2011年1月30日日曜日

日医の空論

年末年始と異動と重症患者の三連コンボで1ヶ月ほど更新が滞ってしまいましたが、ブログの更新を再開したいと思います。
一応、当初案では連載から始める予定でしたが、ちょっと予想していなかった医療ニュースが入ってきてますので、まずはそれらを順次消化してからにしたいと思います。

本日のネタは、既に医療ブログでは散々叩かれている日医の1/19づけの定例記者会見「医師不足・偏在の解消策について」です。
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20110119_1.pdf

話には聞いていましたが、オリジナル見るとその酷さがよくわかります。
歴史に関するところがやたらと長いので、そこは無視して医師会の「改革案」とやらを一つ一つ斬っていきたいと思います。


臨床実習資格試験(仮称)と医師国家試験の改革案
医学部 6 年生は、知識問題を含む医師国家試験対策に多くの時間を割いている実態である。
医学知識については、現在、4 年生の半ば頃から4 年生の終わり頃(大学によって異なる)に受験するCBT でも高度な内容が課されている。
そこで、日本医師会は医学知識の評価はCBT の1 回に絞り込み、以降は、臨床実習によって培われた能力の評価に特化することを提案する。


で、じゃあ国試はどうすんの?という当然の突っ込みが湧いてきますが、その答えがこれです


② 医師国家試験の内容(案)
上級OSCE(Advanced OSCE)と面接試験を課す。
● 上級 OSCE(Advanced OSCE)
「臨床実習免許(仮称)」取得時のOSCE の上級編として位置づけ、臨床実習の成果を問うものとし、プライマリ・ケアを中心とした臨床能力を客観的に評価する。
● 面接試験
医師としての適性を評価し、本人にフィードバックする。


まぁ、理屈の上ではそうそう間違ってないですよ?
でも、ちょっと考えてみて下さい。こういう試験にするために超えなきゃいけないハードルがいくつありますか?5年10年でどうにかなるものではないと思います。
しかも、「医師としての適性」ってなんなんでしょうか?是非とも具体的に教えて頂きたいものです

少なくとも、こういうテストをするためには教育システムの根本的な変更に加え、病院実習を根本から変えなきゃいけないわけですが、問題は、日本国民がそれを許すかです(アメリカのあの病院実習は格差医療があるから可能なのです)
その辺を医師会がどう解決するつもりなのかですが…ものすごい突っ込みどころがあります


日本医師会は、参加型の臨床実習の導入にあわせて、たとえば
・指導医等に対する医師賠償責任保険(医賠責保険)の補助
・学生を対象とした準会員的な制度の新設
などの支援を行なっていくことを検討する。


…えーと?
医師会が学生にエンクロージャかけたいのはよくわかったが、あえてスルーしよう。その前の一文がそれどころじゃないくらい理解できないからな!
とりあえず文字通り解釈するなら、 
学生が何かやらかしたら指導医が個人の医賠責で対応しろ 
ってことですか?!
学生とか研修医以前に、指導医がはだしで逃げ出す様が容易に想像できるのですが、これで体験型病院実習が促進されるって本気で言ってるんでしょうか???
さらにこれで終わらないのが日医クオリティw新会長はなにを錯乱されたのでしょうか?



日本医師会は、医学部教育から初期臨床研修までの 8 年間、一貫して地域医療を学習・研修し、より実践的な地域医療を身につけることを目的に、初期臨床研修は、原則として出身大学のある都道府県で行なうことを提案する。
またこれにより、医師が地域への愛着を深め、ひいては医師の地域的偏在の解消の一助となることを期待する。


「希望を持つのは勝手だが、期待を持ってはいけない」と言った高名な先生がいらっしゃいますが、是非とも日医にお説教して頂きたいです

医師会の理事の方々
臥薪嘗胆って言葉、ご存じ?
なんでこれで郷土愛が芽生えると思えるのか理解不能
いや、まさか舛添大臣(当時)すら憲法違反と喝破した官僚のゴミ案をまさかの日医が持ち出してくるとは…

そもそも、現実問題として法律以前にあり得ないんですけどね…
私のいる県、研修医の募集定員が病院が責任もって研修できる数を無視して設定されている(研修担当者談)のですが、そのムリな募集人数を県内全部足しても、来年度の医学部新入生の定員に届きませんwwwww

第一、世間のイメージとは逆に、実際には大都市は研修制度が始まってから研修医が激減しています。
また、研修医が増えたその周辺地域は地方に散った医学生が帰ってくることで、ギリギリ低空飛行で地域医療がもってます
これ以上引きはがせば、大都市圏の医療はこんどこそ致命傷ですよ?

たとえば千葉県は船橋市一つで鳥取県と同等の人口があります。千葉県も鳥取県も、医学部は一つです。
研修医が出身大学に拘束されることになれば、千葉は医師不足で医療が崩壊し、鳥取はオーバーフローで研修が崩壊します。
誰も嬉しくない結果になるのは明白ですが?
こんな一見したところ地方医大が狂喜乱舞しそうな案を医学部や大学附属病院が一度も言い出さないことの意味を考えて頂きたいですね

さて、これで終わってくれればよかったんですが、まだまだオチが続きます


日本医師会は、初期臨床研修修了者を、日本医師会認定「一般臨床医(仮称)」として認定する。

そういや、さっき

・学生を対象とした準会員的な制度の新設 


とかいうのがありましたね?
いつから日医は強制加入になったwそれとも、新手の押し売りか?!



なんというか、悪意を極力もたないように見ているつもりなのですが、どうみても、プロ集団としての提案ではなく、ただの利権争いです
それだけなら全力でみんなでスルーすればいいだけなのですが、このpdfにある「都道府県医師研修機構」とか気になるんですよね
なんか、読売の医師強制配置システムと類似しているような気がするのですが…

場合によっては、研修病院がバスチーユ監獄と化すぞ?

2011年1月16日日曜日

連絡事項

いつの間にか松の内も終わってしまいました
年末からバタバタしていて更新ができない日が続いておりますが、本ブログは今年も継続していきたいと思います
どうかよろしくお願いいたします

2010年12月11日土曜日

箱は開かれた

朝日がんワクチン騒動、事前情報通り中村氏らが朝日を名誉毀損で訴えました。

がんワクチン報道で朝日新聞を提訴、東大医科研・中村教授ら
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/31331.html

これに対する朝日の「反論」は相変わらず意図的としか思えないほど歯車がかみ合ってないのですが
http://www.asahi.com/health/news/TKY201012080427.html
この先は裁判所でのバトルになるので、今回は朝日がんワクチン騒動の方をやろうと思ってたんですが、予定変更して時間外訴訟の続報に行きたいと思います。


奈良県の時間外労働訴訟が最高裁までもつれ込んだことは前回書きましたが、その後、全国でこれに呼応するかのような報道がされました


東大病院など違法超過勤務、是正勧告8回
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101208-OYT1T00155.htm
京都府立医大 残業代3億円支払わず
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20101207059.html
(岩手)県立病院、違法時間外労働22年 労使協定結ばず
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101208_2
和歌山県立医大病院が残業割増分6000万円未払い
http://www.asahi.com/job/news/OSK201012060123.html

他にも報道されてるかも知れませんが、フォローできたのはこれだけです
大学3件、自治体病院1件ですが、興味深いのは労基署はこれらに「以前から」是正勧告をしていたと言うことです
つまり、違法状態は認識していたが、手は出せなかったということでしょうか?
特に大学の場合、人事院が「見て見ぬふり」をしていた問題に、独法化を機に労基署が「大学病院といえども例外ではない」と踏み込んできたと言うことでしょうか?

奈良県の行き先次第では、ビッグバンが起こる可能性は充分にあると言うことです
(もっとも、一票の格差論争にみたいに延々訴訟が続く可能性の方が大ですが)

さて、ここで各病院の言い分を聞いてみましょう
まずは各ブログで既に散々叩かれてる東大ですが

 同大によると、是正勧告を受けたのは、付属病院が4回、医科研が2回、医学部と研究協力部が各1回の計8回。うち付属病院の未払い賃金額は約7457万円と全体の7割以上を占めた。04年以降、ほぼ毎年勧告を受け続けており、労基法違反が常態化していた。
 労使協定で定めた時間外労働の上限は、急患対応や入試などの特別事情を除き月45時間。しかし、職員や上司が、時間外労働として報告すべき残業を「自主研究」と勘違いして報告しなかったりして、正確な勤務状況を把握していなかったという。同大は未払い分を全額支払い済みだが、「勧告を誠実に受け止め改めて周知徹底する」(同大本部広報課)としている。


とんでもねーくらい開き直ってますなw
しかも東大のいう「全額」というのが本当に「全額」であるわけはないでしょう
時間外労働が月45時間で済んでると誰が信じます?(「急患対応」って便利な言葉ですよねw)
仮にこの言い分が正しいとしてもですね、
研究は労働時間ではないって『大学』でありながら何言ってるんでしょうか?
東大ですら研究者は減少していると騒がれていますが、東大ですらこういう状態で、日本の医学研究が発展すると本気で思っているんでしょうか?




次、京都府立医大


 大学によると、医師と同病院の間で時間外労働に関する協定がなく、2007年12月と09年10月に当直手当以外の賃金が支払われていないとして是正勧告を受けた。大学側は08年4月の法人化以降の時間外労働のうち、約1億6000万円をすでに支払い、残りも本年度中に支払うという。
 大学は「09年12月に時間外労働に関する規約をつくり、現在は適正に支払っている」としている。

「規約」の内容が非常に気になるところですが、情報不足すぎてあまり突っ込めませんが、医師に1億6000万払ったのなら、マシな方なのでしょうか?


次、和歌山県立医大病院


 大学総務課などによると、2009年6~8月、医師や職員の超勤手当を払っていなかったとして同年10月に是正勧告を受け、283人に計5617万円を支給した。紀北分院(同県かつらぎ町)も08年11月に是正勧告を受け、82人に計414万円を払った。
 同病院では、外来患者への対応や緊急手術などの際は超勤手当を支払っているが、それ以外の時間は当直手当のみとしている。現在も運用は変えていないといい、担当者は「直ちに運用を変えると経営が立ちゆかなくなる。今後の対応は決まっていない」と話している。

どうやら、奈良県と運命を共にすると言うことだそうです
最後、岩手県立病院

 県医療局によると、36協定は今年3月30日に再締結され、違法状態は解消した。医師を除く残業の上限時間は1カ月20時間、年間240時間とした。 5月1日現在の医療局職員は4742人で、管理職約120人を除く約4600人が36協定の対象となる。


医師は?
ねぇ、医師は??  


来週は学会のため休刊するかも知れませんが、次回はよほど大事件が起きない限りは
「モチベーション3.0からみた日本の医療の変化」を
考察したいと思います

2010年12月5日日曜日

パンドラの箱となった奈良県時間外労働裁判

先日の

バグだらけの医療体制と当直問題高裁判決
http://firstpenguindoc.blogspot.com/2010/11/blog-post_21.html

の続きです
奈良県の産科医が訴えた「『医療法上の当直』は時間外勤務か」を争う裁判、高裁は「『医療法上の当直』=『労基法上の当直』ではない」という働く側からすれば当たり前の、しかし画期的な判決を出しました

これに対して奈良県はどうしてくるかと思いきや、ネット医師の期待を裏切らず、最高裁まで持って行ってくれましたw
まずは奈良県の言い分を確認しましょう


時間外手当裁判、奈良県が上告したわけ
「奈良県だけの問題ではない、上級審に慎重な判断を求めたい」
2010年12月1日 橋本佳子(m3.com編集長)
 「この裁判では、(訴訟の対象となっている)2004年、2005年当時のことを争っているわけだが、その後、医師の処遇改善などを行った。しかし、大阪高裁判決は、現在の体制でもまだ不十分ということになる。また医師の労働環境を守ることと、地域住民の健康生命を守ることは、ジレンマに陥ることでもある。今回の判決を踏まえると、県では対応が困難であり、厳しい医師の労働環境、全国の救急医療の状況、医師の需給状況などの現実的な状況、さらにはこの判決が社会に与える影響を踏まえた上での慎重な判断を上級裁判所に求めたい」
 奈良県医療政策部長の武末文男氏は、11月30日の記者会見でこう説明した。同県は、奈良県立奈良病院の二人の産婦人科医が、未払いだった時間外手当(時間外・休日労働に対する割増賃金)の支給を求めた裁判の大阪高裁判決を不服とし、上告期限の30日、最高裁に上告した。


内容としては、前回指摘したのと以下同文の問題のすり替えですね
奈良県が何を言おうが、36協定なしにただ働きさせていた事実は変わりません
奈良県の主張は、36協定結んで全力でそれを遵守して金を払ってた病院が、労基署に労働時間を突っ込まれて初めて言って許される話です

しかし、最高に傑作なのは

医師の労働環境を守ることと、地域住民の健康生命を守ることは、ジレンマに陥ることでもある

という一言ですね
徹夜明けの思考力は飲酒状態に匹敵するという論文を引用して、医療安全上ありえないっていうか、むしろ地域住民の健康リスクになりかねないとか展開しようかと思いましたが、冷静に考えればそこまでする必要もない話でした
何故か毎度毎度「ただし医師は除く」のマジックで誤魔化されそうですが、このセリフを他業種に当てはめてみると非常にあり得ない話であることがわかります


派遣社員の労働環境を守ることと、企業の成長を守ることは、ジレンマに陥ることでもある
地域住民の生活環境を守ることと、企業の成長を守ることは、ジレンマに陥ることでもある 



とか言うセリフを経団連や内閣が言ったらどうなりますか?
まぁ誰かは腹を切ることになるでしょう
たった一言で奈良の医療に止めを刺しかねない魔術ですが、医療崩壊の聖地の名は伊達ではありませんでしたね…

日本医療の最大の間違いは、医療者も管理者も、医療と医師を同一視していることです
医師は医療の行為者ではありますが、それだけです

「医師法」として医師に義務づけられていることと、
「医療法」として都道府県や医療機関に義務づけられていることと、
「労働基準法」として雇用者に義務づけられていることと、
この3つは明確に区別して理解しなければなりません
医療というシステムに要求されていることを、医師という個人に背負わせるのは恥だと知るべきです



しかし、今回奈良県が最高裁に持ち込んだのは、本当にパンドラの箱としかいいようがありません
7月に、小児科医の中原氏が過労の末に鬱となり自殺したのを労災認定と病院の責任を求めて起こされた裁判で、高裁は労災を認めながらも病院の責任は認めず、最高裁で和解させた件を思い出しました
http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/

恐らく、最高裁はこの時と同じようなロジックで来ると思われますので、別のところでした分析を引用します


最高裁までもつれ込んだ、小児科医過労自殺事件の民事裁判ですが、 かろうじて遺族敗訴は免れた…というところでしょうね
この手の話は、私の担当チームの先生が当時30代で夜勤中に過労死されてるので全く他人事じゃないんですが、 医師側の絶対的な基準で言えば「ふざけるな」という結論ですね
700万というところに反応される方も多いようですが、私が問題にしたいのは別のところです
まず、一審や二審の判定を継続して遺族敗訴にしなかったのは、流石に最高裁はそこまでバカではなかったと言うことでしょう
医師が法曹界にぶち切れてるのは流石に理解されてるようで、ここは大野病院事件以来の流れと見ていいかも知れません
しかし、では、何故「和解」なのか?
最高裁が本当に和解条項にあるように労基署の過労死認定を追認するのなら、「和解」である必要はなかったのです
本気で「過重な勤務条件の改善」に取り組ませたいのなら、遺族の逆転勝訴にするべきだったのです
でも、そうはしなかった
恐らく、「過労に伴う鬱病の自殺は使用者責任」という『最高裁判例』をつくるわけにいかなかったのだと思います
これは、医師だけでなく、一般の労働者にも適応されますからね
また、和解案に「医師不足や医師の過重負担を生じさせないことが国民の健康を守るために」とあることも気にかかります
確かに、現在の医師の労働時間は過労死ライン平気でこえてますからね
今の医師数で「過労死ラインを下回る労働環境」を最高裁が義務化すれば、「医師不足」に拍車がかかる(正確には表面化する)のは事実です
そこまで計算して「和解」に持ち込んだのであれば、最高裁としては可能な限りの妥協点であると言えるでしょう
しかし、妥協は所詮、妥協でしかないのです
結局のところ、この和解案は
「医師は生かさず殺さず使え」
という現状を追認したものに過ぎません
この和解は最悪ではないが、ただそれだけで、誰も救いません
つまり、現在のサボタージュ型地域医療崩壊は、これまで通り続くということです
医師だって、自分のことを考えない人のために、殉死なんてしたくはありませんから


最高裁としては、奈良に対してだいぶはらわた煮えくりかえってるんじゃないでしょうか?
法的には高裁判決に準じるほかありませんが、そうなれば当然地域病院は「これまで存在しないことにされていたコスト」を処理しなければならなくなります
そうなると、受診抑制を打ち出すしかないわけですが、CTAS(http://jsem.umin.ac.jp/ctas/index.html)など含めたシステム論ができる人間が最高裁にいるとは思えませんから、何言い出すかまったく想像ができません

最高裁が同じロジックで来るなら、やはり和解を狙うでしょうが、医師サイドは今回は地裁・高裁と勝ち進んできてるので、いまさら妥協してやる必要はありません
かといって、ここで逆転判決だせば問答無用で全国の医師の反発を招くこととなり、中原氏の裁判で和解にした意味がありません
どう転んでも、甚大な影響が出る判決になるであろうことは想像に難くありません


ところで、なんでここまでこじつけてまで奈良県の往生際が悪いか…と思っていたんですが、中原氏の記事を見つけたときに、すっかり忘れていた記事を偶然発見しました


産科医当直は違法な「時間外」…奈良県を書類送検

 奈良県立奈良病院(奈良市)に勤務する産科医の当直勤務は違法な時間外労働に当たるうえ、割増賃金も支払っていないとして、奈良労働基準監督署が、同病院を運営する県を労働基準法違反容疑で書類送検していたことがわかった。
 同病院は昨年4月、産科医2人が当直勤務に対して割増賃金の支給を求めた民事訴訟の奈良地裁判決で、計1540万円の支払いを命じられ、控訴審で係争中。公立病院の医師の勤務実態に関して、刑事責任を問われるのは異例という。
 捜査関係者らによると、同病院では、産科医らが当直中に分娩(ぶんべん)や緊急手術など通常業務を行っているが、病院は労基法上は時間外労働に相当するのに割増賃金を支払っていなかったうえ、同法36条に基づき、労使間で時間外労働や休日労働などを取り決める「36協定」も結ばず、法定労働時間を超えて勤務させた疑い。
 昨年4月の民事訴訟判決で、奈良地裁は「当直の約4分の1の時間は、分娩や緊急手術など通常業務を行っている」などとして、医師の当直勤務を時間外労働と初めて認め、割増賃金の支払いを命じた。判決後の同9月、県外に住む医師が県を労基法違反容疑で告発し、奈良労基署が調査を進め、今年5月に送検した。
 県は2004年から、36協定締結について労組側と協議したが、現在まで協定は締結されていない。ただし、県は06年の提訴後、2万円の当直手当に加え、当直中の急患や手術の時間に応じて割増賃金を支給し、当時5人だった産科医を7人に増員するなどの措置を取っている。
 武末文男・県医療政策部長は「書類送検されたことを重く受け止めており、協定をできるだけ早いうちに結びたい。割増賃金については、引き続き県の主張を説明する」としている。
 県立奈良病院は1977年開院。病床数は430床で、内科、外科、小児科など16の診療科がある。
(2010年7月9日10時58分 読売新聞)


要するに、奈良県の医療担当者と県知事は、労基法違反で刑事裁判(6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金)に問われているわけです(実は奈良県の医療がどうこうじゃなくて、単に我が身かわいさの悪あがきじゃなかろうか…)
この続報を聞いた覚えがないので、最高裁判決まで起訴を引っ張るつもりでしょうか?
労基署が何を考えているのかはわかりませんが、既に奈良県に退路は断たれていたわけですね
これが立件されれば、全国の知事に累が及ぶことになるわけです(公立病院の独法化が進みそうだな…)

根本的な解決策が提示されない限り、誰かが血を見る羽目になるのは間違いなさそうです

2010年11月29日月曜日

自治体病院の家計簿

病院、特に自治体病院は非常に経営が大変なことは周知の通りですが、その実態を象徴する事件がありました



診療報酬2億円返還へ 八戸市民病院

 青森県八戸市民病院は26日、看護師配置の算定などに不備があったとして、2007年9月~08年8月の診療報酬計約2億317万円を返還すると発表した。東北厚生局と青森県による特定共同指導で過大請求が判明した。
 市民病院によると、返還する診療報酬は健康保険組合など保険者分が6818件の約1億9310万円、患者分は2615人、4461件の約1007万円。
 市民病院は入院患者7人に対し看護師1人を配置する「7対1看護」に基づき、診療報酬を請求している。本来は外来施設扱いの「急患室」を入院施設と解釈し、同室で診療を受けた患者を入院患者として診療報酬を算定するなどしたため、東北厚生局から「算定要件を満たしていない」と指摘を受けた。
 保険者には今後発生する保険料と相殺し、患者には口座振り込みなどで返還する。
2010年11月27日土曜日


要は、外来ベッドを入院ベッドとして申告することで、外来ナースの一部を入院患者用ナースとして「7:1看護」としていたってことでしょうか?
非常にわかりにくい記事(というか、この手の記事はわかってない人間が書くからさらに意味不明になる…)ですので推測でしかありませんが、単年度分だけで6818件、約2億円相当ですから、多分間違ってないとは思うのですが?
2008年9月以降の記載がないのは、調査中なんでしょうか?

しかし、これ「返還する」で済まされちゃうのが病院ですよね…
普通の企業でこんなのやったら「詐欺容疑」とかつくと思うのですが?
いくらサイフが厳しくたって、嘘ついて金取ったり、払うべき給料を払わない(NARAとか)とかしたら、それはれっきとした「犯罪」ですので、皆さんご注意を

さて、この市民病院ですが、何度か聞き覚えある名前だし、なんか比較的最近聞いたことあるような気がしたんでググってみたらこんな記事出ました



2010年8月21日(土)
八戸市民病院が黒字転換/09年度

 八戸市民病院は20日、2009年度事業会計の概要を発表した。診療など病院事業の収支を示す収益的収支は、入院・外来収益の増加などにより2億5947万円の黒字となり、1997年に現在の田向地区に移転新築して以来初の黒字を計上した。累積赤字は前年度比1.9%減の132億3330万円となった。
 入院・外来患者の診療収入などによる事業収益は約145億円で、前年度比6.2%の増。延べ患者数は入院が同1.8%増の約19万2千人、外来は同10.2%増の約21万5千人だった。
 また、市一般会計からの繰入金が前年度を12.4%上回る約19億3千万円だったことも事業収益の増加につながった。
 一方、給与費などの事業費は約142億4千万円で前年度比2.8%の増。医師が前年度から11人増え83人となったことで給与費が増え、患者数の増加により診療に伴う材料費も増加したが、各種燃料に使う重油の値段が前年度に比べて安値で落ち着いたことなどから経費が削減され、事業費全体の伸び率を抑制できた。
 同病院管理課の担当者によると、単年度黒字の計上は「移転新築直前の95~96年度以来ではないか」という。今後の経営の推移については「新築から13年がたち、MRIやCTなど老朽化した設備の更新に取り組む必要がある。楽観視できる状態ではなく、引き続き健全経営に取り組みたい」と説明した。


なんていうか…その、黒字化はいいんですけど、
「入院・外来収益の増加」
ってのは真っ当な手段での増加なんでしょうか?
去年も同じことやってたなら、違反分返還したら赤字転落じゃね?
1匹見ると~と疑ってしまいますが、まぁそこは追求しようがないので置いといて、それよりも突っ込むべきところがあります

「市一般会計からの繰入金が前年度を12.4%上回る約19億3千万円だったことも事業収益の増加につながった。」

ということですが…えーと、ここでちょっと解説入れましょう
実は、病院の「収入」には、いわゆる「補助金」が組み込まれてます
つまり、この文章はぶっちゃけるなら、「ママからお小遣い多くもらえたから財布の中身が増えた」っていってるだけです
具体的に計算すると、市からのお金は08年度が17.1億で09年度が19.3億………黒字分の84%が繰越金の増額じゃないですか?!
自治体病院が自治体にとってどれだけ金食い虫かよくわかりますが、
これを「黒字転換」といっていいんでしょうかねぇ?

まぁ、色々努力↓はされてるみたいですけど?



市民病院「診療費納入通知書・領収書」への広告を募集
http://www.city.hachinohe.aomori.jp/index.cfm/14,4868,71,html

2007年3月22日(木)
八戸周辺自治体で協議を/病院で格差料金

 八戸市民病院は、七月一日から個室の入院室料や分娩(ぶんべん)料を市民と市外の患者で格差をつけることになった。県内の自治体病院では初めての試み。果たして、患者に料金格差を設けることが中核自治体病院になじむのか、大きな問いを発している。
 同病院の考え方は、八戸市民は税金を繰入金として同病院に毎年入れており、それと応分の金額を市外の利用者にも負担してもらおうというものだ。
 病院建設費や高度医療機器整備の償還金などを含め、八戸市の一般会計からは、年間およそ二十億円が同病院事業に投入されている。それは同病院事業収入の15%を占める。
 今回の個室入院室料の割り増し分も、それに合わせ15%に設定した。市民と“同率”の負担を市外患者にもという理屈だ。分娩料は料金改正で全体が値上げされるため、市外患者の負担は10%に抑えたという。



なんというか、たくましいというか、なりふり構わず収入を増やそうという病院(というか、経営者の市?)の姿勢というか執念が見えます
きれい事だけで病院経営できる時代ではないのは事実ですが、一つ、疑問がわきますよね?
例年赤字だったとしても、そもそも、なんで132億もの累積赤字抱え込むことになったの?ってことです

こういうときの「主犯」って、たいていが病院建築費だったりしますが、この病院の建設費用は…あれ?正式な金額出てこないな?300億とかいう噂もあるけど、それだと1床あたり5100万?とかいう自治体病院でも最高クラスの金額になるが、あり得ない金額じゃないですね(ちなみに民間は1床あたり1000~1500万です。自治体病院は何故か3000~5000万になる)
…おや?なんか検索に引っかかりました


http://ja.wikipedia.org/wiki/大島理森
政策秘書が公共工事
2002年に、政策秘書が公共工事などに絡み数千万円の口利き料を得ていたとの疑惑が浮上した。政策秘書は八戸市民病院や八戸赤十字病院、JR八戸駅駅舎のほか町村などの工事にも絡み、「営業手数料」などの名目で口利き料を得ていたとされる[14]。事務所は「本人からは『心配ない。きちっと対応したい』という連絡があった。事務所としての対応もこれから詰めていく」とコメントしていたが、2003年3月の農林水産大臣辞任へと繋がった


…あれ、普通に病院の収支の考察するはずだったのに、なんでこんな香ばしいネタばかり引っかかるんだろ(-_-)



おまけ
初期臨床研修に向けてのメッセージ
http://www.hospital.hachinohe.aomori.jp/sb.cgi?cid=18

ん???
またネタみたいな香ばしい文章が並んでますが、なんか記憶に引っかかるな…
うに?

ウニ丼無料の日をつくったら研修医増えたっていう病院ってここか?!!!

2010年11月21日日曜日

バグだらけの医療体制と当直問題高裁判決

医師の当直問題について、とうとう画期的な判決が出ました


産科医の当直、時間外支払い命じた一審支持 大阪高裁
http://www.asahi.com/national/update/1116/OSK201011160074.html
2010年11月16日23時54分

 産婦人科医の夜間や休日の当直勤務が労働基準法で定められた「時間外手当」の支給対象になるかが争われた訴訟で、大阪高裁の紙浦健二裁判長は16日、対象になると判断して奈良県に計約1540万円の支払いを命じた一審・奈良地裁判決を支持し、原告・被告双方の控訴を棄却した。
 原告は奈良市の同県立奈良病院に勤める産婦人科医の男性2人。各地の病院の産婦人科医の多くも同じ問題を抱えているといい、代理人の藤本卓司弁護士は「高裁レベルで支給対象と認められたのは初めてで、産婦人科医療に影響を与える可能性がある。問題の背景には産婦人科医の絶対的な不足があり、数を増やすための国の対応が求められている」と話している。
 高裁判決によると、2人は04~05年に210回と213回の当直をこなし、1人は計56時間連続して勤務したケースもあった。これに対し県は「当直は待機時間があり、勤務内容も軽い」として時間外手当の対象外と判断。当直1回につき2万円を支給した。
 紙浦裁判長は、産婦人科医不足で県立奈良病院には県内外から救急患者が集中的に運ばれ、分娩(ぶんべん)件数の6割以上が当直時間帯だったと指摘。当直勤務について「通常業務そのもので、待機時間も病院側の指揮命令下にあった」と判断した。緊急時に備えて自宅待機する「宅直勤務」は時間外手当の支給対象と認めなかったが、「繁忙な業務実態からすると過重な負担で、適正な手当の支給などが考慮されるべきだ」と述べた。
 武末文男・同県医療政策部長は判決後に県庁で記者会見し、「判決に従えば夜間や休日の診療が困難になる。国に労働環境改善と救急医療の両立を図れる体制作りを要請したい」と述べ、上告についても検討するとした。県側は2人の提訴後の07年6月以降、県立病院の医師が当直中に治療や手術をした場合、その時間に限って時間外手当を支給する制度を導入している。(平賀拓哉、赤木基宏)


この判決の少し突っ込んだ内容については…私がどうこう言うより、m3の解説から抜粋させて頂きましょう


 判決の論旨は明確で、(1)就業規則上は「宿日直」の扱いだが、実態は異なり、労働基準法41条3号の規定の適用除外の範囲を超える(「宿日直」に当たらず、時間外手当の支払い対象となる)、(2)救急患者や分娩などへの対応など、実際に診療に従事した以外の待機時間も、病院の指揮命令系統下にあることから、時間外手当の支払い対象になる、というものだ。
 判決では、(1)について、2002年3月19日の通知(厚生労働省労働基準局長通達基発第0319007号)を引用し、宿日直とは「構内巡視、文書・電話の収受または非常事態に備えるもの等であって、常態としてほとんど労働する必要がない勤務」とした。県が2007年6月から9カ月間について調査したところ、通常勤務(救急外来患者への処置全般および入院患者にかかる手術室を利用しての緊急手術など)の時間は、宿日直勤務時間の24%だった。
 (2)について県側は、「時間外手当を支払う対象となる労働時間は、社会通念上の一定の線引きの下に、必要と判断される所要時間と考えるべき」と主張していたが、判決では「宿日直勤務の開始から終了までの間」と判断された。
 結局、2004年10月26日から2005年12月31日までの間で、A医師が認められた時間外の労働時間は、宿直1372時間30分、日直271時間15分、B医師は宿直1418時間15分、日直297時間30分。時間外手当の算定基礎額は、月額給料に、調整手当、初任給調整手当、月額特殊勤務手当を加えた額とされた。


高裁が医師の「当直」は労基法上の「当直」とは異なるという判決を出した初めての判決で、非常に画期的な内容となっています
ですが、法解釈自体は以前から医療者や法曹界から指摘されていた通りで、特に画期的なモノはありません
それどころか、この判決にも2つの欠陥があり、私はネット医師の歓喜の声ほど楽観はできません


第一の問題は、この「当直」が「時間外勤務に相当する」とした根拠が、「当直時間中の通常勤務割合」とされているところです
非常に明快なロジックで、法の趣旨に照らせばそうなりますが、もし具体的な数字をあげて
「当直時間のうち、通常の勤務が~%を超えた場合は時間外勤務とみなす」
というような基準ができてしまったらどうなるでしょうか?

当直が「当直」なのか「時間外勤務」なのかは、勤務が終わってみないとわからないことになります
消防隊員に、「今日は火事がなかったから、お前ら今日は給料なしだ」と言う人はいるでしょうか?
前線の軍人に「今日は襲撃がなかったから、お前ら今日は給料なしだ」と言えばどうなりますか?
後は野となれ山となれとなることは容易に想像されるでしょう
士気の上でも運用上の問題でも、かなりあり得ないことになります


若干話はそれますが、先日の事業仕分けでも、これと同じ過ちを犯しています


 「診療報酬改定で対応可能」とされた事業は、「特定の診療科に従事する医師等への手当支給」で、救急勤務医支援事業(救急医に対して宿日直のたびに最大1万9000千円程度の手当を支給)、新生児医療担当医確保事業(NICUへ入室する新生児を担当する医師に対し1万円の手当てを支給)、産科医等育成支援事業(後期臨床研修で産科を選択する医師に対し月額5万円の手当てを12カ月支給)など。


診療報酬のみで対応すると言うことは、患者が来たことに対する出来高払いしかしないということであり、
「今日は救急車が来なかったから、救急診療部の収入0」ってことです
救急が不採算部門となる元凶はここにあります


今回の高裁判決と事業仕分けは、医療体制に対する無理解という、同じ病理を抱えています
国の、インフラとしての医療に対する金は払わないと言う姿勢を、今回の高裁判決は婉曲的に認める内容にもなりかねないのです
必要なのは「労働の対価としての給与が適切に支払われているか」ではなく、それ以前の「何をもって医療と呼ぶか」ではないでしょうか?


第二の問題は、この判決は給与体系のみに言及しており、労働体系そのものへの言及はされていないと言うことです
宿直を時間外勤務としてカウントした場合、これを可能な限り遵守する方法としては、現状では病院ごとの機能分化と患者制限しかありえません
しかし、これは応召義務(医師法)との兼ね合いがネックになります

「医師法」として医師に義務づけられていることと、
「医療法」として都道府県に義務づけられていることと、
「労働基準法」として雇用者に義務づけられていることと、
現在パラドックスに陥ってしまっているこの3つの整合性をどうとるのか

 という問題にぶち当たります
ここのところがデバッグされない限り、類似の裁判がいくつも続くことになるでしょう

まあ、なんにせよ
当直を時間外勤務と認めると労基法違反になるから認めるわけに行かない、とか全国に発信しちゃう奈良県の医療担当者の不用心さが、やっぱり奈良は奈良だったと全国の医療者に思わせたことだけは間違いないでしょう

2010年11月13日土曜日

メディアの驕り:朝日がんワクチン報道

とうとう朝日が詳細な反論文を出してきました



これに対しては、すでに以下の反論が行われています

Vol. 346 大丈夫か朝日新聞の報道姿勢 II
http://medg.jp/mt/2010/11/vol-346-ii.html#more

Vol. 348 がんワクチン報道に関し、朝日新聞社に対し迅速な真相究明と説明を求めた
http://medg.jp/mt/2010/11/vol-348.html#more


まぁ、基本的にはご指摘の通りですが、正直言って、詰めが甘いかと思います
というわけで、朝日の反論記事を滅多切りにしてあげましょう


記事で朝日新聞が最も伝えたかったことは、薬事法の規制を受けない臨床試験には被験者保護の観点から改善すべき点がある

という冒頭の文ですが、ここからしてすでに突っ込みどころ多彩です
まず、問題の発端の記事を確認して頂きたいのですが(http://firstpenguindoc.blogspot.com/2010/10/vs.html)
根本的な問題として、今回の反論記事を書いた大牟田記者は、問題の記事を書いた記者ではありません。よって、問題記事の目的を説明する人物としては不適当であると言わざるを得ません

また、朝日が本当に臨床試験の制度上の不備を訴えたかったのなら、問題の記事はこの様な文章構成になるでしょうか?
もし制度上の問題を問うのであれば、記事の焦点はペプチドワクチンではなく薬事法と臨床試験であるべきです。
清水氏のこれまでの反論にあるように、


この議論は今回の医科学研究所の例を引くまでもなく成り立つことです。


もしあくまで制度上の不備を問う記事であると言い張るつもりならば、朝日新聞の日本語力に重大な問題があると言わざるを得ないでしょう

さらに、朝日新聞は医科研や中村教授、清水所長は「法的に正しい行為をしている」と言うことを承知でこの文面を書いたことになります。であるならば彼らに不当な責を問うのはやはり言いがかりであり、朝日は名誉毀損の罪科から逃れることはできないでしょう



患者はその後、いったん退院しました。問題の根管ではないので詳述はしませんでしたが、がんワクチンの臨床試験では必ず消化管出血が起きる、あるいは、命に関わる副作用が出ると報じようとしたわけではありません
さて、これについても前と以下同文なんですが、なぜ問題記事を書いたわけではない大牟田記者が「~と報じようとしたわけではありません」などと説明するのでしょうか?これもやはり問題の記事を書いた本人が説明するべき問題です

さらに、朝日が連呼している「重篤な有害事象」ですが、単なる風邪で入院が長引いても制度上は「重篤な有害事象」に相当することを説明をせずに「消化管出血という重篤な有害事象が発生した」と書けば読者が誤解をすることは容易に想像できることです。マスメディアがこれをやったのでは、意図的なミスリードではないかと思われても仕方ないでしょう
こうした不作為は、報道では罪として問われないのでしょうか?


被験者保護を考えれば、同種のワクチンをつかう多施設にも伝えるべきでした
とか書いてますが、この記者は、朝日によって「共同施設」とされた医療機関からの抗議文を読んでいないのでしょうか?
記事に書かれた症例以前に、「消化管出血はワクチンとの関連性は極めて低い」という結論が出されているのですが?
もしその上で医科研が、(実際には共同研究ではない施設に)消化管出血の情報を流したなら、それは「風邪の患者が風邪薬を飲んだら咳が出た」というようなものであり、余計な混乱を招く(もしくは医科研の能力が問われる)行動でしかないでしょう
それとも、朝日はこの結論を覆すような情報を医科研が隠蔽していたという情報でもお持ちなのでしょうか?

私は実父と義父をともにがんで失いました~
なんか、こっからフォローもしようがないくらい小学生の作文になってるんですが…
個人的な感想文が「被験者保護する仕組み必要」という見出しをつけた記事の半分って、正気ですか?
正直言って、朝日新聞東京本社科学医療部門の能力に重大な疑念があると言わざるを得ません

がんって、30年前から日本人の死亡原因一位の疾患で、日本人の3割がこれで死ぬんですが?
自分はがん患者の遺族だから何を言っても許されるとでも言いたいのでしょうか?
というか、この大牟田記者は問題の記事を書いた記者ではないのですが(以下略
 

朝日新聞はこれからも患者や研究者などの多様な意見を報じていきます
そういうのなら、その「意見」とやらを無加工で本人の了承を得た上で掲載するべきです。取材を受けた人のセリフや患者会の声明を自分の都合のいいように切り貼りするな



とまあ記事の直接的な問題点をあげましたが、結論として、この記事はをお涙頂戴で問題
記事の問題点をすり替えようとしているとしか評し得ません

確実にわかってやってるのでしょうが、医療機関や患者会からの声明に対して、一つもまともに回答してません
医療機関からの「基本的な事実誤認」や「捏造疑惑」の指摘については触れられてすらいませんし、
患者会からの「誤解を招く報道をするな」という声明も以前の記事では削除されていたばかりでなく(http://firstpenguindoc.blogspot.com/2010/10/blog-post_3366.html)、今回の反論記事では「報道の趣旨ではない」の一言で切り捨ててます



これが、マスメディアのすることでしょうか?


朝日は医療機関と患者会からの信頼を完璧に失いました
そして、そのフォローをする気がないことが今回の記事ではっきりしました
この問題、恐らく、朝日が泣いてごめんなさいと言うまで尾を引くでしょう
殲滅戦は継続が決定しました
次戦は、中村教授の名誉毀損訴訟でしょうか?