ここにいたり、やっと望まれていた組織が立ち上がりました
被災者支援の連絡協議会、連休明けに始動- 代表に日医の原中会長
東日本大震災の被災地のニーズと医療・介護団体による支援をマッチングするため、日本医師会や日本歯科医師会などが参加する「被災者健康支援連絡協議会」が4月22日、政府の「被災者生活支援特別対策本部」の下に設置された。被災地の医療ニーズに応じた医療チームの中長期的な派遣や、被災者の健康確保などに取り組む。5月の連休明けには実質的な活動に入る見通し。
協議会のメンバーは、日医や日歯のほか、日本薬剤師会、日本看護協会、全国医学部長病院長会議、日本病院会、全日本病院協会など。各団体間で情報を共有し、協力調整して支援に取り組む。代表は、日医の原中勝征会長が務める。
協議会は、医療チームの中長期的な派遣のほか、避難所などでのニーズを把握し、感染症対策など被災者の健康確保に必要な取り組みを行う。対策本部は同日、協議会にこれらの取り組みを行うよう協力要請した。協議会には「連絡事務局」が置かれ、厚生労働省が関係省庁の協力を得て実質的な庶務を行う。
同日、記者会見した原中氏は、「夏に向けて、感染症の問題、被災者の健康上の問題をきちんと把握して、わたしたち専門家が力を合わせて対策を行っていく。被災者の方々の健康を守るために頑張りたい」と意気込みを語った。
会見に同席した嘉山孝正副代表(全国医学部長病院長会議相談役)は、週明けにも会合を開き、具体的な活動に向けて詳細を詰める方針を明らかにした。嘉山氏は、「効率的で持続可能なものにする」と述べた上で、「5月の連休明けには実質的な活動に入りたい」との考えを示した。
■協議会設置「省庁の壁を越えた」-民主・足立参院議員
同協議会について検討を進めてきた民主党の「被災者健康対策チーム」で取りまとめ役を務めた足立信也参院議員は同日、記者団に対し、「日本初の試み。省庁の壁が越えられたと思う」と語った。足立氏は協議会のメンバーに入っていないが、オブザーバーとしての参加要請があれば、積極的にかかわっていく考えだ。
足立氏によると、協議会は今回の震災に限らず、今後の災害発生時にも対応する。足立氏は、「災害があった時に即座に集まって、災害の程度に応じた(支援の)提供体制を協議していただく形になると思う」と述べた。
( 2011年04月22日 21:56 キャリアブレイン )
なぜこの立ち上げに6週間もかかったのかは疑問ですが、やっと基本体制にメドがたったことは素直に喜びたいと思います
とはいえ、これだけの組織が手を組むのは恐らく初めてではないかと思われ、船頭多くして…とならないかは不安があります。しばらくはまだまだtry&errorが続くかと思われます。
後は、官僚が官僚語と手続主義から脱却できるかが課題ですね…
今回の震災で色々やらかしてますが、前回紹介した被災者の医療費免除とか、原文を見ると平時ですらやりたくないっていうか、ワケわからん代物なのがよくわかります
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000015rt9-img/2r985200000163i5.pdf
まず前文からして
一部負担金等の支払いを受けることを、2に掲げる期間猶予することができるものとする。と書かれており、「被災者から医療費を取ってはならない」とか「国が支払う」ではないということがポイントですね
で、支払いを猶予される条件が、まず厚労省が認定した被災地であり、かつ以下の条件を満たすことが必要となります
① 住家の全半壊、全半焼又はこれに準ずる被災をした旨
② 主たる生計維持者が死亡し又は重篤な傷病を負った旨
③ 主たる生計維持者の行方が不明である旨
④ 主たる生計維持者が業務を廃止し、又は休止した旨
⑤ 主たる生計維持者が失職し、現在収入がない旨
⑥ 原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号)第15条第3項の規定
による、避難のための立退き又は屋内への退避に係る内閣総理大臣の指示の対象地域であるため避難又は退避を行っている旨
…こんな煩雑な業務を被災地でやらせるとかどういう神経してるのでしょうか?
っていうかどうやって病院が窓口で確認するんだ?
そして、ここまで認定した結果は、
当面、5月までの診療分、調剤分及び訪問看護分について、5月末日まで支払を猶予する取扱いとする。なんですよね…
じゃあ6月になったら病院が徴収に行くのか?となったところで最後の最後に
保険医療機関等が猶予した一部負担金等については、各保険者において減免・猶予等いただくよう保険局より依頼する予定である。で文書は終わります
…この文書、日本語として破綻してると思うの私だけでしょうか?
結局誰がいつ払うんだよ?
金がなければ回らないのは被災地の病院も同じだぞ?
とまあこんな感じなので厚労省とタイアップってのは…非常に不安はあります。厚労省の認可がなければ協議会はなにもできないと言うことだけはないようにしていただきたいです
しかし、患者移送や物資輸送ルートの確保には医療者と各省庁の連携は避けて通れない道なのは間違いありません。
実際、観光庁のおかげでよくわからんことになっているのもあるようです
Vol.136 連載 生命を奪う規制 第3回 政府が選んだ宿泊施設
●千葉県職員と困惑する医師
『宿泊施設における県域を越えた被災者の受入体制について』これは観光庁が3月25日に出した通知です。
この通知が原因で、医師と県職員との間で軋轢が生じました。県は、災害救助法を適用した受け入れは、旅館ホテル以外では不可能であるとの解釈したため、ペンションや民宿で宿泊に災害救助法を適用することを拒否したのです。
小松秀樹氏(亀田総合病院副院長)は、『旅館組合に入っていれば災害救助法が適用されるが、それ以外はダメ、つまりペンションや、民宿はダメだと言われ、 さらに災害救助法自体のお金の出処が、被災県でそこからな何の話もないので、千葉県は手を挙げない、と言われました。』と憤ります。
患者移送時に、小松氏が観光庁令はただのホテル業推進でしかないと騒がれていた記憶がありますが、これで腑に落ちた気がします。
あの知事ですから今さら呆れることはなにもないわけですが、職員の対応が速やかであると評価された都とは好対照ですね
まあ、 災害救助法自体のお金の出処が、被災県というのもおかしな話ですが
病院が患者を受け入れようにも、地方自治体の協力がなければどうにもなりません
確か自治体長の集会があったように記憶してますが、その辺の「協力」を協議会がどう取り付けるか、そのためのシステムを官僚が創れるかが今後の鍵だと思います
ところで、いつの間にやら計画停電は終わり、夏の対策が急務となってますが全国医学部長病院長会議がこんな声明を出しました
大学病院の節電「3%が限界」- 全国医学部長病院長会議
全国医学部長病院長会議(会長=黒岩義之・横浜市立大医学部長)は4月21日の定例記者会見で、今夏の電力不足への対応について、「使用電力3%の削減が、大学病院の医療の質を落とさないための限界だ」との認識を示した。
政府が示した今夏の電力需給対策では、契約電力500キロワット以上の大口需要家は、最大使用電力を昨夏比25%程度に抑制することを求めており、大学病院も対象となっている。
黒岩会長は、3月に計7日間の計画停電が実施された東京女子医大八千代医療センター(千葉県八千代市)を例に、手術や内視鏡検査、救急受け入れなどの制限のほか、MRIやCTなどの電源を何度も入れ直すことで機器の不具合が生じるといった影響があったことを説明。自家発電による対応では、限界があると強調した。
また、森山寛副会長(東京慈恵会医科大附属病院長)は、東京電力と東北電力管内の10大学で節電シミュレーションを行った結果、スタッフエリアの空調や照明の制限、電子カルテ端末の一部停止などで3%程度を削減できるとしたが、「3%以上カットすると、医療の質を落とさざるを得ない」と述べた。
同会議と国立大学医学部長会議、国立大学附属病院長会議、日本私立医科大学協会は同日、民主党の「電力需給問題対策プロジェクトチーム」に対し、大学病院を使用電力抑制の対象から除外するよう求める要望書を提出した。要望書では、「25%電力抑制は、外来または病棟を閉鎖しない限り達成困難」だと訴えている。
( 2011年04月21日 22:46 キャリアブレイン )
これ、事実上のストライキ宣言ですねぇ(笑
まあ、学習能力がない方が悪いんですが
実際問題、重要施設を計画停電から外すのと、重要施設を停電中自家発電でぶんまわすのと、どちらがコスト低いんでしょうね?
ちなみに、日赤は計画停電中は自家発電で血液製剤を守っていたそうな