法か倫理か、救命士の処分がネットで物議
静岡県内の東名高速道路で4月中旬、交通事故の現場で静脈路確保の救命処置を行った茨城県石岡市消防本部の救急救命士の男性(54)が、5月31日付で同本部から停職6か月の懲戒処分を受けた。消防署から持ち出した注射針などを使用し、勤務時間外に医師の指示を受けずに処置を行ったことが、関係法令に抵触する可能性が高いと判断されたためだ。愛知県常滑市でも2月、職務中の救急救命士が、現行法が禁止する心肺停止前の患者に点滴を行った事件が発生しており、法律と倫理のどちらを優先させるかをめぐって、インターネット上で議論が巻き起こっている。
石岡市消防本部によると、男性は4月14日午後、東名高速道路で発生した交通事故の負傷者を救うため、意識のあるけが人に静脈路確保を行った。現行法で救急救命士は、医師の指示がなければ救命処置ができないうえ、静脈路確保は心肺停止の患者に対してのみ許されている。男性は、「法律に触れる可能性があることは分かっていたが、助けたい一心だった」という。
使用された注射針などは消防署の備品で、男性はその管理を任されており、懲戒処分を受けた5月31日に男性は依願退職した。鈴木徳松消防長は、「人命救助を目的とした行動であっても、関係法規に抵触する可能性が極めて高く、誠に遺憾(いかん)だ」とコメントしている。
救急救命士の違法行為をめぐっては、愛知県常滑市で2月、交通事故の負傷者を病院に搬送した男性(38)が、救急救命士法が禁止する心肺停止前の患者に点滴を行ったことが報道されている。市消防本部によると、男性は「何とかしてあげたいと思った」と話しており、同本部では現在、医師や県の関係者を交えた検証会議で男性の処分について検討している。
■非番の日に生かせない免許
石岡市消防本部の救急救命士の懲戒処分について、インターネット掲示板では、「情状酌量の余地アリだろ」「目の前に消えそうな命があるのに助けちゃだめなんて救命士だれが志すんだよ」「こういうのがあると現場はやる気なくすんだよな。救える命が救えなくなるかもな」といった同情論がある一方、「自分の都合で平気で法を犯すような人間、組織としてもこんなの面倒みきれんわ」「助けた事はいいと思うけど、注射針持ち出しはちょっと理解に苦しむ」「むしろこの行為によって助からなかったってことが無かったんだから良いかってくらいだ」などの意見も出ている。
日本救急救命士協会の鈴木哲司会長は、男性が備品を持ち出したり、医師の具体的な指示を受けずに、意識のある傷病者に静脈路確保を行ったりしたことを問題視し、「報道が感情論に走っているのが気になる」と指摘する一方、「非番の日に免許が生かせない。これが救急救命士の実情なんです」と打ち明ける。
法律上、救急救命士として職務が行えるのは原則、救急車の中だけ。このため、車内にいなければ救急救命処置を行えないのが現状だ。東日本大震災の発生を受け、厚生労働省は3月、救急救命士が行う心肺停止患者への医療行為について、被災地の通信事情の悪化で医師の指示を得られない場合でも、違法行為には当たらないとする通知を都道府県などに出しているが、「被災地に行っても、その技術を生かす機会のない救急救命士が大半」(鈴木会長)という。
救急救命士の職域拡大は、政府の行政刷新会議の分科会が1月にまとめた検討項目に含まれており、内閣府と厚労省の政務三役は月内にも、震災の影響で休止していた協議を再開させる方針だ。
( 2011年06月03日 16:55 キャリアブレイン )
私見を言わせて頂くなら、 今回の件は「法か倫理か」ではなく「法も倫理も」アウトです
そもそも、この場で使われている「倫理」とは「職業倫理」でしょうか?「生命倫理」でしょうか?
まぁ、どちらにしてもアウトですが
それと、本件は非番かどうかは一切関係ないですから
法に関しては、まず、自分の立場を利用して医薬品と点滴セットを私物化している時点で、横領に当たります。100%、誰がなんと言おうとアウトです
これは、警官や自衛隊員が有事に備えて実弾入り拳銃を持ち歩いているようなものです
ましてや、医師の指示無く点滴を行ったことについては、医師法違反=傷害行為に当たり、刑事告訴されても文句いえないレベルです
(誤解の無いようにいっておきますが、私たち医師でも、患者でない人間に注射針刺したら傷害です)
そもそも、医行為は医師の専業であり、看護師や救急救命士の医行為は、医師の指示の元で業務を代行するという形でしか認められていません
なぜそんなことになっているかというと、日本の看護師や救急救命士は、まだそのレベルにしか達していないからです
(注:業務に専念されている各氏を中傷する意図は一切ありません。途上国の医師が移住して看護師とかやってるような国と比べたり、救急車が無料のため医療用手袋の予算すら不足している業界にそれ以上を求める方がムリです)
どうも(特に一般紙で)書いてる人間も理解していないようですが、心臓マッサージやAED、止血といった救命行為ならば民間人でも可能な行為であり、処分される謂われはありません
また、この男性が大量出血してるとかな状況であれば緊急避難も適応されるでしょうが、一般紙を見る限りではそんな記載はなく、胸痛(しかも日帰り)と書かれてました
となると、この患者はそもそも救命行為の対象であるのか?という疑問が湧いてきます
針を刺す前にバイタルチェックをしたのか、地元の救急隊とどういう連絡を取ったのかは是非とも明らかにしてもらいたいものですが、残念ながらそれらの記載を見つけることはできませんでした
こういう患者がERに運ばれてきた場合、交通事故によるハンドル外傷か、あるいは運転中に循環器疾患を起こして事故を起こした可能性が考えられるでしょうか
となると、下手な輸液は救命どころか追い打ちになる危険もあったということです
「何かをしたい」ではなく、「なにをするべきか、なにをすべきでないか」を判断するのがプロです
どう転んだところで、処分を免れられる状況ではありません
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