しかし、この報道を見ているととんでもない違和感が次から次へと湧いてきます
焼き肉店強制捜査
同業者「衛生徹底 契機に」
信頼回復望む声
焼き肉チェーン「焼肉酒家えびす」の本社や店舗などに強制捜査が入った6日、同業者の焼き肉店からは、牛肉の衛生管理の難しさを打ち明ける声が上がり、ユッケなど生肉への不安を口にする消費者もいた。県も同日、焼き肉店などへの立ち入り指導を始めたが、今回の集団食中毒で危険性が指摘されたユッケは、焼き肉店の定番メニューだけに、経営者の心は「早く販売を再開したい」という本音と、業界全体の信頼回復を望む思いのはざまで揺れている。
■捜索
県警の捜査員ら7人が午後3時頃、福井渕店(福井市渕)に到着し、慌ただしい雰囲気の中、ダンボールを手に険しい表情で店舗内に入った。店の周囲にはテープで規制線が張り巡らされ、窓はブラインドが下りたまま。通行人が時折、不安げに様子をうかがっていた。
今後の捜査のポイントは、食中毒発生の危険性をどの時点で予見でき、客の元へ肉が運ばれるまで、どの段階で病原性大腸菌の感染を防ぐ措置を講じる必要があったかだ。県警捜査本部は菌が付着・増殖した経緯の解明に取り組む。
■県の対応
県の立ち入り指導は、県内6か所の県健康福祉センター(保健所)が担当。生肉などを提供している約380軒の焼き肉店が対象で、初日の6日は57店に立ち入った。福井市大宮の焼き肉店「お肉のたかしま凸凹屋」には、福井健康福祉センターの職員2人が訪れ、高島清次郎社長(41)に、生肉料理を出さないよう求めた。
高島社長は集団食中毒事件について「(業界にとって)迷惑といえば迷惑だが、衛生対策をきっちり行う機会になるのでは」と指摘した。国が検討している強制力のある基準作りについては、「永遠にユッケを出せなくなるのかどうか……。ただ、あいまいなものでは、数年後にはまた同じ問題が生じる。この際徹底すべきだ」と強調した。
■自粛と心配
市内のある焼き肉店は4月29日から、生肉の販売を見合わせている。女性店長(53)は「ユッケや生レバーがないと伝えると帰ってしまう客も多く困っている。早く販売再開したいが……」と漏らした。4月末以降、ユッケを出していない同市内の焼き肉チェーン店の40歳代の男性店長は「衛生管理は徹底してきたが、それでも生だから危ない。(食中毒の問題も)ひとごととは思えず、正直怖い」と、生肉の難しさを吐露した。別の焼き肉店の男性店長(29)は「生肉の取り扱いに問題がある店は多いと思う」と話した。
一方、生肉を食べるのを避けてきたというあわら市内の男性(62)は「生食は危ないのは当たり前。過去にこのような事例がなかったことの方がむしろ不思議だ」と、不信感をあらわにした。
◇
6日午後5時現在、「焼肉酒家えびす」で食事をした人から県への相談は31件で、このうち医療機関を受診した人は12人。8人はすでに回復し、4人は回復傾向という。ユッケなどを食べて入院していた10歳代の女性について、県は同日、「えびす」での食事による食中毒と断定した。
(2011年5月7日 読売新聞)
複数店、細菌調べず生肉
衛生管理は店任せ 国の検査基準が形骸化
焼き肉チェーン「焼き肉酒家えびす」の本社や店舗に6日、強制捜査が入り、厚生労働省も生肉の取り扱いについて新基準を設け、違反した場合には罰則を科す方向で動き出した。ただ、焼き肉業界では加熱用牛肉をユッケなど生食で提供することが慣例化しており、食中毒を引き起こしかねない細菌の検査など衛生管理についても個々の焼き肉店に委ねられているのが実態だ。今回の事件を契機に業界の慣習を改め、消費者が安心できる食材が提供されるようにできるか注目される。
「焼肉酒家えびす」と同様に、細菌検査を長期間実施せず、生肉を提供している焼き肉店が複数あることが6日、読売新聞の取材でわかった。厚生労働省は、「生食用食肉」について、細菌検査を行うよう指導しているが、大半の店で加熱用牛肉をユッケなどとして提供することが慣例化しているため、衛生管理はすべて店任せ。安全を示す客観的なデータはなく、実態に合わない基準の見直しを求める声が高まりそうだ。
「ウチは仕入れた肉の質がいい。細菌検査をやるくらいなら、自分の店でアルコール消毒をすればいい」
金沢市内で複数店を展開する老舗焼き肉店の男性店長は、自信たっぷりに、細菌検査をしていないことを明かした。同店に肉を卸している業者も、細菌検査を行っていないが、店長は「ユッケ用の包丁、まな板を使い、周りの機材もアルコール噴射しているので大丈夫」と話す。
今回の食中毒が発生するまでユッケを出していた同市内の個人焼き肉店主は、「食肉卸業者に『肉は大丈夫』と言われたので、検査の存在自体を知らなかった。コストがかかるので、店では検査できない」と打ち明けた。
厚労省は、生肉を提供する店に対し、肉のサンプルをとって、大腸菌やサルモネラ菌の有無を調べる細菌検査を実施するよう基準を定めている。
しかし、2008、09年度は、国内で「生食用」の牛肉は出荷されていなかったため、当時、国内の飲食店で提供された生の牛肉はほぼすべて、厚労省の基準では「加熱用」だった。厚労省はこうした肉に対し、実際に細菌検査が行われたかどうかは把握しておらず、基準そのものが形骸化している。
「焼肉酒家えびす」の運営会社「フーズ・フォーラス」の勘坂康弘社長も2日の記者会見で、「肉に菌が付くことはないと思い(2年前に検査を)やめた」と述べた。
一方、焼き肉レストラン大手「安楽亭」(本社・さいたま市)は「ユッケを提供するまでに、細菌検査を3回行っている」といい、焼き肉チェーン「七輪焼肉安安」(本社・横浜市)は「コストカットのために、細菌検査をしないのは、安心・安全の観点からはあり得ない」と言い切る。
自社工場で検査を行う大手チェーンや、卸売業者の段階で検査を行っている例もあり、検査の頻度や方法は店の自主判断に任されているのが実態だ。
1400店が加盟する全国焼肉協会(東京都)の中井考次事務局長は、「細菌検査はコストがかかり、肉の価格が上がるので、多くの店で毎回はやっていないはずだ。卸売業者に検査を義務付けるなど、厚労省が基準を定めるべきだ」と話している。
(2011年5月7日 読売新聞)
私がこの記事から感じた違和感は以下の通りです
1.生肉という存在自体が危険なのであり、調理時の衛生管理の問題ではない(さらにいえば、肉質と細菌汚染はなんの関係もない)
2.ユッケや生レバーを「人気メニュー」に育てたのは誰か
3.細菌検査を行えば安全なのか
では、それぞれについて考察してみましょう
1.生肉という存在自体が危険なのであり、調理時の衛生管理の問題ではない
前回も引用しましたが、生肉そのものが既に細菌に汚染されているものです
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/dl/110330-1a.pdf
調理時の衛生管理は、汚染の拡大防止であって、既に汚染されている肉を安全にするものではありません
いくら店が調理器具をアルコール消毒しようが、生肉による食中毒を0にすることはできません
全国焼肉協会の文書から引用させていただきましょう
http://www.yakiniku.or.jp/sei/img/2011/20110506.pdf
「レバ刺し」は残念ながらゼロリスクにはたどり着けない
「ユッケ」はお店の対応次第でゼロリスクに近づける
要は、どっちもゼロリスクではないと言うことです
そして、このことは他ならぬ全国焼肉協会が平成20年9月に認識していたのです
生肉は地雷であるとわかっているものを放置してレバ刺しやユッケをメニューとして存在させ続け、卸に責任を転嫁するような発言はいかがなものでしょうか?
2.ユッケや生レバーを「人気メニュー」に育てたのは誰か
これは言うまでもなく、飲食業界と、生食を危険なものであるという前提を無視したグルメ番組を垂れ流してきたメディアです
特に、えびすの場合は「おすすめメニュー」として思いっきり前面に出していたので言い訳は許しません
私の母はよく、自分の口に入れられない物を皿の上に載せるのは料理人として許されないといっていましたが、 関係者の方々はそういう意識を持ってメニューを提供しているのでしょうか?
どうにも私には、食事が「外食産業」となり、そこで働いている人たちが「自分たちがなにをしているのか」をわかっていない様に思えてなりません
板場に神棚を供えた先人の意識は、忘れてはいけないのではないでしょうか?
3.細菌検査を行えば安全なのか
さて、 では厚労省基準に則ってトリミングして細菌検査をすれば「安全な生肉」と証明されるのでしょうか?
結論から言ってムリです
感染症診療に携わっている人間には常識ですが、まず根本的な問題として、細菌検査というのは「陽性」であれば菌がいることを証明できますが、「陰性」というのは菌がいないことを証明するものではありません
検体というのは全体の一部であり、採取されていない部位に菌がいるかどうかなど絶対にわからないのです
先ほどの焼肉協会の言葉を借りるなら、細菌検査はゼロリスクに近づけるものではあるが、ゼロリスクを実現することはできないものなのです
「安全な生肉」を実現するのであれば、本気で本当の無菌の家畜を無菌の環境で育てて無菌の工場で精肉するしかないでしょう
実現できたところで、コストはとんでもないことになるので激安店やそこらの居酒屋に登場することはないでしょう
(SPF豚を「無菌豚」と偽って生で出している店があるようですが、特定の菌がいない環境で育てているだけで決して無菌ではありません。さらに加工が無菌で行われているかは不明。故に生食はアウトhttp://www.j-spf.com/Q&A/Q&A.htm)
今回の事件は、命が助かったとしても、元の健康な生活に戻れるかどうかはまた別というレベルの深刻さです
これだけの事件が起きてもまだ生肉を売りたいというのはまったく理解に苦しみます
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