…といいますか、率直に言って、震災とかFukushimaとかに頭を回せる状況にありません
はっきり言って、現場はメディアの数字に現れないところで戦場になっています
<時系列>
まず、現在までにわかっている情報を時系列に整理します
()の情報は後から発覚したものです
4月17日、(福井で死亡例と入院中の10代女性がえびすで食事)
4月20日、(神奈川の重症患者が食事)
4月21日、(富山で亡くなった児童が砺波店で食事)
(福井で亡くなった児童が入院)
4月23日、(亡くなった40代女性が食事)
4月24日、富山で亡くなった児童が嘔吐・下痢・血便で入院
4月26日、(亡くなった40代女性が腹痛を発症)
4月27日、富山県が集団食中毒を発表
患者数は6~17歳の5人
砺波店を営業停止処分
福井でO-111によるHUSで児童が死亡
4月27日時点では砺波店の食中毒しか把握されていませんでしたが、現場は伝え聞く患者情報から、砺波店だけでなく高岡店でも発生していると考え、大量発生に警戒しました。
また、この時はほとんど注目されていませんでしたが、福井の児童も経過から富山県の症例と似ており、北陸全土に渡る食中毒事件である可能性も考えられました。系列店から神奈川県にも飛び火する可能性も頭には入っていました。
県や警察からはろくな情報がなかったため、病院間の情報共有がはじまりました。
すると、すぐに富山県だけでなく金沢の中核病院にも搬送されていることがわかりました
この時点で、すでに富山県だけの問題ではないことが認識されていました
4月29日、富山県の児童が死亡
全店の営業無期限自粛を発表
東京都内の食肉販売業者から出荷された ユッケが疑われる
患者数は14人
4月30日、患者数は24人に増え、入院20名、内HUSが5名
5月 1日、27日に死亡した児童も、えびすで食事をしていたことが判明
5月 2日、17日にえびすでユッケを食べた10代女性が重症で入院していることが判明
患者数56名(富山県内のみの数?)
5月 3日、神奈川店で6人の食中毒が出ていたことを公表
福井と富山の死亡例のO-111の遺伝子が一致業務上過失致死として富山県が捜査本部を設置
富山県内患者数累計58名(O-111 41名、HUS 22名)
5月4日、40代女性死亡
富山県、福井県合同捜査本部設置
さて、なんでこんな経過表をつくったかといえば、計算しなければならない大事なことが2点あるからです
まず、死亡例の飲食日が4/17~23と1週間も分散しています
しかも少なくとも17日の福井のユッケと21日の富山のユッケはまったく同一の菌に汚染されていたわけです
同じユッケ(生肉)が1週間もストックされているものでしょうか?
流石にその可能性はあまり考えたくないのですが、神奈川県でも発症していることを考えると、卸の製造過程での汚染が可能性が高そうです
つまり、汚染は17日以降ずっと続いていた可能性が十分にあると言うことです
もう一つ大事なのは、現在公開されている最初の汚染日から全店営業自粛まで12日間あるということです
最後に汚染された食品を摂取した可能性があるのは28日です
腸管出血性大腸菌の潜伏期間は…なぜか資料ごとに差があるのですが、3~8日とします。長いと2週間くらいと言うのもあります。そこからHUSになるのにまた数日あり、最悪の脳症になるまでさらに2~3日あるようです
さて、この意味がわかりますね?
潜伏期間はまだ終わっていません。汚染期間後半の患者はこれから発症するかも知れません
さらに、不顕性感染者からの二次感染が起きる可能性も否定できません
来週末まで、まだ新規患者発生や重症化の起きる可能性は十分にあると言うことです
<情報戦>
さて、先に軽く述べましたが、保健所や警察から有力な情報がなかったため、当初医療機関は個別対応しており、各個撃破に持ち込まれかけていました
保健所の初動が適切だったかどうかは問題となりそうですが、
これまでの反応から砺波の保健所はよく対応していたように思いますが、それと比較すると他の市や他県は患者数が少ないためか、後手に回っている印象があります
神奈川は発覚しているだけで6人も出ている割にはまったく対応が目だっておらず、今後続々と患者が発覚する恐れがあります
しかし、これは保健所の機能上の限界という側面もあるでしょう
なにしろ、彼らの役割には医療情報をとりまとめるというのはないのですから
また、菌を検出しないと食中毒認定できないため、福井では営業停止処分にできななかったという冗談のような話もあります
正直に言えば、これは県の厚生部か厚労省の出番の様に思います
しかし、残念ながら双方とも何らかの動きを見せている様子はありません
さらに、今回機動力が全くないのが警察です
最初の時点で、業務上過失にあたるかわからないとか、広域のためどこの管轄になるのかわからんとかいう謎の混乱があったようですが…ほとんどクレクレ君のイメージです
捜査本部ができたのは昨日です。食中毒認定から1週間たっており、証拠なんて既に処分されているでしょう
広域食物汚染への初動体制の整備は今後の課題になりそうです
<医療体制>
一方、現場である医療機関では、治療法の確立や患者の大量発生に備えた情報ネットワークの作成が行われています
なにしろ、今回の重症者は
ICUで透析を回せる施設でなければ対応できまず、中核病院でも同時に対応できるのは2人前後です
患者数VS設備数の純粋な物量戦になっており、富山県と金沢の医療機関の連携だけでは対応できるかは、すでにギリギリの状態です
もちろん、医師の方もまったく余裕はありません
幸いにして太平洋側の大病院が協力を申し出てくれていますが、事態はそれだけ深刻と言うことです
<厚労省の対応>
ところで、今回完璧に空気になっている厚労省ですが、彼らにも今回の事件の責任はあります
どっかの責任逃れ会見は責任者の責任放棄以外の何者でもなく論外ですが、 食肉業界と厚労省は共犯関係と言わざるをえません
生食用牛肉の出荷ゼロ=厚労省基準満たさず、罰則なし-飲食店、加熱用を転用
焼き肉チェーン「焼き肉酒家えびす」の富山、福井両県の店舗で、生の牛肉を使ったユッケを食べた3人が死亡した集団食中毒に絡み、専用設備で肉の表面を削り取ることなどを求めている厚生労働省の「生食用食肉の衛生基準」を満たす生牛肉は、2008~09年度には一切出荷されていなかったことが4日、分かった。衛生基準に反しても罰則はないため、飲食店などは加熱用肉を独自に処理するなどして生で提供しているのが実情という。
厚労省は1998年、腸管出血性大腸菌O(オー)157による食中毒が相次いだことを受け、生肉用のガイドラインを策定。腸管出血性大腸菌は肉の表面に付着していることから、食肉処理施設で温度を10度以下に保ち、表面を削り取る「トリミング」を行うことなどを求めた。
同省が肉の種類ごとに実態調査を始めた08年度以降、基準に合致した食肉処理施設は11~12カ所あったが、出荷されたのは全て馬肉か馬レバーで、今回の食中毒の原因とみられているユッケに用いられる生牛肉はなかった。(2011/05/04-20:44)
問題は、これがどれだけ論外かなのですが、これもまた厚労省のHPにデータがありました
この表を見れば、厚労省は本来存在してはならない生食用の牛肉と鶏肉が存在しており、しかも高率に汚染されていたことを知っていたことは明らかです
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/dl/110330-1a.pdf
医療現場は間違いなく全力を尽くしておりますが、残念ながら、これからも被害が増え続けることは避けられそうにありません
最低限、事後の粛正はきちんとやって頂きたいものですが、それにしても飲食業界は雪印集団食中毒事件をもう忘れてしまったのでしょうか?
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