2011年4月17日日曜日

東日本大震災 No.5(4/11~4/17)

気がつけばもう震災から5週間経ち、桜の花も散る頃となりました
しかし、未だに東北~東関東では大きな余震が続いております
未だに遠隔地や避難所にいる方も多く、またインフラの崩壊により帰宅しても大きな問題があることと思います
私の勤める病院からも支援チームが交替で派遣されていますが、いつまで続くのか先が見えない状態です
そんな状態で、ベースとなる仮設診療所の設立がやっと決まりました

被災地に仮設診療所設置 50カ所、1次補正で14億円 厚労省、医療復興目指す
2011年4月14日 提供:共同通信社
厚生労働省は13日、東日本大震災で特に甚大な被害が出た岩手、宮城、福島の3県に仮設の診療所や歯科診療所など約50カ所を設置することを決めた。津波で診療所を失った開業医に優先的に担当してもらうが、ボランティアの医師もサポートする。2011年度第1次補正予算案に約14億円を盛り込む。
厚労省は、診療所や医師が被災し、初期医療が空白となっている地域に仮設診療所を設置することにより、地域医療復興の足掛かりとしたい考えで、さらに数を増やしていく方針。
仮設診療所では、避難所を出て仮設住宅などに移った被災者に対し、風邪の治療から、高血圧症など慢性期の治療、採血などの検査まで行い、震災前に地域の診療所が担っていた、初期医療の提供を目指す。阪神大震災では、3年以上設置されたケースもあり、今回も長期にわたり、地域医療を支える役割が求められそうだ。
岩手県などによると震災で、大船渡市や宮古市など太平洋沿岸部で少なくとも医師2人が死亡し、4人が行方不明。27の医療機関が休止に追い込まれ、再開の見通しが立っていない。福島、宮城両県では、診療所の状況について、被害が大きすぎて把握していないとしている。
被災地にはボランティアの医師や看護師が避難所を回って医療活動を行っているが、被災地が広範囲にわたることから、仮設診療所の設置を求める声が上がっていた。

補正予算案が通らないとできないというのが鈍亀ですが…
急性期ではなく、あくまで復興期の支援と考えた方がいいのでしょうかね?

急性期の問題といえば、被災地でだいぶ想定の斜め上のことが起きているようです

 
東日本大震災:保険証紛失者、「全額負担」の苦情殺到 病院「免除の事務作業困難」 

http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110415dde041040030000c.html
厚生労働省は今回の震災で、地震や津波で自宅が全半壊した人、福島第1原子力発電所の事故で避難を余儀なくされた人などを対象に、窓口負担の猶予を認めるよう都道府県などに通知した。最終的には保険者(健康保険組合など)に全額負担を求め、被災者の支払いは免除する方針だ。
これに対し、医療機関からは反論の声が上がる。いわき市にある公立病院の事務担当者は「免除の措置は知っているが、震災の混乱で事務処理能力を完全にオーバーしている」と語気を強める。
保険証をなくした被災者が窓口負担の猶予を求める時は、自身の入っている保険の種類などを自己申告する。医療機関側は、それに基づいて保険者に問い合わせ、裏付けを取る必要がある。
だが、この担当者によると、窓口には避難生活で体調を崩した人などで常に長い行列ができており、確認作業に時間を割く余裕はないという。「払える人にはいったん払ってもらうしかない」のが現状だと説明する。
厚労省医療課は「被災者自身は免除される立場にあることを主張してほしい」と話している。【渡辺暢】


えーと、なんか医療機関と健康保険組合に、人災(政災?)ともいえる震災二次被害が発生しているようですが…
この制度、私も知ってはいたんですが、てっきり生活保護扱いで国が無条件で支払うのもだと勝手に思い込んでいました
まさか、事務手続を病院に、金銭負担を保険組合に全部丸投げしてるとは想定してませんでした
っていうか、こんなことで通信トラフィック占有させるな

さて、ということは、国のつくる仮設診療所とやらもこれと同じやりとりをすることになるのでしょうか?
国営無料診療所をつくる気はなさそうですね
この辺も次の震災に備えて叩いておく必要がありそうです

また、こうした状況の中で、数十年以内に日本のどこかで同等の震災が来るであろうことを見越した、「次の震災の対策」もはじまりつつあります

日本小児科学会が、病院機能のデータベース作成に着手しました

■■ 日本全体の小児医療のリソース管理のご協力のお願い
http://www.jpeds.or.jp/tohoku-j.html
今回の震災に伴い、今後は被災されたご家族の移動などによってこどもの疎開が増加し、被災されていない地域での患者増が懸念されます。
また、被災地においては壊滅的な被害を受けた病院も多く、医療機関の分布も再構築されると思います。
したがって、今回の震災で被災された地域の病院小児科の被災状況や患者受入状況などを知ると共に、被災されていない地域の病院小児科の支援可能な状況を提供することが必要な状態になっています。さらに、現況を理解した上で日本全体の小児医療のリソース管理を行うことが求められます。
この様な目的を支援するために、名古屋大学医学部附属病院病院長補佐・メディカルITセンター長 吉田 茂先生が「PedPower」を作成されました。これを小児科学会HPにリンクします。
各病院におきましては、ご登録をよろしくお願い申し上げます。


被災時の援助をするにも、どこにどんな病院・患者があるのかわからないと手の打ちようがありません
また、これは有事のみならず、平時の医療機関の病院機能集約化にも役立つ情報であり、是非とも進めていただきたいものです
本来なら、政治的役割からも基礎情報を所有してることからも厚労省が行うべきことだと思いますが、官僚機構はシステムの外側のことが起きるとむしろ邪魔にしかなりかねないことが判明してきましたので、これは是非とも各学会、各大学が中心となってとりまとめていただきたいと思います


一方で、想定の斜め上のことを言い出す人たちもいます
まぁ、空想科学読本的な感じで見ていきましょう


介護、看護資格者の「予備役制度」創設を- 災害時にらみNPOが要望
NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」(樋口恵子理事長)は4月11日、介護福祉士やホームヘルパー、看護師などの有資格者で、普段は医療・介護現場で働いていない人を、災害時に非常呼集できる「予備役制度」の創設を求める要望書を細川律夫厚生労働相あてに提出した。 
要望書の中で同会は、「人間の生命を支えるライフラインの担い手」である介護職員が災害時に確保されないと、高齢者や障害者など多くの生命が失われると指摘。普段は資格を生かして働いていない介護職や看護師、保健師の有資格者が、災害時に非常呼集に応じて救援に駆け付ける予備役制度の創設を求めている。介護職予備役は年数回の研修を受け、災害時には各職能団体が招集するイメージ
( 2011年04月11日 20:32 キャリアブレイン ) 


面白い発想であることは認めますが、何故彼らが離職するのかに思い至ればこんな発想は出てこないと思いますが… とりあえず、「予備役」ってなにか知ってますか?
どう考えても、平時の離職防止・復職支援が先ですし、それできる社会システムなら予備役制度なんて不要でしょう
っていうか、このクソ忙しいときにそんな緊急性の欠片も具体性もないイメージで業務の邪魔をするとかどれだけ脳内お花畑なのかと(ry 


さて、ある意味もっと度肝をぬく話が政治家の方から飛んできました

病院船で災害時の救急救命を- 超党派議連が会合
  超党派の国会議員でつくる「病院船建造推進議員連盟」(会長=衛藤征士郎衆院副議長)は4月14日に会合を開き、厚生労働省や防衛庁など関係省庁から、東日本大震災の被災地の状況や現場での医療ニーズなどについてヒアリングした。衛藤会長は病院船建造に向けて、今年度中の調査費の予算計上を政府に求めていく考え。
同議連は東日本大震災の発生を受け、12日に発足した。
衛藤会長によると、病院船では災害発生時から72時間以内の救命医療を行う。災害発生後、病院船は被災地の沿岸に停泊。ヘリコプターやホバークラフトなどで患者を搬送し、船内で治療する。被災地沿岸で早期治療を行うことで、より多くの患者の救命につなげるのが狙い。
また、平時には離島の医療支援や国際災害における支援を行うという。
衛藤会長は会合後、記者団に対し、病院船について「被災地の医療者のマンパワーを補完する規模でなければならない」として、500床ぐらいあるものを造りたいと意欲を示した。
次回会合では、在日米国大使館などから病院船の運用状況についてヒアリングする予定。
( 2011年04月14日 18:47 キャリアブレイン )


個人的には病院船自隊は最低でも太平洋と日本海に1隻ずつ必要だろうと思います
ですが、私が考える病院船は、言ってみればドクターヘリ空母に転用可能な軍艦です
今回の震災でもヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」が活躍していることから、同型鑑もしくはダウングレードしたものを非武装で海自か海保あたりに所有してもらい、大災害時には派遣するというのがいいのではないかと思います
議連が言うような、控えめに言っても意欲的すぎる機動大病院ではありません
アメリカにマーシー級(病床1000床、手術室12室、ヘリポート、CT付き)があるじゃないかとかいう突っ込みもあるでしょうが、 あれは有事のみの使用でいってみれば出張病院です。出動の時だけスタッフが集められるので出動までは5日を見込んであり、外洋での戦闘もしくは自然災害亜急性期の医療支援用といえ、議連の考えているものとは運用目的がまったく異なります。
議連の自室に潜水空母の模型とかないことを祈ります。これは「仕分け」OKです。むしろ推奨
つーか、この人は病院船にのる医療スタッフをどうするつもりなのか?


まぁみんなしてパニックになってるんだとは思いたいですが、ものには限度というものがあります
理系の人間なら誰でも感覚的に理解していることだと思いますが、ホリエモンのセリフを抜粋して本日のシメとさせていただきます


99.9%のジレンマ
http://ameblo.jp/takapon-jp/entry2-10845889481.html 
リスクをゼロにはできないんです。宇宙開発なんかやってるとよーく分かります。出来る事は99.9%の小数点以下の9をどこまで増やせるかだけです。
で、ここはコストと人々の気持ちのトレードオフになります。例えば1000年に一度の大災害に備えるか、あるいは1万年に一度の大災害に備えるか?等。一般的に小数点以下の9を増やすと指数関数的にコストが増えていきます。リスクはやらない以外ではゼロにはなりませんから、やると決めた以上どこかでトレードオフをすることになります。

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