その理由は、医学部新設時に現在一線の医師が引き抜かれて、医療崩壊地域が拡大するのではないかというものです。
これについてはネットでは反対意見の方が多いのですが、実際どんなものなのでしょうか?
医学部新設の最有力候補と思われる、民主党政権になってから突然存在感を増してる国際医療福祉大学の現有戦力をみてみますと、
総病床数211床(一般病床 146床、特定病床65床)
医師数 常勤75名 非常勤70名 うち指導医数54名
1日平均入院患者数 181名(2009年度)
1日平均外来患者数 725名(2009年度)
1日平均救急医療件数17.1件(2009年度)
となっています。
仮にも医学部附属病院で働く人間としては、これはいくら何でも少ないだろうと思いますので、同じ地域にあるJ大学附属病院を見てみましょう
病床数 1,130床
■ 医師数 679名(2010年4月1日現在)
■ 指導医数 372名(2010年4月1日現在)
■ 1日平均入院患者数 899名(2009年度)
■ 1日平均外来患者数 2,649名(2009年度)
■ 救急患者数 23,209名(2009年度)→1日平均63.6名
ええと、正直言って、ここまで戦力差があるとは思ってもいませんでした…
指導医数なんて、6~7倍差があります。
病床数などから見るに、J大は予想以上に規模が大きそうなので、とある地域新設国立大学を見てみましょう
□病床数:612床
□医師数(医員を含む):262名
□ 1 日平均外来患者数:1,226名
□ 1 日平均入院患者数:499名
まぁ、新設国立大はこんなもんでしょう
現状の新設国立大と、国際医療福祉大学は1.5~2倍の人数差があると見ていいでしょう。
この戦力差から見るに、国際医療福祉大学が引き抜きをせずに現有戦力で教育可能な学生数は1学年60~70人というところでしょうか?
入院患者数で考えるなら20~30人程度になりますか?
その程度でしたら、現状の80医学部の定員を1人増やせばおつりが来ますね(笑
医学部1つ新設するのと、現状の医学部の定員を1人増やすのと、どちらが対応が容易であるかは考えるまでもないでしょう。
正直言って、医学部新設は話の大きさの割には、実質的な医師増員のインパクトは期待できないと見て良さそうです
また、これから新設される医学部は全て「私立大学」になりますので、既存の私大ですら授業料値下げする時代に1学年50~60人で収益が得られるのかという疑問も微妙についてきます。
では、新設医学部の1学年を100人にすればいいのか?となると、また話がとんでもない事になります
1日の入院患者数が181人では、患者の2人に1人以上はBSLの学生がつく事になります(笑
いうまでもなく、そんなことになれば現場の医師の教育の負担もえらいことになります
しかし、だからといって現存医学部と同等の医師数にするとなると、医師も100人増やさなければならなくなります(爆
ここまで来ると、すでに80も医学部があるのにこの上さらに新設する事は、本当に意味不明になってきます
では仮に新設され、指導医のヘッドハンティングがおきれば地域医療はどうなるでしょうか?
先に行われたロースクール新設では、優秀な先生のヘッドハンティングが行われ、既存の法学部が苦労したと聞いています。
戦争映画で、「前線での兵士の死は戦死だが、指揮官の死は全滅だ」という趣旨のセリフがありますが、指導医の引き抜きは「前線での指揮官の死」に匹敵します。
チームリーダーがいなくなれば、その診療部門そのものが病院から消えかねない事はこれまでのサボタージュ型医療崩壊で示されています。
どうやら、シミュレーションすればするほど、医学部新設は単純な話ではなさそうです。
少し、頭冷やそうか
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