2011年4月24日日曜日

東日本大震災 No.6(4/18~4/23)

テレビ報道を見ている限りでは大した進展が見られない被災地ですが、いつの間にやらすでに6週間を超えてしまいました

ここにいたり、やっと望まれていた組織が立ち上がりました

被災者支援の連絡協議会、連休明けに始動- 代表に日医の原中会長
  東日本大震災の被災地のニーズと医療・介護団体による支援をマッチングするため、日本医師会や日本歯科医師会などが参加する「被災者健康支援連絡協議会」が4月22日、政府の「被災者生活支援特別対策本部」の下に設置された。被災地の医療ニーズに応じた医療チームの中長期的な派遣や、被災者の健康確保などに取り組む。5月の連休明けには実質的な活動に入る見通し。
 協議会のメンバーは、日医や日歯のほか、日本薬剤師会、日本看護協会、全国医学部長病院長会議、日本病院会、全日本病院協会など。各団体間で情報を共有し、協力調整して支援に取り組む。代表は、日医の原中勝征会長が務める。
 協議会は、医療チームの中長期的な派遣のほか、避難所などでのニーズを把握し、感染症対策など被災者の健康確保に必要な取り組みを行う。対策本部は同日、協議会にこれらの取り組みを行うよう協力要請した。協議会には「連絡事務局」が置かれ、厚生労働省が関係省庁の協力を得て実質的な庶務を行う。
 同日、記者会見した原中氏は、「夏に向けて、感染症の問題、被災者の健康上の問題をきちんと把握して、わたしたち専門家が力を合わせて対策を行っていく。被災者の方々の健康を守るために頑張りたい」と意気込みを語った。
 会見に同席した嘉山孝正副代表(全国医学部長病院長会議相談役)は、週明けにも会合を開き、具体的な活動に向けて詳細を詰める方針を明らかにした。嘉山氏は、「効率的で持続可能なものにする」と述べた上で、「5月の連休明けには実質的な活動に入りたい」との考えを示した。
■協議会設置「省庁の壁を越えた」-民主・足立参院議員
 同協議会について検討を進めてきた民主党の「被災者健康対策チーム」で取りまとめ役を務めた足立信也参院議員は同日、記者団に対し、「日本初の試み。省庁の壁が越えられたと思う」と語った。足立氏は協議会のメンバーに入っていないが、オブザーバーとしての参加要請があれば、積極的にかかわっていく考えだ。
 足立氏によると、協議会は今回の震災に限らず、今後の災害発生時にも対応する。足立氏は、「災害があった時に即座に集まって、災害の程度に応じた(支援の)提供体制を協議していただく形になると思う」と述べた。
( 2011年04月22日 21:56 キャリアブレイン )

なぜこの立ち上げに6週間もかかったのかは疑問ですが、やっと基本体制にメドがたったことは素直に喜びたいと思います
とはいえ、これだけの組織が手を組むのは恐らく初めてではないかと思われ、船頭多くして…とならないかは不安があります。しばらくはまだまだtry&errorが続くかと思われます。
後は、官僚が官僚語と手続主義から脱却できるかが課題ですね…

今回の震災で色々やらかしてますが、前回紹介した被災者の医療費免除とか、原文を見ると平時ですらやりたくないっていうか、ワケわからん代物なのがよくわかります
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000015rt9-img/2r985200000163i5.pdf

まず前文からして
一部負担金等の支払いを受けることを、2に掲げる期間猶予することができるものとする。
と書かれており、「被災者から医療費を取ってはならない」とか「国が支払う」ではないということがポイントですね
で、支払いを猶予される条件が、まず厚労省が認定した被災地であり、かつ以下の条件を満たすことが必要となります

① 住家の全半壊、全半焼又はこれに準ずる被災をした旨
② 主たる生計維持者が死亡し又は重篤な傷病を負った旨
③ 主たる生計維持者の行方が不明である旨
④ 主たる生計維持者が業務を廃止し、又は休止した旨
⑤ 主たる生計維持者が失職し、現在収入がない旨
⑥ 原子力災害対策特別措置法(平成11年法律第156号)第15条第3項の規定
による、避難のための立退き又は屋内への退避に係る内閣総理大臣の指示の対象地域であるため避難又は退避を行っている旨

…こんな煩雑な業務を被災地でやらせるとかどういう神経してるのでしょうか?
っていうかどうやって病院が窓口で確認するんだ?

そして、ここまで認定した結果は、
当面、5月までの診療分、調剤分及び訪問看護分について、5月末日まで支払を猶予する取扱いとする。
なんですよね…
じゃあ6月になったら病院が徴収に行くのか?となったところで最後の最後に
保険医療機関等が猶予した一部負担金等については、各保険者において減免・猶予等いただくよう保険局より依頼する予定である。
で文書は終わります
…この文書、日本語として破綻してると思うの私だけでしょうか?
結局誰がいつ払うんだよ?
金がなければ回らないのは被災地の病院も同じだぞ? 


とまあこんな感じなので厚労省とタイアップってのは…非常に不安はあります。厚労省の認可がなければ協議会はなにもできないと言うことだけはないようにしていただきたいです

しかし、患者移送や物資輸送ルートの確保には医療者と各省庁の連携は避けて通れない道なのは間違いありません。
実際、観光庁のおかげでよくわからんことになっているのもあるようです


Vol.136 連載 生命を奪う規制 第3回 政府が選んだ宿泊施設
●千葉県職員と困惑する医師
『宿泊施設における県域を越えた被災者の受入体制について』これは観光庁が3月25日に出した通知です。
この通知が原因で、医師と県職員との間で軋轢が生じました。県は、災害救助法を適用した受け入れは、旅館ホテル以外では不可能であるとの解釈したため、ペンションや民宿で宿泊に災害救助法を適用することを拒否したのです。
小松秀樹氏(亀田総合病院副院長)は、『旅館組合に入っていれば災害救助法が適用されるが、それ以外はダメ、つまりペンションや、民宿はダメだと言われ、 さらに災害救助法自体のお金の出処が、被災県でそこからな何の話もないので、千葉県は手を挙げない、と言われました。』と憤ります。

患者移送時に、小松氏が観光庁令はただのホテル業推進でしかないと騒がれていた記憶がありますが、これで腑に落ちた気がします。
あの知事ですから今さら呆れることはなにもないわけですが、職員の対応が速やかであると評価された都とは好対照ですね
まあ、  災害救助法自体のお金の出処が、被災県というのもおかしな話ですが
 
病院が患者を受け入れようにも、地方自治体の協力がなければどうにもなりません
確か自治体長の集会があったように記憶してますが、その辺の「協力」を協議会がどう取り付けるか、そのためのシステムを官僚が創れるかが今後の鍵だと思います


ところで、いつの間にやら計画停電は終わり、夏の対策が急務となってますが全国医学部長病院長会議がこんな声明を出しました

大学病院の節電「3%が限界」- 全国医学部長病院長会議
 全国医学部長病院長会議(会長=黒岩義之・横浜市立大医学部長)は4月21日の定例記者会見で、今夏の電力不足への対応について、「使用電力3%の削減が、大学病院の医療の質を落とさないための限界だ」との認識を示した。
 政府が示した今夏の電力需給対策では、契約電力500キロワット以上の大口需要家は、最大使用電力を昨夏比25%程度に抑制することを求めており、大学病院も対象となっている。
 黒岩会長は、3月に計7日間の計画停電が実施された東京女子医大八千代医療センター(千葉県八千代市)を例に、手術や内視鏡検査、救急受け入れなどの制限のほか、MRIやCTなどの電源を何度も入れ直すことで機器の不具合が生じるといった影響があったことを説明。自家発電による対応では、限界があると強調した。
 また、森山寛副会長(東京慈恵会医科大附属病院長)は、東京電力と東北電力管内の10大学で節電シミュレーションを行った結果、スタッフエリアの空調や照明の制限、電子カルテ端末の一部停止などで3%程度を削減できるとしたが、「3%以上カットすると、医療の質を落とさざるを得ない」と述べた。
 同会議と国立大学医学部長会議、国立大学附属病院長会議、日本私立医科大学協会は同日、民主党の「電力需給問題対策プロジェクトチーム」に対し、大学病院を使用電力抑制の対象から除外するよう求める要望書を提出した。要望書では、「25%電力抑制は、外来または病棟を閉鎖しない限り達成困難」だと訴えている。
( 2011年04月21日 22:46 キャリアブレイン )

これ、事実上のストライキ宣言ですねぇ(笑
まあ、学習能力がない方が悪いんですが
実際問題、重要施設を計画停電から外すのと、重要施設を停電中自家発電でぶんまわすのと、どちらがコスト低いんでしょうね?

ちなみに、日赤は計画停電中は自家発電で血液製剤を守っていたそうな

2011年4月17日日曜日

東日本大震災 No.5(4/11~4/17)

気がつけばもう震災から5週間経ち、桜の花も散る頃となりました
しかし、未だに東北~東関東では大きな余震が続いております
未だに遠隔地や避難所にいる方も多く、またインフラの崩壊により帰宅しても大きな問題があることと思います
私の勤める病院からも支援チームが交替で派遣されていますが、いつまで続くのか先が見えない状態です
そんな状態で、ベースとなる仮設診療所の設立がやっと決まりました

被災地に仮設診療所設置 50カ所、1次補正で14億円 厚労省、医療復興目指す
2011年4月14日 提供:共同通信社
厚生労働省は13日、東日本大震災で特に甚大な被害が出た岩手、宮城、福島の3県に仮設の診療所や歯科診療所など約50カ所を設置することを決めた。津波で診療所を失った開業医に優先的に担当してもらうが、ボランティアの医師もサポートする。2011年度第1次補正予算案に約14億円を盛り込む。
厚労省は、診療所や医師が被災し、初期医療が空白となっている地域に仮設診療所を設置することにより、地域医療復興の足掛かりとしたい考えで、さらに数を増やしていく方針。
仮設診療所では、避難所を出て仮設住宅などに移った被災者に対し、風邪の治療から、高血圧症など慢性期の治療、採血などの検査まで行い、震災前に地域の診療所が担っていた、初期医療の提供を目指す。阪神大震災では、3年以上設置されたケースもあり、今回も長期にわたり、地域医療を支える役割が求められそうだ。
岩手県などによると震災で、大船渡市や宮古市など太平洋沿岸部で少なくとも医師2人が死亡し、4人が行方不明。27の医療機関が休止に追い込まれ、再開の見通しが立っていない。福島、宮城両県では、診療所の状況について、被害が大きすぎて把握していないとしている。
被災地にはボランティアの医師や看護師が避難所を回って医療活動を行っているが、被災地が広範囲にわたることから、仮設診療所の設置を求める声が上がっていた。

補正予算案が通らないとできないというのが鈍亀ですが…
急性期ではなく、あくまで復興期の支援と考えた方がいいのでしょうかね?

急性期の問題といえば、被災地でだいぶ想定の斜め上のことが起きているようです

 
東日本大震災:保険証紛失者、「全額負担」の苦情殺到 病院「免除の事務作業困難」 

http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110415dde041040030000c.html
厚生労働省は今回の震災で、地震や津波で自宅が全半壊した人、福島第1原子力発電所の事故で避難を余儀なくされた人などを対象に、窓口負担の猶予を認めるよう都道府県などに通知した。最終的には保険者(健康保険組合など)に全額負担を求め、被災者の支払いは免除する方針だ。
これに対し、医療機関からは反論の声が上がる。いわき市にある公立病院の事務担当者は「免除の措置は知っているが、震災の混乱で事務処理能力を完全にオーバーしている」と語気を強める。
保険証をなくした被災者が窓口負担の猶予を求める時は、自身の入っている保険の種類などを自己申告する。医療機関側は、それに基づいて保険者に問い合わせ、裏付けを取る必要がある。
だが、この担当者によると、窓口には避難生活で体調を崩した人などで常に長い行列ができており、確認作業に時間を割く余裕はないという。「払える人にはいったん払ってもらうしかない」のが現状だと説明する。
厚労省医療課は「被災者自身は免除される立場にあることを主張してほしい」と話している。【渡辺暢】


えーと、なんか医療機関と健康保険組合に、人災(政災?)ともいえる震災二次被害が発生しているようですが…
この制度、私も知ってはいたんですが、てっきり生活保護扱いで国が無条件で支払うのもだと勝手に思い込んでいました
まさか、事務手続を病院に、金銭負担を保険組合に全部丸投げしてるとは想定してませんでした
っていうか、こんなことで通信トラフィック占有させるな

さて、ということは、国のつくる仮設診療所とやらもこれと同じやりとりをすることになるのでしょうか?
国営無料診療所をつくる気はなさそうですね
この辺も次の震災に備えて叩いておく必要がありそうです

また、こうした状況の中で、数十年以内に日本のどこかで同等の震災が来るであろうことを見越した、「次の震災の対策」もはじまりつつあります

日本小児科学会が、病院機能のデータベース作成に着手しました

■■ 日本全体の小児医療のリソース管理のご協力のお願い
http://www.jpeds.or.jp/tohoku-j.html
今回の震災に伴い、今後は被災されたご家族の移動などによってこどもの疎開が増加し、被災されていない地域での患者増が懸念されます。
また、被災地においては壊滅的な被害を受けた病院も多く、医療機関の分布も再構築されると思います。
したがって、今回の震災で被災された地域の病院小児科の被災状況や患者受入状況などを知ると共に、被災されていない地域の病院小児科の支援可能な状況を提供することが必要な状態になっています。さらに、現況を理解した上で日本全体の小児医療のリソース管理を行うことが求められます。
この様な目的を支援するために、名古屋大学医学部附属病院病院長補佐・メディカルITセンター長 吉田 茂先生が「PedPower」を作成されました。これを小児科学会HPにリンクします。
各病院におきましては、ご登録をよろしくお願い申し上げます。


被災時の援助をするにも、どこにどんな病院・患者があるのかわからないと手の打ちようがありません
また、これは有事のみならず、平時の医療機関の病院機能集約化にも役立つ情報であり、是非とも進めていただきたいものです
本来なら、政治的役割からも基礎情報を所有してることからも厚労省が行うべきことだと思いますが、官僚機構はシステムの外側のことが起きるとむしろ邪魔にしかなりかねないことが判明してきましたので、これは是非とも各学会、各大学が中心となってとりまとめていただきたいと思います


一方で、想定の斜め上のことを言い出す人たちもいます
まぁ、空想科学読本的な感じで見ていきましょう


介護、看護資格者の「予備役制度」創設を- 災害時にらみNPOが要望
NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」(樋口恵子理事長)は4月11日、介護福祉士やホームヘルパー、看護師などの有資格者で、普段は医療・介護現場で働いていない人を、災害時に非常呼集できる「予備役制度」の創設を求める要望書を細川律夫厚生労働相あてに提出した。 
要望書の中で同会は、「人間の生命を支えるライフラインの担い手」である介護職員が災害時に確保されないと、高齢者や障害者など多くの生命が失われると指摘。普段は資格を生かして働いていない介護職や看護師、保健師の有資格者が、災害時に非常呼集に応じて救援に駆け付ける予備役制度の創設を求めている。介護職予備役は年数回の研修を受け、災害時には各職能団体が招集するイメージ
( 2011年04月11日 20:32 キャリアブレイン ) 


面白い発想であることは認めますが、何故彼らが離職するのかに思い至ればこんな発想は出てこないと思いますが… とりあえず、「予備役」ってなにか知ってますか?
どう考えても、平時の離職防止・復職支援が先ですし、それできる社会システムなら予備役制度なんて不要でしょう
っていうか、このクソ忙しいときにそんな緊急性の欠片も具体性もないイメージで業務の邪魔をするとかどれだけ脳内お花畑なのかと(ry 


さて、ある意味もっと度肝をぬく話が政治家の方から飛んできました

病院船で災害時の救急救命を- 超党派議連が会合
  超党派の国会議員でつくる「病院船建造推進議員連盟」(会長=衛藤征士郎衆院副議長)は4月14日に会合を開き、厚生労働省や防衛庁など関係省庁から、東日本大震災の被災地の状況や現場での医療ニーズなどについてヒアリングした。衛藤会長は病院船建造に向けて、今年度中の調査費の予算計上を政府に求めていく考え。
同議連は東日本大震災の発生を受け、12日に発足した。
衛藤会長によると、病院船では災害発生時から72時間以内の救命医療を行う。災害発生後、病院船は被災地の沿岸に停泊。ヘリコプターやホバークラフトなどで患者を搬送し、船内で治療する。被災地沿岸で早期治療を行うことで、より多くの患者の救命につなげるのが狙い。
また、平時には離島の医療支援や国際災害における支援を行うという。
衛藤会長は会合後、記者団に対し、病院船について「被災地の医療者のマンパワーを補完する規模でなければならない」として、500床ぐらいあるものを造りたいと意欲を示した。
次回会合では、在日米国大使館などから病院船の運用状況についてヒアリングする予定。
( 2011年04月14日 18:47 キャリアブレイン )


個人的には病院船自隊は最低でも太平洋と日本海に1隻ずつ必要だろうと思います
ですが、私が考える病院船は、言ってみればドクターヘリ空母に転用可能な軍艦です
今回の震災でもヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」が活躍していることから、同型鑑もしくはダウングレードしたものを非武装で海自か海保あたりに所有してもらい、大災害時には派遣するというのがいいのではないかと思います
議連が言うような、控えめに言っても意欲的すぎる機動大病院ではありません
アメリカにマーシー級(病床1000床、手術室12室、ヘリポート、CT付き)があるじゃないかとかいう突っ込みもあるでしょうが、 あれは有事のみの使用でいってみれば出張病院です。出動の時だけスタッフが集められるので出動までは5日を見込んであり、外洋での戦闘もしくは自然災害亜急性期の医療支援用といえ、議連の考えているものとは運用目的がまったく異なります。
議連の自室に潜水空母の模型とかないことを祈ります。これは「仕分け」OKです。むしろ推奨
つーか、この人は病院船にのる医療スタッフをどうするつもりなのか?


まぁみんなしてパニックになってるんだとは思いたいですが、ものには限度というものがあります
理系の人間なら誰でも感覚的に理解していることだと思いますが、ホリエモンのセリフを抜粋して本日のシメとさせていただきます


99.9%のジレンマ
http://ameblo.jp/takapon-jp/entry2-10845889481.html 
リスクをゼロにはできないんです。宇宙開発なんかやってるとよーく分かります。出来る事は99.9%の小数点以下の9をどこまで増やせるかだけです。
で、ここはコストと人々の気持ちのトレードオフになります。例えば1000年に一度の大災害に備えるか、あるいは1万年に一度の大災害に備えるか?等。一般的に小数点以下の9を増やすと指数関数的にコストが増えていきます。リスクはやらない以外ではゼロにはなりませんから、やると決めた以上どこかでトレードオフをすることになります。

2011年4月10日日曜日

東日本大震災 No.4(4/3~4/10)

とうとう震災から4週間が経ちました
支援が安定してきたためか、被災当時の情報が整理されてきていますが、今回はなかでも重大なシステムエラーと思われる2つの事例を紹介します

まずは、ドクターヘリパイロットのブログより紹介させていただきます
一般にはほとんど知られていない、ドクターヘリなど公的機関のヘリの多くが民間の下請けという実態を赤裸々に暴露して下さっています

大災害時のヘリコプターの燃料
http://blogs.yahoo.co.jp/bell214b1989/64236021.html
そもそも民間機が自衛隊の飛行場に着陸すること自体、異例中の異例ですが、さらに、着陸後すぐに自衛隊の給油車の方が、何リッター補給しますかと聞いていただいたのにはたまげました。多分その方はドクターヘリが都道府県の運航するヘリだと思い込んでおられたことでしょう。民間登録の防災 消防 警察のヘリには普通に給油して回っていたのですから。まさか非常時震災に際して民間のヘリに何の事前協議もなく給油するようなことを決めていたのでしょうか。支払いのこと課税のことなど多分何も考えておられなかったことででしょう。
http://blogs.yahoo.co.jp/bell214b1989/64267483.html
大阪の橋元知事は大阪ドクターヘリの出動回数があまりにも少ないので奈良県や和歌山県さらには京都府を越えて滋賀県までその飛行エリアを広げ、他県からは1件30万もの費用を徴収しながら運航会社には1円も支払っていません。また関西広域連合へ入らない奈良県にはその負担を増やすようなことを発言しています。そのときの弁 『契約で何回飛んでもでも支払いは同じなので他県へもどんどん飛んでもらいます。』 これってそもそもの契約エリアを定めなかった 弱い業者が悪いのか、強い役所が詐欺まがいの事を強要しているのでしょうか。滋賀や奈良、和歌山へ飛ぶ燃料代は誰が支払うのが正しいのでしょうか、大阪ではほとんど飛ばなくて奈良や滋賀へばかり飛んでいたら誰でもそう思うでしょう。

今回の震災では民間、公的機関、自衛隊、米軍入り乱れての空挺作戦が繰り広げられていたわけですが、公的機関として出動しても民間登録のヘリは本来は完全にボランティア出動だったと言うことなのでしょうか?
改めて言うまでもありませんが、有事ではドクターヘリに給油した自衛隊員の方が常識で、その後処理をするのが政治家の仕事です

平時でさえドクターヘリって初期契約の時点で見積もり甘くてボロ雑巾になるまで使い倒される方向でもともと赤字部門だったりしますが
普段からこんなんでドクターヘリはいつまでもやってける…わけないですよね
せめて有事に際しては、国が全て借り上げるくらいのことはやるべきでしょう


次は、ニュースにも取り上げられた透析患者大移送の舞台裏です
これは気をつけて読む必要があります


梅村聡の目 ② 政・官の仕事は、民を支えることにある。
http://lohasmedical.jp/news/2011/04/04102919.php 
地震発生3日後の14日、知り合いの医師から、福島県いわき市に1200人ぐらい透析患者さんがいるので搬送したいという電話が来ました。東京の大学病院か千葉県の亀田総合病院などに移したいというのです。
しかし、厚労三役の1人に連絡したところ、「他にも色々な患者がいる」と言われました。まずは被災地の患者さん全体の搬送体制を作って、その中で考えようということでした。
私は一つでもいいから先に実績を作れば、皆がノウハウを学んで、自然にルートはできると考えていました。しかし彼は、先に枠組みだ、と言います。3回ぐらい連絡しましたけど、同じ答えばかり。
そうこうするうちに16日になり、いわき市が困っていると伝わって来ました。ボランティアで患者を運ぶつもりのバス会社が「県の許可がほしい」と言い、県は「厚労省の許可がほしい」と言っているけれど、許可が出ないというのです。別の三役に伝えたところ、厚労省に調べさせるから連絡先を教えてと言われました。2時間ぐらいして厚労省から「県の担当者と電話がつながらない」と返事が来ました。
タイムリミットだと思って、「この話は民間の話にしてもいいですか? 本当に県や厚労省の許可がなかったらできない話ですか?」と啖呵を切ったところ、厚労省も「そこまで言うんだったら動かして下さい」と折れました。
ようやく17日にバスが動いて東京や千葉に約740人の患者さんが移動でき、無事に透析治療を受けることができました。

Vol.103 ネットワークによる救援活動
http://medg.jp/mt/2011/04/vol103.html
3月15日、いわき市の透析患者1100名の搬送について、帝京大学の堀江重郎教授から相談を受け、民間バスでの搬送を提案した。「CIVIC FORCE」(大西健丞代表)の小沢隆生氏や旅行会社クラブ・ツーリズムのスーパー女性添乗員(実名の記載を断られた)がバス集めに奔走した。バス会社の担当者に断られてもひるまず、あらゆる伝手を使って社長に到達し、直談判したという。社長の立場では、社会的に要請を拒めないということを見越しての作戦だった。ところが、3月16日に福島県がバスを用意して搬送することになり、民の活動は一旦中断。その後も二転三転、何らかの理由で、県主導の搬送が止められた。当初、厚労省が止めたという情報が流れたが、真相は確認できなかった。
結局、民主導で、3月17日、7百数十名の透析患者を東京、新潟、千葉県鴨川に搬送した。当時、常磐道下りは緊急車両しか通れなかったが、堀江教授が、警察内部から直接情報を得て、県や国を通さず、所轄警察署で許可を得た。搬送費用は協和発酵キリン、中外製薬の寄付で賄った。


この2つの記事は同じ事象を記していると考えていいでしょう
しかし、初動の時系列や福島県の動きにはどうにも無視しがたい齟齬が見られます
また、梅村氏(民主党議員)が話を誇大化していないのなら、梅村氏が厚労相を押し切ったことになりますが、これは疑問が残ります
何故なら、14日に厚労省副大臣が以下の会見をされているからです

 大塚耕平厚生労働副大臣は3月14日の記者会見の席上、(略)
また、有事の際にどの医療機関に移送するかの互いの取り決めについても、 
「今回の話は国家全体の話であり、 『自家発電が立ち上がらないときは国が何とかしてください』という姿勢では困る。 自らエマージェンシープランを組んでもらわないといけない」
として、個々の医療機関が、高い意識の下で行うべきだと訴えた

というわけで、厚労省が患者の移送を邪魔するはずがないんですよね?
全員が本当のことを言っているとするならば、副大臣の記者会見の内容を、すぐ下の三役も同じ党員の梅村氏も把握していないと言うことになりますが?
霞ヶ関の中でこの体たらくでは、民主党および厚労省の情報ネットワークに重大な問題が存在することになります
中央の情報網については、意外にもウォールストリートジャーナルから突き上げが入りました



菅首相の官僚外しと原発危機対策
2011年 4月 10日 14:02 JST
http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_219448
 災害基本法に基づいて設置された災害対策本部があるにもかかわらず、菅首相は、同原発の事業者である東京電力(東電)への対応に新たな緊急対策機関を併設したのだ。
 菅首相が、おおかた反故(ほご)にしてしまった原発緊急時計画の策定にかつて一官僚としてかかわった与党民主党の福島伸享衆議院議員は、「マニュアルがあるにもかかわらず、マニュアル通りに動かず、アドホック的に自分たちで命令系統を作り時間を浪費している。実際にマニュアル通りに対応して事態がもっと軽症で終わっていたかどうかは分からないけれど、少なくとも対応が遅れた」と語る。
 福島氏は、「今や経済産業大臣も東電の本社に行っている。言ってみれば、消防庁長官が火事の現場にいっているようなもの」と語る。大将は本丸にいるべきで、現地に判断をさせる部分、大臣が判断する部分、総理大臣が判断する部分はマニュアルであらかじめ分けてあったのだが、「どこで誰が判断するかということが一番混乱している」と指揮系統の混乱を指摘した。
 地震後数日以内に、菅首相は独自の計画を練り上げていた。3月15日午前5時30分に東電本店に乗り込んだ首相は、東電本社内に統合対策本部を設置 することを経営陣に伝えた。この新しい対策本部には、菅首相の補佐官らを配置することとし、東電から直に情報を取って、その場で命令を出せるようにした。
 こうした臨機応変の措置は、各国が「責任の明確な割当」を伴う「指揮統制体制」を事前に設けるよう定めている国際原子力機関(IAEA)のガイドラインに反しているとみられる。
 首相側近によると、首相は22日の会合に原子力安全委員長ともう一人の委員を呼び出し、官僚の縄張り争いについて不満を表明することで、データ公表に直接介入したという。
 元官僚で衆議院議員の前出・福島氏は、皆が手順に従っていたなら、こうした情報は「即時公表」されていたはずという。一方、原子力安全委員会の広報官によると、データ公表の遅れは、重要データの不足と委員らの多忙な日程によるものだったと説明した。

さて、民主党内の内ゲバもあるようですのである程度は差し引いて読むにしても、私はこれまでの3回で、毎度毎度、各所の政治家と官僚の動きの遅さおよび事前のルール作りの不備について指摘してきましたが、

犯人は首相か?!

原発以外の指揮系統についても混乱の原因がどこにあるのか、今後是非とも明らかにしてもらいたいものです
っていうか、東電の社長だけじゃなくて首相も厚労省大臣もまったく姿が見えないのですが、どういうことなのでしょうか?
自分の仕事をしていないとか、表方と裏方の区別がついてないとかいうのは論外です 
これは、メディアがマスコミとなるかマスゴミのままでいるかの分水嶺となるでしょう





ところで、小児神経学会がなんかHPに載せていることに医師専門サイトで気づきました
私がまったく気づかなかったくらいなんだから、ほとんど知られていないんでしょうね…
まったくアピールになってないんですが…せめて報道と人権委員会にはこの文書を送りつけたんでしょうか?


 【緊急アピール】子どもに被害映像を見せない配慮を!
―子どもの心を守るために、マスメディアの方にお願いしたいこと―
http://child-neuro-jp.org/visitor/iken2/20110325.html

あと、厚労省がなんかガイドラインを前倒しで発表しました
…いくら試作版でも、災害時に329ページも読んでられないと思うのですが?
まあ、どのみち私は使うことないんで個人的にはどうでもいいのですが、完成版は1/10ぐらいにスケールダウンを目標にした方がいいと思いますよ?


高齢者災害時医療ガイドライン
http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/member/kaikai/koreisha-saigai-guideline-ikkatsu.pdf

2011年4月3日日曜日

東日本大震災 No.3(3/27~4/2)

早いもので震災からもう3週間が経過しました
入ってくる情報も、新規のものと言うよりは分析よりになってきてますが、支援と復興が広がる一方で、そこから取り残される人たちもやはり存在します


東日本大震災:避難所以外の被災者に救援物資届かず
 東日本大震災の被災地では、避難所には救援物資が届くようになってきたが、自宅など避難所以外で生活を続ける人に物資が行き渡らないケースが相次いでいる。避難所で食料をもらおうとして断られた例もあり、住民からは「支援の輪の中に入れてほしい」と悲鳴が上がっている。【金子淳、福島祥、樋岡徹也、福永方人】
 ガソリンスタンドや店舗が営業できなくなった岩手県大槌町。川沿いの集落に住む建築業、上野松二さん(49)は、自宅にあった米と梅干しで食いつなぎ、20日に隣の釜石市に買い出しに行ってようやく保存食を仕入れた。
 妻と2人で暮らす家に、津波で家を失った兄の家族3人も身を寄せ、食料は3日分ほどしかない。ガソリンも残りわずか。仕事がないため収入も途絶え、「避難所だけでなく、自宅に避難している被災者にも物資を届けてほしい」と訴える。
 住民が避難した高台の施設などがそのまま避難所になるケースもあり、被災者は広範囲に点在。自治体も被災して十分に機能しておらず、避難者の動向を把握し切れていない。
 このため自衛隊は、市町村が把握しにくい被災者の自宅や避難者の集まる施設などを訪問し、何が不足しているかなどの情報を集めて県に伝える取り組みを始めた。既に数百カ所の情報を把握しているという。自衛隊が物資を届ける所も多いが、防衛省幹部は「大型車両が入れない地域もあり、ヘリで対応するが、輸送能力は限られている」と話す。
 自宅で暮らし、避難所で食料の配給を受ける被災者も苦しい状況に置かれている。
 釜石市平田地区の県営アパートに住む主婦(43)は、近くの避難所でおにぎりなどをもらってきたが、電気が復旧すると、「明日から無しですよ」と通告された。「炊飯器が使えるだろう」という理由だった。主婦は「家があるだけましだけど、そんなことを言われても。食べる物がなくてアパートを出た高齢者もいる。この状態がいつまで続くのか」と不安を漏らす。
 全国から届いた物資は県から市町村を通じて避難所に届く。岩手県は「モノが足りないわけではない。市町村のニーズに合わせて配っている」。釜石市は「避難所に常駐する職員やリーダーには、周辺住民にも支援物資を配るよう指示している」と話すが、指示が徹底されているかは把握できていない。
 トラブルも起きている。釜石市内の小学校で避難生活を送る男性(62)によると、避難所に支援物資をもらいに来た地元の人が「家が残っているからダメ」と断られ、もめ事になった。男性は「困った時だからこそ、助け合わなくてはいけないのに」と憤った。
 NGO「難民を助ける会」の堀越芳乃シニアプログラムコーディネーターは「自宅にいる高齢者らは物資の配給が滞ると、危険な状況になりかねない。物資輸送はNGOやNPOに委託し、自治体職員は情報収集に専念するなど、海外の災害で実施されているような役割分担の工夫が必要だ」と指摘している。
毎日新聞 2011年3月27日 19時31分(最終更新 3月27日 19時38分)


これは被災当初から伝聞情報として流れていましたが、状況が落ち着きつつある今だからこそ表面化してきたのでしょうか?
貧すれば鈍すると言ってしまえばそれまでかも知れませんが、そうさせないためにこそ、人為や判断を要しない半自動的なシステムが必要なはずです
今後の高齢化社会では、避難所まで行けない施設入居者や在宅介護や大量に発生することは容易に予想されます
そういうところをどうフォローするかは、行政にしかできない仕事ではないでしょうか? 

現場の混乱はこれだけでは済みません
現地のサポートに入った医師たちにも混乱は広がっています


2011. 3. 28
現地の受け入れ体制の混乱で日医の災害医療チーム、派遣を一時ストップ指揮系統を再構築し、4月以降再開へ
野村和博=日経メディカル
 日本医師会が東日本大震災の被災地に派遣している災害医療チーム(JMAT)について、派遣および参加受け付けを一時休止したことが27日分かった。28日の時点で受け付けを休止しているのは宮城県、岩手県および茨城県への派遣。
 日医は「JMAT派遣体制の再構築について」という文書を、各都道府県医師会に27日に発出した。それによると、被災地にJMAT以外に医療チームが相当数入っており、現地医師会による状況把握が困難になりつつあることから、JMATへの参加受付を一時休止し、改めて状況を把握して派遣依頼する、としている。「多数の応募は来ているが、支援の医師たちをどう配分すればいいか、現地で混乱が生じている」(日医広報部)という状態だ。
 宮城県医師会の広報担当者は、「行政や日赤、独自のボランティアの医師などが多数来てくれたおかげで、医療者の数はかなり充実してきている。一方で県医師会が医療面の支援全体の統制を取るのが難しくなっており、避難所などで医療班がバッティングするといった事態も生じつつある。そのため、派遣の一時休止を日医にお願いした」と語った。
 ただ、休止は一時的なもので、現地での指揮系統が整って受け入れ体制ができ次第、日医は4月以降にも派遣を再開する方針だ。宮城県医師会の広報担当者も、「医療ニーズとしては慢性疾患の管理など、長期にわたる診療が必要になりつつある。各地からの医療者派遣には本当に感謝しており、切れ目のない医療を提供できるような支援を今後もお願いしたい」と語っている。
 JMATは25日15時時点で、のべ129チームが活動し、106チームが準備中。応募数については「具体的な数は把握しきれていないが、予想を上回る数が来ている」(日医広報部)。

まさに「船頭多くして船山に上る」の典型と言える状態です
これも、窓口が一本化されてないことから生まれた混乱です
被災直後ならともかく、2週間以上たってこれというのは流石にフォローできないです
とにかく官僚は法律の想定範囲外のことは鈍亀になるのはこの3週間でよくわかりましたので、救急医学会当たりを中心に災害時の統一窓口を医師の方でつくっておく必要があるかも知れません

また、人と病院だけではどうにもならない問題もあります

東日本大震災(被災地の現場から)
「2週間で大学機能はほぼ正常化、次なる備え開始」
山下英俊・山形大学医学部長、震災2週間後の現状を語る
2011年3月30日 橋本佳子(m3.com編集長)
 震災の翌3月14日の週は、手術は緊急の症例に限定していた。3月21日の週の後半になり、がんをはじめ、延期していた手術を再開。それでも山下氏が「ほぼ通常の病院機能」と断わるのは、震災前に行っていた医療は可能になったものの、まだ医療材料の供給が完全ではないこと、さらにはこれまでも東北大学病院から重症患者の受け入れを行ってきたが、今後予想される宮城県からの患者に備える「余力」を確保しておく必要があると考えているからだ。 
ガソリン不足は、職員の通勤の足を直撃した。大学病院近くの公共の宿を職員用に借りたほか、タクシー券を配り、相乗りして通勤してもらった。 



今回ダメージは比較的少なかった山形大でさえ「ほぼ」正常化に2週間かかったというのは貴重なデータです
交通インフラと補給網の重要さがよくわかります

さらにインフラと言えば、ちょっと意外な情報が入ってきました

2011. 3. 27
数十カ所の医療機関は特例的に計画停電の対象外
  停電を免れているのは、主に3次救急などを担う病院と推定されるが、今のところ対象外の医療機関は公表されていない。対象外とする基準について鎌倉氏は、「関係省庁などに教えていただきながら決定している」と説明した。
救急を担うような病院は自家発電装置を備えてはいるが、電力供給能力は自家発電装置の規模や性能によってまちまちで、停電中に消費電力の大きいCT検査やMRI検査、X線検査などができなくなる施設も少なくない。停電で必要な検査ができず、急性疾患を発症した患者への対応に苦慮する医療機関も出てきており、東京電力には停電対象外となっている医療機関名の公表が求められる。


これは少々意外でしたね
確か、計画停電初期には特定の施設だけを外すのは技術的に無理だと言っていたような気がするのですが?
計画停電は各所で不満がよく聞かれますが、外野から見てる分には、国が強制力を発揮しない以上、電力会社にできる範囲ではそこまでの悪手には見えません
もし国家的に計画停電対象外の病院を選定しているのなら、責任を持って国がそう司令するべきです

また、当然ながらその病院に患者が搬送されるようになってなければなりません
病院と救急では把握されてて裏輪番とかちゃんと組まれているのならいいのですが、一体どの様に選定され、どんな責任を求められるのかは今後のためにちゃんと整理されている必要があると思います


さて、透析患者の移住作戦もそろそろ落ち着いたと思いますが、実際どれだけの透析患者が移動したのかは完全な統計は取られていないようですが推計が出ました



被災地の透析患者4人に1人が県外か- 透析医会が推計
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/33316.html

1800~3000人というのは多いととるか少ないととるかは微妙なところですが、設備と物流の回復が思ったより早かったということでしょうか?
受け入れ施設の方は意外と余裕があったようです


約1万8000人の透析患者を受け入れ可能に-日本透析医会が被災地を支援
2011年3月27日 12:18
透析医会はあの被災状況から考えれば充分にスピーディーな対応だったと思います。
国による患者と医療機関のマッチングや移送が後手後手だったことを考えると、学会単位で有事の患者受け入れ体制を整備しておくべきかも知れません

また、患者移送等については患者情報の紛失などの問題もありました


Vol.95 災害に強い医療情報システムの構築を
医療ガバナンス学会 (2011年3月30日 06:00)
http://medg.jp/mt/2011/03/vol95.html 

個人情報保護やセキュリティの関係から悩ましいところではありますが、厚労省主導による電子カルテのクラウド化もしくは国家的なカルテ情報のバックアップは超長期的な作戦として検討の価値は充分にあると思います


今回の震災では、当然ながら医療者も亡くなっており、その補充戦力は重要です
しかし、既に影響も出てきています



県立医大合格者1人が辞退 原発事故の影響
2011年03月30日
県立医大は29日、医学部の合格者1人が福島第一原発の事故を理由に新年度からの入学を辞退したことを明らかにした。同大によると、入学手続きが震災をまたいだため、手続きの済んでいない合格者に対し入学の意思を確認した。その際、県外出身者の1人が25日に「原発の事故が心配なので入学を辞退したい」と話したという。この他に10人が辞退したが、いずれも他大学に合格したことによる辞退だったとしている。
2011年度の医学部の定員は110人。99人の入学手続きが済んでいるといい、同大は11人の追加の合格者を出して110人の入学者を確保するとしている。


なかなか、先はまだ長そうです