的を支援するために、名古屋大学医学部附属病院病院長補佐・メディカルITセンター長 吉田 茂先生が「PedPower」を作成されました。これを小児科学会HPにリンクします。
各病院におきましては、ご登録をよろしくお願い申し上げます。


被災時の援助をするにも、どこにどんな病院・患者があるのかわからないと手の打ちようがありません
また、これは有事のみならず、平時の医療機関の病院機能集約化にも役立つ情報であり、是非とも進めていただきたいものです
本来なら、政治的役割からも基礎情報を所有してることからも厚労省が行うべきことだと思いますが、官僚機構はシステムの外側のことが起きるとむしろ邪魔にしかなりかねないことが判明してきましたので、これは是非とも各学会、各大学が中心となってとりまとめていただきたいと思います


一方で、想定の斜め上のことを言い出す人たちもいます
まぁ、空想科学読本的な感じで見ていきましょう


介護、看護資格者の「予備役制度」創設を- 災害時にらみNPOが要望
NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」(樋口恵子理事長)は4月11日、介護福祉士やホームヘルパー、看護師などの有資格者で、普段は医療・介護現場で働いていない人を、災害時に非常呼集できる「予備役制度」の創設を求める要望書を細川律夫厚生労働相あてに提出した。 
要望書の中で同会は、「人間の生命を支えるライフラインの担い手」である介護職員が災害時に確保されないと、高齢者や障害者など多くの生命が失われると指摘。普段は資格を生かして働いていない介護職や看護師、保健師の有資格者が、災害時に非常呼集に応じて救援に駆け付ける予備役制度の創設を求めている。介護職予備役は年数回の研修を受け、災害時には各職能団体が招集するイメージ
( 2011年04月11日 20:32 キャリアブレイン ) 


面白い発想であることは認めますが、何故彼らが離職するのかに思い至ればこんな発想は出てこないと思いますが… とりあえず、「予備役」ってなにか知ってますか?
どう考えても、平時の離職防止・復職支援が先ですし、それできる社会システムなら予備役制度なんて不要でしょう
っていうか、このクソ忙しいときにそんな緊急性の欠片も具体性もないイメージで業務の邪魔をするとかどれだけ脳内お花畑なのかと(ry 


さて、ある意味もっと度肝をぬく話が政治家の方から飛んできました

病院船で災害時の救急救命を- 超党派議連が会合
  超党派の国会議員でつくる「病院船建造推進議員連盟」(会長=衛藤征士郎衆院副議長)は4月14日に会合を開き、厚生労働省や防衛庁など関係省庁から、東日本大震災の被災地の状況や現場での医療ニーズなどについてヒアリングした。衛藤会長は病院船建造に向けて、今年度中の調査費の予算計上を政府に求めていく考え。
同議連は東日本大震災の発生を受け、12日に発足した。
衛藤会長によると、病院船では災害発生時から72時間以内の救命医療を行う。災害発生後、病院船は被災地の沿岸に停泊。ヘリコプターやホバークラフトなどで患者を搬送し、船内で治療する。被災地沿岸で早期治療を行うことで、より多くの患者の救命につなげるのが狙い。
また、平時には離島の医療支援や国際災害における支援を行うという。
衛藤会長は会合後、記者団に対し、病院船について「被災地の医療者のマンパワーを補完する規模でなければならない」として、500床ぐらいあるものを造りたいと意欲を示した。
次回会合では、在日米国大使館などから病院船の運用状況についてヒアリングする予定。
( 2011年04月14日 18:47 キャリアブレイン )


個人的には病院船自隊は最低でも太平洋と日本海に1隻ずつ必要だろうと思います
ですが、私が考える病院船は、言ってみればドクターヘリ空母に転用可能な軍艦です
今回の震災でもヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」が活躍していることから、同型鑑もしくはダウングレードしたものを非武装で海自か海保あたりに所有してもらい、大災害時には派遣するというのがいいのではないかと思います
議連が言うような、控えめに言っても意欲的すぎる機動大病院ではありません
アメリカにマーシー級(病床1000床、手術室12室、ヘリポート、CT付き)があるじゃないかとかいう突っ込みもあるでしょうが、 あれは有事のみの使用でいってみれば出張病院です。出動の時だけスタッフが集められるので出動までは5日を見込んであり、外洋での戦闘もしくは自然災害亜急性期の医療支援用といえ、議連の考えているものとは運用目的がまったく異なります。
議連の自室に潜水空母の模型とかないことを祈ります。これは「仕分け」OKです。むしろ推奨
つーか、この人は病院船にのる医療スタッフをどうするつもりなのか?


まぁみんなしてパニックになってるんだとは思いたいですが、ものには限度というものがあります
理系の人間なら誰でも感覚的に理解していることだと思いますが、ホリエモンのセリフを抜粋して本日のシメとさせていただきます


99.9%のジレンマ
http://ameblo.jp/takapon-jp/entry2-10845889481.html 
リスクをゼロにはできないんです。宇宙開発なんかやってるとよーく分かります。出来る事は99.9%の小数点以下の9をどこまで増やせるかだけです。
で、ここはコストと人々の気持ちのトレードオフになります。例えば1000年に一度の大災害に備えるか、あるいは1万年に一度の大災害に備えるか?等。一般的に小数点以下の9を増やすと指数関数的にコストが増えていきます。リスクはやらない以外ではゼロにはなりませんから、やると決めた以上どこかでトレードオフをすることになります。

2011年4月10日日曜日

東日本大震災 No.4(4/3~4/10)

とうとう震災から4週間が経ちました
支援が安定してきたためか、被災当時の情報が整理されてきていますが、今回はなかでも重大なシステムエラーと思われる2つの事例を紹介します

まずは、ドクターヘリパイロットのブログより紹介させていただきます
一般にはほとんど知られていない、ドクターヘリなど公的機関のヘリの多くが民間の下請けという実態を赤裸々に暴露して下さっています

大災害時のヘリコプターの燃料
http://blogs.yahoo.co.jp/bell214b1989/64236021.html
そもそも民間機が自衛隊の飛行場に着陸すること自体、異例中の異例ですが、さらに、着陸後すぐに自衛隊の給油車の方が、何リッター補給しますかと聞いていただいたのにはたまげました。多分その方はドクターヘリが都道府県の運航するヘリだと思い込んでおられたことでしょう。民間登録の防災 消防 警察のヘリには普通に給油して回っていたのですから。まさか非常時震災に際して民間のヘリに何の事前協議もなく給油するようなことを決めていたのでしょうか。支払いのこと課税のことなど多分何も考えておられなかったことででしょう。
http://blogs.yahoo.co.jp/bell214b1989/64267483.html
大阪の橋元知事は大阪ドクターヘリの出動回数があまりにも少ないので奈良県や和歌山県さらには京都府を越えて滋賀県までその飛行エリアを広げ、他県からは1件30万もの費用を徴収しながら運航会社には1円も支払っていません。また関西広域連合へ入らない奈良県にはその負担を増やすようなことを発言しています。そのときの弁 『契約で何回飛んでもでも支払いは同じなので他県へもどんどん飛んでもらいます。』 これってそもそもの契約エリアを定めなかった 弱い業者が悪いのか、強い役所が詐欺まがいの事を強要しているのでしょうか。滋賀や奈良、和歌山へ飛ぶ燃料代は誰が支払うのが正しいのでしょうか、大阪ではほとんど飛ばなくて奈良や滋賀へばかり飛んでいたら誰でもそう思うでしょう。

今回の震災では民間、公的機関、自衛隊、米軍入り乱れての空挺作戦が繰り広げられていたわけですが、公的機関として出動しても民間登録のヘリは本来は完全にボランティア出動だったと言うことなのでしょうか?
改めて言うまでもありませんが、有事ではドクターヘリに給油した自衛隊員の方が常識で、その後処理をするのが政治家の仕事です

平時でさえドクターヘリって初期契約の時点で見積もり甘くてボロ雑巾になるまで使い倒される方向でもともと赤字部門だったりしますが
普段からこんなんでドクターヘリはいつまでもやってける…わけないですよね
せめて有事に際しては、国が全て借り上げるくらいのことはやるべきでしょう


次は、ニュースにも取り上げられた透析患者大移送の舞台裏です
これは気をつけて読む必要があります


梅村聡の目 ② 政・官の仕事は、民を支えることにある。
http://lohasmedical.jp/news/2011/04/04102919.php 
地震発生3日後の14日、知り合いの医師から、福島県いわき市に1200人ぐらい透析患者さんがいるので搬送したいという電話が来ました。東京の大学病院か千葉県の亀田総合病院などに移したいというのです。
しかし、厚労三役の1人に連絡したところ、「他にも色々な患者がいる」と言われました。まずは被災地の患者さん全体の搬送体制を作って、その中で考えようということでした。
私は一つでもいいから先に実績を作れば、皆がノウハウを学んで、自然にルートはできると考えていました。しかし彼は、先に枠組みだ、と言います。3回ぐらい連絡しましたけど、同じ答えばかり。
そうこうするうちに16日になり、いわき市が困っていると伝わって来ました。ボランティアで患者を運ぶつもりのバス会社が「県の許可がほしい」と言い、県は「厚労省の許可がほしい」と言っているけれど、許可が出ないというのです。別の三役に伝えたところ、厚労省に調べさせるから連絡先を教えてと言われました。2時間ぐらいして厚労省から「県の担当者と電話がつながらない」と返事が来ました。
タイムリミットだと思って、「この話は民間の話にしてもいいですか? 本当に県や厚労省の許可がなかったらできない話ですか?」と啖呵を切ったところ、厚労省も「そこまで言うんだったら動かして下さい」と折れました。
ようやく17日にバスが動いて東京や千葉に約740人の患者さんが移動でき、無事に透析治療を受けることができました。

Vol.103 ネットワークによる救援活動
http://medg.jp/mt/2011/04/vol103.html
3月15日、いわき市の透析患者1100名の搬送について、帝京大学の堀江重郎教授から相談を受け、民間バスでの搬送を提案した。「CIVIC FORCE」(大西健丞代表)の小沢隆生氏や旅行会社クラブ・ツーリズムのスーパー女性添乗員(実名の記載を断られた)がバス集めに奔走した。バス会社の担当者に断られてもひるまず、あらゆる伝手を使って社長に到達し、直談判したという。社長の立場では、社会的に要請を拒めないということを見越しての作戦だった。ところが、3月16日に福島県がバスを用意して搬送することになり、民の活動は一旦中断。その後も二転三転、何らかの理由で、県主導の搬送が止められた。当初、厚労省が止めたという情報が流れたが、真相は確認できなかった。
結局、民主導で、3月17日、7百数十名の透析患者を東京、新潟、千葉県鴨川に搬送した。当時、常磐道下りは緊急車両しか通れなかったが、堀江教授が、警察内部から直接情報を得て、県や国を通さず、所轄警察署で許可を得た。搬送費用は協和発酵キリン、中外製薬の寄付で賄った。


この2つの記事は同じ事象を記していると考えていいでしょう
しかし、初動の時系列や福島県の動きにはどうにも無視しがたい齟齬が見られます
また、梅村氏(民主党議員)が話を誇大化していないのなら、梅村氏が厚労相を押し切ったことになりますが、これは疑問が残ります
何故なら、14日に厚労省副大臣が以下の会見をされているからです

 大塚耕平厚生労働副大臣は3月14日の記者会見の席上、(略)
また、有事の際にどの医療機関に移送するかの互いの取り決めについても、 
「今回の話は国家全体の話であり、 『自家発電が立ち上がらないときは国が何とかしてください』という姿勢では困る。 自らエマージェンシープランを組んでもらわないといけない」
として、個々の医療機関が、高い意識の下で行うべきだと訴えた

というわけで、厚労省が患者の移送を邪魔するはずがないんですよね?
全員が本当のことを言っているとするならば、副大臣の記者会見の内容を、すぐ下の三役も同じ党員の梅村氏も把握していないと言うことになりますが?
霞ヶ関の中でこの体たらくでは、民主党および厚労省の情報ネットワークに重大な問題が存在することになります
中央の情報網については、意外にもウォールストリートジャーナルから突き上げが入りました



菅首相の官僚外しと原発危機対策
2011年 4月 10日 14:02 JST
http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_219448
 災害基本法に基づいて設置された災害対策本部があるにもかかわらず、菅首相は、同原発の事業者である東京電力(東電)への対応に新たな緊急対策機関を併設したのだ。
 菅首相が、おおかた反故(ほご)にしてしまった原発緊急時計画の策定にかつて一官僚としてかかわった与党民主党の福島伸享衆議院議員は、「マニュアルがあるにもかかわらず、マニュアル通りに動かず、アドホック的に自分たちで命令系統を作り時間を浪費している。実際にマニュアル通りに対応して事態がもっと軽症で終わっていたかどうかは分からないけれど、少なくとも対応が遅れた」と語る。
 福島氏は、「今や経済産業大臣も東電の本社に行っている。言ってみれば、消防庁長官が火事の現場にいっているようなもの」と語る。大将は本丸にいるべきで、現地に判断をさせる部分、大臣が判断する部分、総理大臣が判断する部分はマニュアルであらかじめ分けてあったのだが、「どこで誰が判断するかということが一番混乱している」と指揮系統の混乱を指摘した。
 地震後数日以内に、菅首相は独自の計画を練り上げていた。3月15日午前5時30分に東電本店に乗り込んだ首相は、東電本社内に統合対策本部を設置 することを経営陣に伝えた。この新しい対策本部には、菅首相の補佐官らを配置することとし、東電から直に情報を取って、その場で命令を出せるようにした。
 こうした臨機応変の措置は、各国が「責任の明確な割当」を伴う「指揮統制体制」を事前に設けるよう定めている国際原子力機関(IAEA)のガイドラインに反しているとみられる。
 首相側近によると、首相は22日の会合に原子力安全委員長ともう一人の委員を呼び出し、官僚の縄張り争いについて不満を表明することで、データ公表に直接介入したという。
 元官僚で衆議院議員の前出・福島氏は、皆が手順に従っていたなら、こうした情報は「即時公表」されていたはずという。一方、原子力安全委員会の広報官によると、データ公表の遅れは、重要データの不足と委員らの多忙な日程によるものだったと説明した。

さて、民主党内の内ゲバもあるようですのである程度は差し引いて読むにしても、私はこれまでの3回で、毎度毎度、各所の政治家と官僚の動きの遅さおよび事前のルール作りの不備について指摘してきましたが、

犯人は首相か?!

原発以外の指揮系統についても混乱の原因がどこにあるのか、今後是非とも明らかにしてもらいたいものです
っていうか、東電の社長だけじゃなくて首相も厚労省大臣もまったく姿が見えないのですが、どういうことなのでしょうか?
自分の仕事をしていないとか、表方と裏方の区別がついてないとかいうのは論外です 
これは、メディアがマスコミとなるかマスゴミのままでいるかの分水嶺となるでしょう





ところで、小児神経学会がなんかHPに載せていることに医師専門サイトで気づきました
私がまったく気づかなかったくらいなんだから、ほとんど知られていないんでしょうね…
まったくアピールになってないんですが…せめて報道と人権委員会にはこの文書を送りつけたんでしょうか?


 【緊急アピール】子どもに被害映像を見せない配慮を!
―子どもの心を守るために、マスメディアの方にお願いしたいこと―
http://child-neuro-jp.org/visitor/iken2/20110325.html

あと、厚労省がなんかガイドラインを前倒しで発表しました
…いくら試作版でも、災害時に329ページも読んでられないと思うのですが?
まあ、どのみち私は使うことないんで個人的にはどうでもいいのですが、完成版は1/10ぐらいにスケールダウンを目標にした方がいいと思いますよ?


高齢者災害時医療ガイドライン
http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/member/kaikai/koreisha-saigai-guideline-ikkatsu.pdf

2011年4月3日日曜日

東日本大震災 No.3(3/27~4/2)

早いもので震災からもう3週間が経過しました
入ってくる情報も、新規のものと言うよりは分析よりになってきてますが、支援と復興が広がる一方で、そこから取り残される人たちもやはり存在します


東日本大震災:避難所以外の被災者に救援物資届かず
 東日本大震災の被災地では、避難所には救援物資が届くようになってきたが、自宅など避難所以外で生活を続ける人に物資が行き渡らないケースが相次いでいる。避難所で食料をもらおうとして断られた例もあり、住民からは「支援の輪の中に入れてほしい」と悲鳴が上がっている。【金子淳、福島祥、樋岡徹也、福永方人】
 ガソリンスタンドや店舗が営業できなくなった岩手県大槌町。川沿いの集落に住む建築業、上野松二さん(49)は、自宅にあった米と梅干しで食いつなぎ、20日に隣の釜石市に買い出しに行ってようやく保存食を仕入れた。
 妻と2人で暮らす家に、津波で家を失った兄の家族3人も身を寄せ、食料は3日分ほどしかない。ガソリンも残りわずか。仕事がないため収入も途絶え、「避難所だけでなく、自宅に避難している被災者にも物資を届けてほしい」と訴える。
 住民が避難した高台の施設などがそのまま避難所になるケースもあり、被災者は広範囲に点在。自治体も被災して十分に機能しておらず、避難者の動向を把握し切れていない。
 このため自衛隊は、市町村が把握しにくい被災者の自宅や避難者の集まる施設などを訪問し、何が不足しているかなどの情報を集めて県に伝える取り組みを始めた。既に数百カ所の情報を把握しているという。自衛隊が物資を届ける所も多いが、防衛省幹部は「大型車両が入れない地域もあり、ヘリで対応するが、輸送能力は限られている」と話す。
 自宅で暮らし、避難所で食料の配給を受ける被災者も苦しい状況に置かれている。
 釜石市平田地区の県営アパートに住む主婦(43)は、近くの避難所でおにぎりなどをもらってきたが、電気が復旧すると、「明日から無しですよ」と通告された。「炊飯器が使えるだろう」という理由だった。主婦は「家があるだけましだけど、そんなことを言われても。食べる物がなくてアパートを出た高齢者もいる。この状態がいつまで続くのか」と不安を漏らす。
 全国から届いた物資は県から市町村を通じて避難所に届く。岩手県は「モノが足りないわけではない。市町村のニーズに合わせて配っている」。釜石市は「避難所に常駐する職員やリーダーには、周辺住民にも支援物資を配るよう指示している」と話すが、指示が徹底されているかは把握できていない。
 トラブルも起きている。釜石市内の小学校で避難生活を送る男性(62)によると、避難所に支援物資をもらいに来た地元の人が「家が残っているからダメ」と断られ、もめ事になった。男性は「困った時だからこそ、助け合わなくてはいけないのに」と憤った。
 NGO「難民を助ける会」の堀越芳乃シニアプログラムコーディネーターは「自宅にいる高齢者らは物資の配給が滞ると、危険な状況になりかねない。物資輸送はNGOやNPOに委託し、自治体職員は情報収集に専念するなど、海外の災害で実施されているような役割分担の工夫が必要だ」と指摘している。
毎日新聞 2011年3月27日 19時31分(最終更新 3月27日 19時38分)


これは被災当初から伝聞情報として流れていましたが、状況が落ち着きつつある今だからこそ表面化してきたのでしょうか?
貧すれば鈍すると言ってしまえばそれまでかも知れませんが、そうさせないためにこそ、人為や判断を要しない半自動的なシステムが必要なはずです
今後の高齢化社会では、避難所まで行けない施設入居者や在宅介護や大量に発生することは容易に予想されます
そういうところをどうフォローするかは、行政にしかできない仕事ではないでしょうか? 

現場の混乱はこれだけでは済みません
現地のサポートに入った医師たちにも混乱は広がっています


2011. 3. 28
現地の受け入れ体制の混乱で日医の災害医療チーム、派遣を一時ストップ指揮系統を再構築し、4月以降再開へ
野村和博=日経メディカル
 日本医師会が東日本大震災の被災地に派遣している災害医療チーム(JMAT)について、派遣および参加受け付けを一時休止したことが27日分かった。28日の時点で受け付けを休止しているのは宮城県、岩手県および茨城県への派遣。
 日医は「JMAT派遣体制の再構築について」という文書を、各都道府県医師会に27日に発出した。それによると、被災地にJMAT以外に医療チームが相当数入っており、現地医師会による状況把握が困難になりつつあることから、JMATへの参加受付を一時休止し、改めて状況を把握して派遣依頼する、としている。「多数の応募は来ているが、支援の医師たちをどう配分すればいいか、現地で混乱が生じている」(日医広報部)という状態だ。
 宮城県医師会の広報担当者は、「行政や日赤、独自のボランティアの医師などが多数来てくれたおかげで、医療者の数はかなり充実してきている。一方で県医師会が医療面の支援全体の統制を取るのが難しくなっており、避難所などで医療班がバッティングするといった事態も生じつつある。そのため、派遣の一時休止を日医にお願いした」と語った。
 ただ、休止は一時的なもので、現地での指揮系統が整って受け入れ体制ができ次第、日医は4月以降にも派遣を再開する方針だ。宮城県医師会の広報担当者も、「医療ニーズとしては慢性疾患の管理など、長期にわたる診療が必要になりつつある。各地からの医療者派遣には本当に感謝しており、切れ目のない医療を提供できるような支援を今後もお願いしたい」と語っている。
 JMATは25日15時時点で、のべ129チームが活動し、106チームが準備中。応募数については「具体的な数は把握しきれていないが、予想を上回る数が来ている」(日医広報部)。

まさに「船頭多くして船山に上る」の典型と言える状態です
これも、窓口が一本化されてないことから生まれた混乱です
被災直後ならともかく、2週間以上たってこれというのは流石にフォローできないです
とにかく官僚は法律の想定範囲外のことは鈍亀になるのはこの3週間でよくわかりましたので、救急医学会当たりを中心に災害時の統一窓口を医師の方でつくっておく必要があるかも知れません

また、人と病院だけではどうにもならない問題もあります

東日本大震災(被災地の現場から)
「2週間で大学機能はほぼ正常化、次なる備え開始」
山下英俊・山形大学医学部長、震災2週間後の現状を語る
2011年3月30日 橋本佳子(m3.com編集長)
 震災の翌3月14日の週は、手術は緊急の症例に限定していた。3月21日の週の後半になり、がんをはじめ、延期していた手術を再開。それでも山下氏が「ほぼ通常の病院機能」と断わるのは、震災前に行っていた医療は可能になったものの、まだ医療材料の供給が完全ではないこと、さらにはこれまでも東北大学病院から重症患者の受け入れを行ってきたが、今後予想される宮城県からの患者に備える「余力」を確保しておく必要があると考えているからだ。 
ガソリン不足は、職員の通勤の足を直撃した。大学病院近くの公共の宿を職員用に借りたほか、タクシー券を配り、相乗りして通勤してもらった。 



今回ダメージは比較的少なかった山形大でさえ「ほぼ」正常化に2週間かかったというのは貴重なデータです
交通インフラと補給網の重要さがよくわかります

さらにインフラと言えば、ちょっと意外な情報が入ってきました

2011. 3. 27
数十カ所の医療機関は特例的に計画停電の対象外
  停電を免れているのは、主に3次救急などを担う病院と推定されるが、今のところ対象外の医療機関は公表されていない。対象外とする基準について鎌倉氏は、「関係省庁などに教えていただきながら決定している」と説明した。
救急を担うような病院は自家発電装置を備えてはいるが、電力供給能力は自家発電装置の規模や性能によってまちまちで、停電中に消費電力の大きいCT検査やMRI検査、X線検査などができなくなる施設も少なくない。停電で必要な検査ができず、急性疾患を発症した患者への対応に苦慮する医療機関も出てきており、東京電力には停電対象外となっている医療機関名の公表が求められる。


これは少々意外でしたね
確か、計画停電初期には特定の施設だけを外すのは技術的に無理だと言っていたような気がするのですが?
計画停電は各所で不満がよく聞かれますが、外野から見てる分には、国が強制力を発揮しない以上、電力会社にできる範囲ではそこまでの悪手には見えません
もし国家的に計画停電対象外の病院を選定しているのなら、責任を持って国がそう司令するべきです

また、当然ながらその病院に患者が搬送されるようになってなければなりません
病院と救急では把握されてて裏輪番とかちゃんと組まれているのならいいのですが、一体どの様に選定され、どんな責任を求められるのかは今後のためにちゃんと整理されている必要があると思います


さて、透析患者の移住作戦もそろそろ落ち着いたと思いますが、実際どれだけの透析患者が移動したのかは完全な統計は取られていないようですが推計が出ました



被災地の透析患者4人に1人が県外か- 透析医会が推計
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/33316.html

1800~3000人というのは多いととるか少ないととるかは微妙なところですが、設備と物流の回復が思ったより早かったということでしょうか?
受け入れ施設の方は意外と余裕があったようです


約1万8000人の透析患者を受け入れ可能に-日本透析医会が被災地を支援
2011年3月27日 12:18
透析医会はあの被災状況から考えれば充分にスピーディーな対応だったと思います。
国による患者と医療機関のマッチングや移送が後手後手だったことを考えると、学会単位で有事の患者受け入れ体制を整備しておくべきかも知れません

また、患者移送等については患者情報の紛失などの問題もありました


Vol.95 災害に強い医療情報システムの構築を
医療ガバナンス学会 (2011年3月30日 06:00)
http://medg.jp/mt/2011/03/vol95.html 

個人情報保護やセキュリティの関係から悩ましいところではありますが、厚労省主導による電子カルテのクラウド化もしくは国家的なカルテ情報のバックアップは超長期的な作戦として検討の価値は充分にあると思います


今回の震災では、当然ながら医療者も亡くなっており、その補充戦力は重要です
しかし、既に影響も出てきています



県立医大合格者1人が辞退 原発事故の影響
2011年03月30日
県立医大は29日、医学部の合格者1人が福島第一原発の事故を理由に新年度からの入学を辞退したことを明らかにした。同大によると、入学手続きが震災をまたいだため、手続きの済んでいない合格者に対し入学の意思を確認した。その際、県外出身者の1人が25日に「原発の事故が心配なので入学を辞退したい」と話したという。この他に10人が辞退したが、いずれも他大学に合格したことによる辞退だったとしている。
2011年度の医学部の定員は110人。99人の入学手続きが済んでいるといい、同大は11人の追加の合格者を出して110人の入学者を確保するとしている。


なかなか、先はまだ長そうです

2011年3月27日日曜日

東日本大震災 No.2(3/20~26)

震災からはや2週間が経過しました
インフラの復旧に伴い被災早期の情報も整理させ始め、当初はズタボロだった被災者支援もようやく形になってきたので、そのあたりを中心にまとめたいと思います

<被災地の病院について>
情報から孤立した被災地 2011.3.24 
植田信策(石巻赤十字病院)
 宮城県石巻市は津波による水が引き、自衛隊による幹線道路の復旧が徐々に進んでいます。3月11日の地震と津波の後、石巻市は情報から孤立した状況に置かれました。
 仙台空港が津波に襲われる映像がテレビで繰り返し流されたため、全国から集まってきたDMATは仙台近辺の被害が大きいと考え、仙台入りしました。しかし、県内の他の被災地域の情報がなく、すぐに戻った隊もあったそうです。この時点で石巻から南三陸沿岸にかけての被災情報が仙台にはあまり入っていなかったようです。石巻市から、県の対策本部へ被災状況が伝わっていなかったのでしょうか。もっとも、石巻市役所は水没し、停電と固定電話・携帯電話の不通などにより市役所に被害情報が集約されなかったことが、県への正しい情報伝達を妨げたのだと思います。このため、石巻市立病院の被災情報を市が知ったのは2日後のことでした。
 石巻市立病院は海岸に立地していたため、津波により周囲が海とつながって、完全に孤立しました。水没のため自家発電も使えず、医療スタッフ、患者は押し寄せる水と断続的な余震の中、長い間恐怖に晒されていました。同院の医師が自力で脱出して市役所に直接知らせ、それからやっと自衛隊ヘリによる患者救出が始まりました。
 避難所への搬送も、情報不足に苦しみました。石巻赤十字病院にヘリや救急車で運び込まれ、治療を終えた傷病者や家族は、避難所への交通手段と避難所の受け入れ状況が分からなかったため、被災後72時間経過した時点で院内に約500人留まることになりました。具体的には、市が辛うじて手配してくれた、地元の観光会社のマイクロバス2~3台が市内の避難所を回り、受け入れ可能な人数を下ろして、次の避難所を探すといったものでした。病院から出たバスが戻ってくるのに長い時間を要し、院内の避難者はなかなか減らない状態でした。
 避難所への搬送を県や自衛隊に直接交渉しましたが、そんな情報は上がってきていないと、まともに対応してもらえませんでした。院内も救急対応で人手が足りないため、3人のスタッフでこれだけの人数に対処しなければなりませんでした。彼女たちは、避難所搬送が進まないことに怒り、情報の少なさに絶望的な気分でロビーで夜明かしせざるをえなかった被災者たちに、夜遅くまで対応していました。その職員の中には家族の安否も分からないまま職務を続けていた者もいました。
 避難所の情報も市が把握できず、食料や水などの救援物資が3日以上届かない避難所がありました。市が指定した避難所では収容しきれず、その何倍もの避難所が存在していましたが、通信手段がないため情報が市に伝わらなかったようです。
 避難所搬送での問題点は、受け入れ拒否となる対象者の存在でした。津波で流されて救助された被災者は家族同伴であるわけがなく、自力歩行できない被災者・傷病者や、寝たきりの高齢者、一人身の認知症の高齢者を受け入れる避難所がないため、介護や医療のスタッフがいる避難所ができるまで、院内に留まらざるを得ませんでした。
 また、週3回の透析が必要な被災者も、避難所との間の交通手段がないため、院内に留まることになりました。在宅酸素療法が必要な被災者も、停電により酸素濃縮器が使えないため当院に収容され、院内の各所に留まることになりました(約70人)。彼らは入院患者ではなく、当院は避難所でもないため食料も水も供給できませんでした。透析患者を収容する避難所が設定され、市と交渉の末シャトルバスを運行してくれるようになったのは、地震後約1週間のことでした。
 現在の喫緊の問題は避難所への支援です。食料の配給は、おにぎり1個、パン1個、それに果物類が加わるだけという分量です。これが1日分です。ボランティアや自衛隊による炊き出しが行われている避難所でなければ、極めて厳しい内容です。市ではこれらの配給さえ厳しい状況で、支援物資が届かなければすぐにでも倉庫の底をついてしまうとのことでした。
 また、衛生面も悪く、1000人の避難者に対し、仮設トイレが6基のみという避難所や、飲料水が足りない避難所など、感染症対策、エコノミークラス症候群対策の実施には程遠い環境と言えるでしょう。
 現在、避難所の情報収集は市と赤十字救護班で行っています。その結果を元に必要な物資の供給を県に依頼しています。しかし、十分な支援物資は届いていません。避難所には約2.5万人、食料の配給を必要としている住民も約4.5万人います。合わせて7万人分の食料供給が必要です。食料が届かないため、略奪が起きているとも被災者から聞きました。
 新潟中越地震や阪神淡路大震災でも、震災後の関連死が多数あったことを考えると、これから起こるであろう悲劇を最小限に食い止められるかどうかの分岐点に今、差しかかっています。支援物資が比較的豊かな仙台市から車で1時間の距離なのに、その格差は大きいのです。

さて、この記事一つで想像を絶する重要な情報がいくつもあるので整理しましょう
まず大事なのは、病院の被災情報が市に伝わるまで2日かかったということです
これは今回の震災の規模を考えれば妥当な日数と言えるかも知れませんが、なぜ情報網が電話しかないのか、(ダイハード4.0に出てきたような)無線通信は用意されていなかったのかということは今後十分に検討されるべきことです
軍隊では連絡のつかない部隊は壊滅したことを想定し、戦闘中行方不明はほぼ戦死扱いですが、こうした場合に準じた扱いを決めておく必要がありそうです
災害対策は情報戦から始まるということを肝に銘じる必要があります


またもう一つ問題なのは、まともな物資の補給や病院から出られる人間の後方輸送なしに、稼働している病院に次々と患者が搬送されていことです
素人から見ても施設はパンクし、食料と水がすぐに底をつくことは予想できます
水害のために負傷者が少なかったといわれる東日本大震災でこの状況では、阪神大震災や中越地震のようなタイプの震災のときにはどうなるのか想像すらできません
しかも、搬送されなかった理由がまた予想通りのお役所仕事です
「そんな情報は上がっていない」って、今あなたが現場から情報をあげられているのでしょうに…
さらに、自力歩行できないが入院の必要はない被災者、ADLの自立していない高齢者を通常の避難所が受け入れられないという事実は、今後の超高齢化社会を考えると相当大きな問題であるといわざるを得ません

恐らくはこの問題を完全に解消することは不可能でしょう。
また、病院は避難所ではないため、食料などの物資が目の前を素通りしていたという話も聞かれます
入院患者や最低限の職員数だけで、一つの病院は避難所と同等以上の人数になります
病院を避難所に準じた扱いにしておく必要があります

さて、先週はまったく存在感のなかった厚労省も今週はやっと動きましたが、一方で混乱も発生しています

医薬品不足解消へ本腰 厚労省、病院に直接輸送
2011年3月23日   提供:共同通信社
 東日本大震災の被災地で深刻化する医薬品不足の解消に向け、厚生労働省が本腰を入れ始めた。医薬品運搬車両への制限なし給油を可能にしたほか、空路と海路も活用し、巡視船やヘリによる輸送を開始。病院や避難所などに直接届けることを狙う。
 被災地の医療機関では地震発生後、負傷者があふれ、医薬品は瞬く間に不足。支援を要請したが輸送路の寸断などで届かず、「このままでは治療ができない」と訴える病院や診療所が相次いだ。
 厚労省はこれまで、岩手県や宮城県の要請に応じて、医療用酸素ボンベ約600本、透析輸液270本などを輸送してきた。しかしこうした支援物資が集積所までは届いても、燃料不足でトラックが動かず病院まで届かないケースが続発。
 このため厚労省は19日、医薬品を運搬するトラックなどが緊急車両だと証明できれば、給油量を制限されないで済むよう石油業者団体などに依頼。専用の標章も設けた。
20日からは水産庁の巡視船でかぜ薬や胃腸薬、おむつなど衛生用品を輸送開始。孤立した集落には自衛隊ヘリで届ける。
 感染症対策も本格化。全国の都道府県に対し、備蓄しているタミフルなどインフルエンザ治療薬の放出を要請。厚労省幹部は「阪神大震災では感染症による高齢者の犠牲が多発したが、今回は繰り返したくない」としている。


署内に怒声、医療関係者に緊急通行許可下りず
(読売新聞 - 03月21日 14:35)
 岩手県内陸部の警察署。交通課の窓口で、「被災者の命を見捨てるんだな」という鋭い声が響いた。声を荒らげたのは緊急通行車両の申請に訪れた医療関係者。被災地で必要な薬を届けたいという。結局、許可は下りなかった。
 この警察署では、地震後、緊急通行の許可を求め、医療、行政関係者の申請が殺到、1週間余で数百枚が発行された。 「緊急」の文字が記された「標章」があれば、通行規制区間への進入が可能だ。同時にガソリンスタンドでの給油を優先的に受けられるため、被災地への支援や連絡に往復するためのガソリン確保をと、申請する人が後を絶たない。
 一方で、岩手県内では徐々に通行規制が解除され、主な道路では東北道のみになった今、緊急通行許可は、高速道を使った長距離移動を除いて下りなくなった。
 しかし、ガソリン不足は深刻で、盛岡市や近郊では、ガソリンスタンドの行列が数キロの長さになることもある。奥州市内では、ガソリンを節約するために車内で眠るのに石油ストーブで暖を取っていた男性が一酸化炭素中毒死する事故も起きた。
 許可証へのニーズは高まるばかりだ。ある警察署幹部は「助けたい気持ちは痛いほどわかる。でも、今の制度のままでは車の給油を目的に許可は出せない」と苦しい胸の内を明かした。

相当に意味不明な混乱が起きていることがわかるでしょうか?
時系列から整理する必要があるのですが、読売記事ですと、「警察署で通行規制区域に入れてガソリンも優先的に受けられる医療・行政関係者向けの緊急標章が3/14ごろから配られていたことになります
しかし、共同通信記事によるならば「厚労省が医薬品の運搬車両が緊急車両だと認められればガソリン給油量を制限されない専用の標章を3/19に設けた」ことになります 
で、恐らくは20日あたりに緊急通行証を警察署にとりに行った医療関係者は「今の制度のままでは車の給油を目的に許可は出せない」 として許可が下りなかった
まず、この2つの記事から考えられる1つの可能性は、「通行規制区域に入るための緊急標章」と「ガソリンの給油を目的とした緊急車両の標章」が別個に存在するということです
もしくは、この2つの記事の標章は同じものであるが、被災地の情報の伝達不足or縦割り行政で、「警察署が厚労省通知を知らなかった」というところでしょうか
有事の情報の混乱といってしまえばそれまでかも知れませんが、中央がこんな状態であることは許されることではありません

というかそもそも緊急車両の定義も不明瞭で、交通インフラの復旧も不完全でガソリンも不足しているのに医薬品の運搬が民間人に丸投げされていることが混乱の元凶なのですが
自衛隊の活動も、人命救助に偏りすぎて物資の輸送に作戦力が明らかに少なかったという話もあります
どれだけ救助しようが、病院が行き止まりではそこがまるごとカタコンベになるだけです


民間に任せざるを得ない状況なら、警察署で個々人に発行するのではなく、公的組織や企業に対して一括で公布する必要があったでしょう
また、申請すれば医者の運転する車をドクターカーとする法律がありますが、もう一歩進めて医師免許証とセットにして「災害時緊急車両認可証」とか名前つけて全医師に自動車免許証のようなカードを配布した方がいいのではないでしょうか? 

厚労省がこの問題に着手するには、さらに5日を要しました 

不足医療物資などの相談窓口を設置- 厚労省
 厚生労働省は3月24日、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島からの医療物資などの不足に関する相談窓口を災害対策本部事務局内に設置した。同日付で3県に事務連絡した。窓口を一本化することによって、迅速な対応につなげる狙いだ。
 窓口では、医薬品などの厚生労働関連の物資全般の相談を担う。厚労省だけで対応が難しいガソリンなどの物資に関する相談は、窓口で情報集約した上で官邸の「被災者生活支援特別対策本部事務局」などに伝える。
 災害対策本部事務局の担当者は、「各県はどこに相談したらいいのか分からないケースも多く、たらい回しになってしまうこともある。窓口を一本化することで、スピーディーな対応を図るとともに(各県の)負担軽減につなげたい」と話している。
( 2011年03月25日 12:00 キャリアブレイン )
 参考までに、佐川急便は18日に東北全県で営業店止めサービスを復活させています。クロネコヤマトは25日に全県での着払いを復活させています。
 なんのための公的機関、なんのための権力と責任なのか、官僚の方々には有事の対応をよく考えていただきたいと思います。



<避難搬送について>

静岡・岐阜の援助隊、屋内退避区域の搬送せず   
 福島第一原子力発電所の事故で、屋内退避区域となっている原発から半径20~30キロ・メートル圏内にある病院に入院する患者の搬送要請を、静岡、岐阜両県の緊急消防援助隊が「安全が確実に確保されていない」として断っていたことが22日、わかった。
 屋内退避区域について、経済産業省原子力安全・保安院は「特別な装備は必要なく、マスクをして肌の露出を避ければ搬送作業は可能」としており、実際に地元の相馬地方広域消防本部など福島県内の消防隊は活動している。
 総務省消防庁は今月17日、福島県からの依頼を受け、同県内で活動中だった静岡、岐阜両県の援助隊を率いる静岡市消防局と岐阜市消防本部に患者搬送への協力を要請。当時、静岡県からは救急隊が計11隊33人が出動していたが、各消防本部の総意として「事前準備もなく、詳しい状況が分からない中、出動させることに不安を感じる」と消防庁に伝えた。岐阜市消防本部も、市長や消防長、市民病院長らが協議し、「隊員の安全を考えて苦渋の選択をした」として、搬送は困難との考えを示したという。
 福島県によると、屋内退避区域には、7病院に約780人の患者がいたが、21日までに自衛隊などによって、全員搬送された。静岡、岐阜両県の援助隊はその後、自衛隊などによって30キロ圏外に移送され、放射性物質を洗い流す除染を受けた患者らの搬送を担っている。防災システム研究所の山村武彦所長は「東京消防庁などが原発への放水活動をしていることを考えると釈然としない部分はある。トップが決めた判断とはいえ、隊員は活動したかっただろう」と疑問を呈した。
(2011年3月23日08時13分  読売新聞)
10都県の消防隊員、屋内退避区域の住民搬送へ
 総務省消防庁は25日、東京電力福島第一原子力発電所の事故で、10都県の約100の緊急消防援助隊員約300人が、屋内退避区域となっている原発から半径20~30キロ・メートル圏内にいる住民を圏外に搬送する、と発表した。
 主に、在宅介護を受けている住民らが対象。
 枝野官房長官が同日午前、屋内退避区域からの自主避難を促す方針を示したことを受け、同庁は静岡、岐阜両県を含む10都県に搬送を要請、了承されたという。
 静岡、岐阜両県は今月17日、福島県からあった屋内退避区域内の病院の入院患者の搬送要請を、「安全が確実に確保されていない」などとして断っていた。
(2011年3月25日22時21分 読売新聞)

この空白の1週間の間にどんなやりとりがあったんでしょうね?
私は崩れ落ちるビルに突入しろなどという気はありません。むしろ、そんなのがいたら殴ってでも止めます
しかし、 今回の静岡県と岐阜県の対応はまったく理解不能であり、とてもプロの判断とは思えません
また、もう一つ理解できないのは消防隊への指揮命令系統です 
都知事と政府関係者のやりとりでも感じていましたが、大規模災害時には国が人員と物資を責任を持って運用する形になっていないのでしょうか? 
出動元の市の認証をいちいち受けないと動けないというのは、有事の組織対応としては致命的ではないでしょうか?


<今後の被災地の医療について>

仙台市の基幹病院を襲った貯水槽損壊、入院患者数を大幅削減、新規手術も中止【震災関連速報】  
- 11/03/27 | 09:00

仙台市で最も重篤な患者への医療を担う国立病院機構仙台医療センター(病床数698床、和田裕一院長)。救命救急センターを擁し、生命が危ぶまれている患者への治療を行う同センターが深刻な事態に見舞われていることが明らかになった。仙台医療センターは3月24日、入院患者数の大幅な削減および新規患者の原則受け入れ中止、スケジュールの決まっている手術(定時手術)の原則中止を決定。翌25日から患者や家族に方針の伝達を始めた。
 同センターによれば、予定退院を含めて入院患者100人程度をほかの病院に転院させるための紹介手続きを開始。28日から、重傷救急患者とすでに入院している患者の手術を除き、定時手術の中止に踏み切る。新規入院患者の受け入れや定時手術の再開は4月中旬になる見通しだ。
 医療の縮小に追い込まれた原因は、東日本大震災で発生した病棟の屋上にある貯水槽の亀裂が余震などによって拡大し、生活用水としての給水が困難になったことにある。この緊急事態は3月24日午後5時30分からの院内緊急会議で院長から各診療科に伝えられた。
 これを受けて、手術部門では「28日の週に予定していた1日10例前後の手術の中止を余儀なくされた」。手術部門では、東日本大震災で大幅に縮小していた定時手術の本格再開に向けて医師や看護師の確保に努めてきた矢先に、逆に大幅縮小に追い込まれた。 
同センターでは貯水槽の損壊により、水の供給が通常の3分の1以下に減少。通常診療を遂行するための許容限度を超えたという。同センターでは、「貯水槽の損傷は大きく、修理は不可能で新規交換が必要」と判断。復旧は4月中旬までかかるという。
 東日本大震災では多くの病院が被害を受けたが「設備の損傷が医師などのマンパワー不足以上に復旧の障害になっている」(前出の川村氏)。そうした中での基幹病院での診療縮小は、ほかの病院の診療体制に影響を与えることも懸念される。被災地仙台の医療復旧は再び厳しい状況に直面している。
(岡田 広行 =東洋経済オンライン)

こういう事態は予想はしていましたが、よりによって仙台最大の砦がいきなり陥落しました
他の病院でも、今後機能不全になる病院が続出する可能性もあります 
やはり、急性期を離脱した患者は被災地外へ可能な限り搬送し、被災地の病院は設備と兵站が正常化するまで救急医療に徹する必要があるのではないでしょうか


<やっぱりお役所>
3月27日 10時15分
東北関東大震災の被災者を治療するため、海外からは初めてとなる緊急医療チームが、中東のイスラエルから日本に向けて出発しました。イスラエルからは、医療チームのほか毛布6000枚や防寒用のコート1万着が日本に支援されるということです。
出発したのは、イスラエルの医師や看護師などおよそ60人の緊急医療チームで、一行は26日夜、イスラエル南部の空軍基地を特別機で飛び立ちました。出発を前に空港では、チームの一人一人に、甲状腺の検査などが行われていました。医師の1人は「放射性物質の危険がないわけではないが、とにかく志願をした。被災地では感染症の問題などに対処したい」と話していました。一行は27日夜に日本に到着したあと、地震と津波で壊滅的な被害を受けた宮城県の南三陸町に臨時の診療所を設け、避難生活を強いられている被災者の治療を行う予定です。海外から派遣される医療チームは、日本の医師免許を持っていないため、現地でどのような治療を行うのか日本側との調整が必要で、外務省によりますと、今回の震災では、イスラエルが初めてだということです。イスラエルからは、医療チームのほか毛布6000枚や防寒用のコート1万着が日本に支援されるということです

まだそんなこといってるの? 
いったい被災から何日たってる?