2010年11月29日月曜日

自治体病院の家計簿

病院、特に自治体病院は非常に経営が大変なことは周知の通りですが、その実態を象徴する事件がありました



診療報酬2億円返還へ 八戸市民病院

 青森県八戸市民病院は26日、看護師配置の算定などに不備があったとして、2007年9月~08年8月の診療報酬計約2億317万円を返還すると発表した。東北厚生局と青森県による特定共同指導で過大請求が判明した。
 市民病院によると、返還する診療報酬は健康保険組合など保険者分が6818件の約1億9310万円、患者分は2615人、4461件の約1007万円。
 市民病院は入院患者7人に対し看護師1人を配置する「7対1看護」に基づき、診療報酬を請求している。本来は外来施設扱いの「急患室」を入院施設と解釈し、同室で診療を受けた患者を入院患者として診療報酬を算定するなどしたため、東北厚生局から「算定要件を満たしていない」と指摘を受けた。
 保険者には今後発生する保険料と相殺し、患者には口座振り込みなどで返還する。
2010年11月27日土曜日


要は、外来ベッドを入院ベッドとして申告することで、外来ナースの一部を入院患者用ナースとして「7:1看護」としていたってことでしょうか?
非常にわかりにくい記事(というか、この手の記事はわかってない人間が書くからさらに意味不明になる…)ですので推測でしかありませんが、単年度分だけで6818件、約2億円相当ですから、多分間違ってないとは思うのですが?
2008年9月以降の記載がないのは、調査中なんでしょうか?

しかし、これ「返還する」で済まされちゃうのが病院ですよね…
普通の企業でこんなのやったら「詐欺容疑」とかつくと思うのですが?
いくらサイフが厳しくたって、嘘ついて金取ったり、払うべき給料を払わない(NARAとか)とかしたら、それはれっきとした「犯罪」ですので、皆さんご注意を

さて、この市民病院ですが、何度か聞き覚えある名前だし、なんか比較的最近聞いたことあるような気がしたんでググってみたらこんな記事出ました



2010年8月21日(土)
八戸市民病院が黒字転換/09年度

 八戸市民病院は20日、2009年度事業会計の概要を発表した。診療など病院事業の収支を示す収益的収支は、入院・外来収益の増加などにより2億5947万円の黒字となり、1997年に現在の田向地区に移転新築して以来初の黒字を計上した。累積赤字は前年度比1.9%減の132億3330万円となった。
 入院・外来患者の診療収入などによる事業収益は約145億円で、前年度比6.2%の増。延べ患者数は入院が同1.8%増の約19万2千人、外来は同10.2%増の約21万5千人だった。
 また、市一般会計からの繰入金が前年度を12.4%上回る約19億3千万円だったことも事業収益の増加につながった。
 一方、給与費などの事業費は約142億4千万円で前年度比2.8%の増。医師が前年度から11人増え83人となったことで給与費が増え、患者数の増加により診療に伴う材料費も増加したが、各種燃料に使う重油の値段が前年度に比べて安値で落ち着いたことなどから経費が削減され、事業費全体の伸び率を抑制できた。
 同病院管理課の担当者によると、単年度黒字の計上は「移転新築直前の95~96年度以来ではないか」という。今後の経営の推移については「新築から13年がたち、MRIやCTなど老朽化した設備の更新に取り組む必要がある。楽観視できる状態ではなく、引き続き健全経営に取り組みたい」と説明した。


なんていうか…その、黒字化はいいんですけど、
「入院・外来収益の増加」
ってのは真っ当な手段での増加なんでしょうか?
去年も同じことやってたなら、違反分返還したら赤字転落じゃね?
1匹見ると~と疑ってしまいますが、まぁそこは追求しようがないので置いといて、それよりも突っ込むべきところがあります

「市一般会計からの繰入金が前年度を12.4%上回る約19億3千万円だったことも事業収益の増加につながった。」

ということですが…えーと、ここでちょっと解説入れましょう
実は、病院の「収入」には、いわゆる「補助金」が組み込まれてます
つまり、この文章はぶっちゃけるなら、「ママからお小遣い多くもらえたから財布の中身が増えた」っていってるだけです
具体的に計算すると、市からのお金は08年度が17.1億で09年度が19.3億………黒字分の84%が繰越金の増額じゃないですか?!
自治体病院が自治体にとってどれだけ金食い虫かよくわかりますが、
これを「黒字転換」といっていいんでしょうかねぇ?

まぁ、色々努力↓はされてるみたいですけど?



市民病院「診療費納入通知書・領収書」への広告を募集
http://www.city.hachinohe.aomori.jp/index.cfm/14,4868,71,html

2007年3月22日(木)
八戸周辺自治体で協議を/病院で格差料金

 八戸市民病院は、七月一日から個室の入院室料や分娩(ぶんべん)料を市民と市外の患者で格差をつけることになった。県内の自治体病院では初めての試み。果たして、患者に料金格差を設けることが中核自治体病院になじむのか、大きな問いを発している。
 同病院の考え方は、八戸市民は税金を繰入金として同病院に毎年入れており、それと応分の金額を市外の利用者にも負担してもらおうというものだ。
 病院建設費や高度医療機器整備の償還金などを含め、八戸市の一般会計からは、年間およそ二十億円が同病院事業に投入されている。それは同病院事業収入の15%を占める。
 今回の個室入院室料の割り増し分も、それに合わせ15%に設定した。市民と“同率”の負担を市外患者にもという理屈だ。分娩料は料金改正で全体が値上げされるため、市外患者の負担は10%に抑えたという。



なんというか、たくましいというか、なりふり構わず収入を増やそうという病院(というか、経営者の市?)の姿勢というか執念が見えます
きれい事だけで病院経営できる時代ではないのは事実ですが、一つ、疑問がわきますよね?
例年赤字だったとしても、そもそも、なんで132億もの累積赤字抱え込むことになったの?ってことです

こういうときの「主犯」って、たいていが病院建築費だったりしますが、この病院の建設費用は…あれ?正式な金額出てこないな?300億とかいう噂もあるけど、それだと1床あたり5100万?とかいう自治体病院でも最高クラスの金額になるが、あり得ない金額じゃないですね(ちなみに民間は1床あたり1000~1500万です。自治体病院は何故か3000~5000万になる)
…おや?なんか検索に引っかかりました


http://ja.wikipedia.org/wiki/大島理森
政策秘書が公共工事
2002年に、政策秘書が公共工事などに絡み数千万円の口利き料を得ていたとの疑惑が浮上した。政策秘書は八戸市民病院や八戸赤十字病院、JR八戸駅駅舎のほか町村などの工事にも絡み、「営業手数料」などの名目で口利き料を得ていたとされる[14]。事務所は「本人からは『心配ない。きちっと対応したい』という連絡があった。事務所としての対応もこれから詰めていく」とコメントしていたが、2003年3月の農林水産大臣辞任へと繋がった


…あれ、普通に病院の収支の考察するはずだったのに、なんでこんな香ばしいネタばかり引っかかるんだろ(-_-)



おまけ
初期臨床研修に向けてのメッセージ
http://www.hospital.hachinohe.aomori.jp/sb.cgi?cid=18

ん???
またネタみたいな香ばしい文章が並んでますが、なんか記憶に引っかかるな…
うに?

ウニ丼無料の日をつくったら研修医増えたっていう病院ってここか?!!!

2010年11月21日日曜日

バグだらけの医療体制と当直問題高裁判決

医師の当直問題について、とうとう画期的な判決が出ました


産科医の当直、時間外支払い命じた一審支持 大阪高裁
http://www.asahi.com/national/update/1116/OSK201011160074.html
2010年11月16日23時54分

 産婦人科医の夜間や休日の当直勤務が労働基準法で定められた「時間外手当」の支給対象になるかが争われた訴訟で、大阪高裁の紙浦健二裁判長は16日、対象になると判断して奈良県に計約1540万円の支払いを命じた一審・奈良地裁判決を支持し、原告・被告双方の控訴を棄却した。
 原告は奈良市の同県立奈良病院に勤める産婦人科医の男性2人。各地の病院の産婦人科医の多くも同じ問題を抱えているといい、代理人の藤本卓司弁護士は「高裁レベルで支給対象と認められたのは初めてで、産婦人科医療に影響を与える可能性がある。問題の背景には産婦人科医の絶対的な不足があり、数を増やすための国の対応が求められている」と話している。
 高裁判決によると、2人は04~05年に210回と213回の当直をこなし、1人は計56時間連続して勤務したケースもあった。これに対し県は「当直は待機時間があり、勤務内容も軽い」として時間外手当の対象外と判断。当直1回につき2万円を支給した。
 紙浦裁判長は、産婦人科医不足で県立奈良病院には県内外から救急患者が集中的に運ばれ、分娩(ぶんべん)件数の6割以上が当直時間帯だったと指摘。当直勤務について「通常業務そのもので、待機時間も病院側の指揮命令下にあった」と判断した。緊急時に備えて自宅待機する「宅直勤務」は時間外手当の支給対象と認めなかったが、「繁忙な業務実態からすると過重な負担で、適正な手当の支給などが考慮されるべきだ」と述べた。
 武末文男・同県医療政策部長は判決後に県庁で記者会見し、「判決に従えば夜間や休日の診療が困難になる。国に労働環境改善と救急医療の両立を図れる体制作りを要請したい」と述べ、上告についても検討するとした。県側は2人の提訴後の07年6月以降、県立病院の医師が当直中に治療や手術をした場合、その時間に限って時間外手当を支給する制度を導入している。(平賀拓哉、赤木基宏)


この判決の少し突っ込んだ内容については…私がどうこう言うより、m3の解説から抜粋させて頂きましょう


 判決の論旨は明確で、(1)就業規則上は「宿日直」の扱いだが、実態は異なり、労働基準法41条3号の規定の適用除外の範囲を超える(「宿日直」に当たらず、時間外手当の支払い対象となる)、(2)救急患者や分娩などへの対応など、実際に診療に従事した以外の待機時間も、病院の指揮命令系統下にあることから、時間外手当の支払い対象になる、というものだ。
 判決では、(1)について、2002年3月19日の通知(厚生労働省労働基準局長通達基発第0319007号)を引用し、宿日直とは「構内巡視、文書・電話の収受または非常事態に備えるもの等であって、常態としてほとんど労働する必要がない勤務」とした。県が2007年6月から9カ月間について調査したところ、通常勤務(救急外来患者への処置全般および入院患者にかかる手術室を利用しての緊急手術など)の時間は、宿日直勤務時間の24%だった。
 (2)について県側は、「時間外手当を支払う対象となる労働時間は、社会通念上の一定の線引きの下に、必要と判断される所要時間と考えるべき」と主張していたが、判決では「宿日直勤務の開始から終了までの間」と判断された。
 結局、2004年10月26日から2005年12月31日までの間で、A医師が認められた時間外の労働時間は、宿直1372時間30分、日直271時間15分、B医師は宿直1418時間15分、日直297時間30分。時間外手当の算定基礎額は、月額給料に、調整手当、初任給調整手当、月額特殊勤務手当を加えた額とされた。


高裁が医師の「当直」は労基法上の「当直」とは異なるという判決を出した初めての判決で、非常に画期的な内容となっています
ですが、法解釈自体は以前から医療者や法曹界から指摘されていた通りで、特に画期的なモノはありません
それどころか、この判決にも2つの欠陥があり、私はネット医師の歓喜の声ほど楽観はできません


第一の問題は、この「当直」が「時間外勤務に相当する」とした根拠が、「当直時間中の通常勤務割合」とされているところです
非常に明快なロジックで、法の趣旨に照らせばそうなりますが、もし具体的な数字をあげて
「当直時間のうち、通常の勤務が~%を超えた場合は時間外勤務とみなす」
というような基準ができてしまったらどうなるでしょうか?

当直が「当直」なのか「時間外勤務」なのかは、勤務が終わってみないとわからないことになります
消防隊員に、「今日は火事がなかったから、お前ら今日は給料なしだ」と言う人はいるでしょうか?
前線の軍人に「今日は襲撃がなかったから、お前ら今日は給料なしだ」と言えばどうなりますか?
後は野となれ山となれとなることは容易に想像されるでしょう
士気の上でも運用上の問題でも、かなりあり得ないことになります


若干話はそれますが、先日の事業仕分けでも、これと同じ過ちを犯しています


 「診療報酬改定で対応可能」とされた事業は、「特定の診療科に従事する医師等への手当支給」で、救急勤務医支援事業(救急医に対して宿日直のたびに最大1万9000千円程度の手当を支給)、新生児医療担当医確保事業(NICUへ入室する新生児を担当する医師に対し1万円の手当てを支給)、産科医等育成支援事業(後期臨床研修で産科を選択する医師に対し月額5万円の手当てを12カ月支給)など。


診療報酬のみで対応すると言うことは、患者が来たことに対する出来高払いしかしないということであり、
「今日は救急車が来なかったから、救急診療部の収入0」ってことです
救急が不採算部門となる元凶はここにあります


今回の高裁判決と事業仕分けは、医療体制に対する無理解という、同じ病理を抱えています
国の、インフラとしての医療に対する金は払わないと言う姿勢を、今回の高裁判決は婉曲的に認める内容にもなりかねないのです
必要なのは「労働の対価としての給与が適切に支払われているか」ではなく、それ以前の「何をもって医療と呼ぶか」ではないでしょうか?


第二の問題は、この判決は給与体系のみに言及しており、労働体系そのものへの言及はされていないと言うことです
宿直を時間外勤務としてカウントした場合、これを可能な限り遵守する方法としては、現状では病院ごとの機能分化と患者制限しかありえません
しかし、これは応召義務(医師法)との兼ね合いがネックになります

「医師法」として医師に義務づけられていることと、
「医療法」として都道府県に義務づけられていることと、
「労働基準法」として雇用者に義務づけられていることと、
現在パラドックスに陥ってしまっているこの3つの整合性をどうとるのか

 という問題にぶち当たります
ここのところがデバッグされない限り、類似の裁判がいくつも続くことになるでしょう

まあ、なんにせよ
当直を時間外勤務と認めると労基法違反になるから認めるわけに行かない、とか全国に発信しちゃう奈良県の医療担当者の不用心さが、やっぱり奈良は奈良だったと全国の医療者に思わせたことだけは間違いないでしょう

2010年11月13日土曜日

メディアの驕り:朝日がんワクチン報道

とうとう朝日が詳細な反論文を出してきました



これに対しては、すでに以下の反論が行われています

Vol. 346 大丈夫か朝日新聞の報道姿勢 II
http://medg.jp/mt/2010/11/vol-346-ii.html#more

Vol. 348 がんワクチン報道に関し、朝日新聞社に対し迅速な真相究明と説明を求めた
http://medg.jp/mt/2010/11/vol-348.html#more


まぁ、基本的にはご指摘の通りですが、正直言って、詰めが甘いかと思います
というわけで、朝日の反論記事を滅多切りにしてあげましょう


記事で朝日新聞が最も伝えたかったことは、薬事法の規制を受けない臨床試験には被験者保護の観点から改善すべき点がある

という冒頭の文ですが、ここからしてすでに突っ込みどころ多彩です
まず、問題の発端の記事を確認して頂きたいのですが(http://firstpenguindoc.blogspot.com/2010/10/vs.html)
根本的な問題として、今回の反論記事を書いた大牟田記者は、問題の記事を書いた記者ではありません。よって、問題記事の目的を説明する人物としては不適当であると言わざるを得ません

また、朝日が本当に臨床試験の制度上の不備を訴えたかったのなら、問題の記事はこの様な文章構成になるでしょうか?
もし制度上の問題を問うのであれば、記事の焦点はペプチドワクチンではなく薬事法と臨床試験であるべきです。
清水氏のこれまでの反論にあるように、


この議論は今回の医科学研究所の例を引くまでもなく成り立つことです。


もしあくまで制度上の不備を問う記事であると言い張るつもりならば、朝日新聞の日本語力に重大な問題があると言わざるを得ないでしょう

さらに、朝日新聞は医科研や中村教授、清水所長は「法的に正しい行為をしている」と言うことを承知でこの文面を書いたことになります。であるならば彼らに不当な責を問うのはやはり言いがかりであり、朝日は名誉毀損の罪科から逃れることはできないでしょう



患者はその後、いったん退院しました。問題の根管ではないので詳述はしませんでしたが、がんワクチンの臨床試験では必ず消化管出血が起きる、あるいは、命に関わる副作用が出ると報じようとしたわけではありません
さて、これについても前と以下同文なんですが、なぜ問題記事を書いたわけではない大牟田記者が「~と報じようとしたわけではありません」などと説明するのでしょうか?これもやはり問題の記事を書いた本人が説明するべき問題です

さらに、朝日が連呼している「重篤な有害事象」ですが、単なる風邪で入院が長引いても制度上は「重篤な有害事象」に相当することを説明をせずに「消化管出血という重篤な有害事象が発生した」と書けば読者が誤解をすることは容易に想像できることです。マスメディアがこれをやったのでは、意図的なミスリードではないかと思われても仕方ないでしょう
こうした不作為は、報道では罪として問われないのでしょうか?


被験者保護を考えれば、同種のワクチンをつかう多施設にも伝えるべきでした
とか書いてますが、この記者は、朝日によって「共同施設」とされた医療機関からの抗議文を読んでいないのでしょうか?
記事に書かれた症例以前に、「消化管出血はワクチンとの関連性は極めて低い」という結論が出されているのですが?
もしその上で医科研が、(実際には共同研究ではない施設に)消化管出血の情報を流したなら、それは「風邪の患者が風邪薬を飲んだら咳が出た」というようなものであり、余計な混乱を招く(もしくは医科研の能力が問われる)行動でしかないでしょう
それとも、朝日はこの結論を覆すような情報を医科研が隠蔽していたという情報でもお持ちなのでしょうか?

私は実父と義父をともにがんで失いました~
なんか、こっからフォローもしようがないくらい小学生の作文になってるんですが…
個人的な感想文が「被験者保護する仕組み必要」という見出しをつけた記事の半分って、正気ですか?
正直言って、朝日新聞東京本社科学医療部門の能力に重大な疑念があると言わざるを得ません

がんって、30年前から日本人の死亡原因一位の疾患で、日本人の3割がこれで死ぬんですが?
自分はがん患者の遺族だから何を言っても許されるとでも言いたいのでしょうか?
というか、この大牟田記者は問題の記事を書いた記者ではないのですが(以下略
 

朝日新聞はこれからも患者や研究者などの多様な意見を報じていきます
そういうのなら、その「意見」とやらを無加工で本人の了承を得た上で掲載するべきです。取材を受けた人のセリフや患者会の声明を自分の都合のいいように切り貼りするな



とまあ記事の直接的な問題点をあげましたが、結論として、この記事はをお涙頂戴で問題
記事の問題点をすり替えようとしているとしか評し得ません

確実にわかってやってるのでしょうが、医療機関や患者会からの声明に対して、一つもまともに回答してません
医療機関からの「基本的な事実誤認」や「捏造疑惑」の指摘については触れられてすらいませんし、
患者会からの「誤解を招く報道をするな」という声明も以前の記事では削除されていたばかりでなく(http://firstpenguindoc.blogspot.com/2010/10/blog-post_3366.html)、今回の反論記事では「報道の趣旨ではない」の一言で切り捨ててます



これが、マスメディアのすることでしょうか?


朝日は医療機関と患者会からの信頼を完璧に失いました
そして、そのフォローをする気がないことが今回の記事ではっきりしました
この問題、恐らく、朝日が泣いてごめんなさいと言うまで尾を引くでしょう
殲滅戦は継続が決定しました
次戦は、中村教授の名誉毀損訴訟でしょうか?

2010年11月8日月曜日

違うところのいつもの光景

先週は医療ネタがあまりなかったのでどうしようかと思ったのですが、介護の方から気になるネタが挙がってきました


賛否両論の「お泊まりデイサービス」 厚労省の狙いは規制強化か
http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/61c4773a30f89c54b361396e045f0580/page/1/

 介護を受けている高齢者が日中を過ごすデイサービス(通所介護)。電動ベッドなどの福祉用具レンタルや訪問介護とともに、最も普及している介護保険サービスの一つだ。このデイサービス事業所内の静養室や居間を用いて夜間に高齢者を宿泊させる新サービスの創設をめぐり、賛否両論が渦巻いている。
 論争が勃発したのは8月下旬だ。8月23日の社会保障審議会介護保険部会で厚生労働省が配布した資料に「お泊まりデイサービスの創設」という文言が突如、登場。審議会出席者から反対論や慎重論が相次いだが、同30日付の2011年度予算の概算要求で、「家族介護者支援(レスパイトケア)の推進」として「100億円」が盛り込まれた。
 家族の介護疲れ解消や冠婚葬祭などの急用に対応するために、通い慣れたデイサービス事業所がお年寄りを一時的に預かるサービスに対する潜在的な需要は大きい――。厚労省はこうした考えに基づき、予算要求を掲げた。破格ともいえる100億円は、全国に8000ベッド分(2000カ所)を宿泊用として確保するための設備改修費用(スプリンクラーの設置など)として投じる。
 ところが、こうした方針に反対や懸念の声が続出した。


国試受かったばかりだというのに、どうもこの高齢者福祉制度は複雑怪奇で理解できませんが、どうやら利用者からのニーズが高いので、お手軽なデイサービス(日帰りサービス)で宿泊もできるようにしようという話のようです
…いや、ショートステイの敷居を下げればいいんじゃないの?と当然の突っ込みが沸いて出るわけですが、どうやらデイケアでいつもお世話になってる人のところで泊まれると言うことが肝のようです。
一見美談のようですが、結局は設備的にも人的にも「昼も夜も働け」と言ってるだけなわけで、介護士にも「名ばかり当直」が降りかかるのでしょうか?
まぁ、とりあえず専門化の方々の反対理由を抜粋しましょう


「介護保険内のサービスとして宿泊の単価が点数化された場合、多くの利用者は限度額を超えてしまい、宿泊どころか通所も制限されかねない。その結果、認知症高齢者の在宅生活を支えてきた拠点を潰す結果になりかねない」
 地域密着型のスタイルで訪問介護と通所介護、宿泊という三つのサービスを提供している「小規模多機能型居宅介護」の事業者からも反対論が続出。「サービス間の整合性が取れなかった場合、(職員配置や設備基準が相対的に厳しい)小規模多機能型の存立は困難になる」
「利用日数の制限や高い設備基準が設けられた場合には、制度に乗れない」
新サービス導入とともに小規模通所介護の報酬引き下げが行われた場合、打撃を被る可能性がある。



えー、専門というか、経営側の方々のおっしゃることを要約すると
「介護保険の総額上げずに新サービス導入は、既存サービスの価格切り下げにつながり、既存の介護システムに危険が及ぶ」
ってことの様です。医療界じゃ「いつものこと」ですが、まぁ、厚労省なので同じスキームを導入しようとして、いつも通り反対くらってるという日常の光景のようです

とりあえず、介護士の待遇改善とか、福祉を成長産業にするとかいう話とは逆行しそうな感じです

役人というのは自分のセクションの中で無理にどうにかしようとするから、全体システム無視して小手先の仕様変更すると全体がバグるということがわからないんでしょうか?


それにしても、こんなことに設備改修費用100億ってすごい予算の金額つきましたね
民主党が「今年は医療費アップしたぜ!」って叫んでる、医療費増額分がちょうど100億ですよw
まぁ、エコカー減税5837億円にくらべれば端金かも知れませんがw、この100億投入で儲かるのって、誰?土建屋?