2012年3月14日水曜日

地域医療振興協会への重大な懸念

半年前に取り上げた、日大練馬病院撤退→地域医療振興協会登場の続編

前のはこちら参照
日大の変
日大練馬 その後

とうとう、地域医療振興協会への引き継ぎまで一ヶ月を切った中で、予想通り混乱してます



2012. 3. 9
日経メディカル2012年3月号「ニュース追跡」(転載)
 日大練馬病院の継承に暗雲 スタッフ確保に苦慮、全床返還の可能性も  
今年4月、日大から地域医療振興協会に引き継がれる予定の練馬光が丘病院。しかし、同協会は継承のための計画書を2月になっても東京都に提出しておらず、342床全床を引き継げない可能性も出てきた。
日大は1991年に東京都練馬区から病院を賃借して練馬光が丘病院(同区)の運営を開始した。しかし、20年以上支出超過が続き、2010年度には累積損失が約90億円に達した。さらに、同大が病院の貸付契約の際に区に納めた保証金50億円の返還時期について認識の違いが生じ、両者が衝突。昨年7月、同大は今年3月末をもって病院運営から撤退することを表明した。
約2カ月後の昨年9月、区は後継法人に地域医療振興協会を選定した。同協会は直営や指定管理者制度によって全国52施設の自治体医療機関の運営に携わる公益社団法人だ。救急や小児医療などを手掛け、日大の運営時と同等の病院規模・機能の維持を条件に、今年4月から協会が運営することになった。
しかし18診療科中4科で、日大と協会の医師による患者引き継ぎが始まっていないことが、1月25日の区議会で分かった。その理由について日大側は、「協会側で医師を確保できていない」(広報部)ことを挙げる。
昨年末の協会の資料によれば、入職が確定した常勤医は26人、協会内病院からの異動などでの確保が25人、交渉中が29人。1月には「常勤医70人を確保するめどが立ち、今後も人事異動などで医師数を増やしたい」と協会は説明した。しかし、昨年12月時点の同病院の常勤医121人、非常勤医48人と比べると、日大の指摘通り不足感は否めない。
さらに協会は、09年4月に千葉県浦安市と市川市から経営譲渡を受け、現在建て替え中の東京ベイ・浦安市川医療センター(千葉県浦安市、一般344床)も、今年4月の開院時は165床に減らしてスタートする。背景には、スタッフを確保できないなどの理由があるようだ。
このため練馬区議会議員の池尻成二氏は、「本当に70人確保できているのかも疑わしくなる。人事異動というが、僻地医療への貢献を目的とする協会が、都内の病院のために地方病院から医師を引き抜くのは理念に反するのではないか」と話す。


小児常勤医は8人 練馬区・協会が引き継ぎで説明 新光が丘病院 
2012.3.9 11:02
日大光が丘病院(東京都練馬区)が撤退し地域医療振興協会が引き継ぐ問題で、協会が確保した新病院の小児科常勤医は8人であることが8日、分かった。区は公募時に、常勤医16人程度の日大の規模と機能を維持すると公約していた。
複数の関係者によると、7日の引き継ぎ会で、練馬区と協会が、名前が確定した常勤医は8人と伝えた。内訳は新採用が2人で、残り6人は、協会の病院から半年ごとに交代勤務する。この人数では小児救急の当直は1人態勢となる。
小児科医数について、区は「人数に関してコメントできる者がおらず、答えられない。協会は小児科医による24時間対応の診療と入院受け入れ態勢を整えるとしており問題ない」、地域医療振興協会は「万全の態勢を目指して準備中」としている。
都救急災害医療課は「区からの最終報告を待ちたい」としている。


日大練馬病院後継で「計画書」

3月末に撤退する日大医学部付属練馬光が丘病院(練馬区)の後継医療機関・地域医療振興協会が13日、都に対し、新病院の「事前相談計画書」を提出、受理された。都が審査後、病院開設許可や使用許可の手続きを経て、4月1日の開院を目指す。
計画書によると、新病院は日大病院と同じ17診療科で、非常勤を含め約70人の医師を確保。24時間体制の小児救急も維持する。病床数も現行と同じ342床だが、開院時は一時的に入院患者を減らし、1年以内70人をめどに8割の稼働率に戻す。区では、計画書の提出を昨年中と想定していた。しかし、志村豊志郎区長が1月の記者会見で、「日大は患者を捨てていく」などと述べたことなどが影響して日大側と新病院の引き継ぎがストップし、提出が遅れたという。
(2012年3月14日 読売新聞)


というわけで、とりあえず来月からのスタートにはこぎ着けたようですが、

日大常勤121非常勤48169
地域常勤非常勤70人

って、これはいかんともしがたいですよ…
単純に人数比2.4倍です。ランチェスターの法則でいえば、戦力比でいえば5.8倍です
同程度の重症度をみるのであれば、スタート時は342床どころか、60床が妥当になります

しかも、この70人すらも、相当無理やりに集めてるのは明らかです
1年以内に稼働率8割にもちこむって…どこから医師を持ってくるの?
正直、最初から日大と同等の機能・人数を用意する気はないのではないかと疑いたくもなります

東京都北西部と埼玉県南西部の小児医療を守るための小児科医共同声明



私は別段、地域医療振興会という自治医大の外郭団体の存在自体は悪く思っていません
むしろ、端から見ててキャリアが不安定になりがちな自治医大出身者からしたら、悲願とも言える組織なのではないかとも思います

しかし、この関連病院の急速な展開は、どう考えても無茶です
というか…正直、病院の特殊性をあまり理解していない人が経営の中核にいるのではないかと思わざるを得ません
組織のミッションを完全に見失っていないでしょうか?

病院というのは希少な国家資格保持者とその後方支援部隊を大勢必要とするため、その展開は軍隊の様に慎重に行われるべきです
学生アルバイトやフリーターを現地徴用すればそれで済む、コンビニや外食チェーンとはワケが違います
限度を超えて膨らんだ風船は、パーンと破裂して、それで終わりです

まぁ、それでもその病院にいる医師は、逆刃刀でも持って流浪となってでも死にはしませんが、
地域住民と、潰れた病院の分まで防衛戦を強いられることになる病院は堪ったものじゃないので、そこはきっちり、責任持てる範囲で病院運営をして欲しいですね



ところで、本筋とそれるので敢えて最後までスルーしていましたが、区長の最低っぷりが半端ないですね
…そもそも日大が撤退したのって、区に貸してる50億円を踏み倒されてるのが原因だろうに



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