そろそろ地域枠の卒業者が出てくるはずですが、まだ数が少なかった時代のようでマッチング参加者自体は微減しています
また、県別に見ると被災した宮城、福島はもとより、東北の被災県よりも首都圏が激減しています
東京の40人減はまだしも、埼玉の20人減はクリティカルではないかと思うのですが、これも震災の影響でしょうか?
他の大都市圏でも減少が見られていますが、こちらは定員が減らされたせいもありそうです
軒並み上昇しているのは、日本中央部の山岳部と、九州ですね
大地震が少ない地域に固まっているのは、やはり地震のせいかもしれません
例年なら大都市に留まるメンバーが実家に帰ったのでしょうか?
http://www.jrmp.jp/koho/2011/2011kekka_koho.pdf
一方で、大学と地方で分けると、大学の減少は昨年以上です
研修医マッチング、進む大学病院離れ- 今年度の内定結果公表
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/35842.html
医学生らの来年度からの臨床研修先を内定する今年度の研修医マッチング結果によると、大学病院に内定した人が占める割合は47.1%(前年度比0.8ポイント減)で、マッチングを開始した2003年度以降、最も低かった昨年度を下回り、過去最低を更新した。内定結果は、医師臨床研修マッチング協議会が10月27日に公表した。
今年度のマッチングに登録した医学生ら8225人のうち、内定したのは7951人で、内定率は96.7%(0.7%ポイント増)。マッチングに参加した大学病院は115施設(1施設増)、基幹型臨床研修病院は906施設(9施設減)だが、内定者は大学病院が3746人(82人減)、基幹型臨床研修病院が4205人(35人増)だった。
内定者数を都道府県別に見ると、「都市部」の6都府県では、前年度から1人増えた福岡の439人を除き、東京1369人(40人減)、神奈川577人(2人減)、愛知460人(29人減)、京都244人(21人減)、大阪612人(12人減)と軒並み減少。都市部以外の内定者が全体に占める割合は53.5%(1.1ポイント増)で、前年度に引き続き過去最高を更新した。
内定者が前年度より増えたのは21道県で、増加数が最も多かったのは宮崎。前年度の30人から倍増の61人が内定した。厚生労働省の担当者は「病院のプログラムが評価を受けたのではないか」としている。
研修医マッチングは、次年度から臨床研修を受ける医学生らと、研修病院のそれぞれの希望を事前に登録し、コンピューターで組み合わせるもの。双方の希望が一致すると内定先が決まる。今年度は9月15日-10月13日、希望の登録を受け付けた。今年度の研修医マッチングに参加した大学病院・基幹型臨床研修病院は1021施設だったが、来年度に臨床研修を実施するのは1026施設あり、研修医マッチングによらない方法で研修医を採用する病院もある。
■被災3県は軒並み内定者減
宮城は、来年度の臨床研修の募集定員を前年度比19人増の173人に設定し、研修医マッチングでは170人分の内定枠を設けていた。しかし、内定したのは98人で、前年度比12人の減。岩手と福島の内定者は、それぞれ67人(3人減)と61人(17人減)で、東日本大震災で被害の大きかった3県の内定者数は、軒並み前年度を下回った。
一方、東北地方で唯一内定者数が増加した秋田は、16人増の67人だった。
初期研修を行う意味をきちんと説明できず、明確に違法な労働状況を放置する大学を忌避する姿勢は明確に定着しました
これから来る定員増の世代が増えれば、割合としては減少しても絶対数自体は大学が増えるかも知れません
しかし、人的資源を相対的に喪失しつつある大学に、本来の役割を果たす能力が残るとはとうてい思えません
また、大学別のランキングを見ても黎明期の5年間とはまた違った流れができつつあるようです
印象としては、首都圏の私大は自学者の残存率を高めてマッチング率を上げています
一方でフルマッチの常連だった順天堂はその座を慈恵に譲っています
慶応も中堅が板についてしまった感じですね…
ブランドだけではない、中身のある大学改革を行えるかが今後の試金石になりそうです
ところで、先日の社会保障審議会で少々気になる会話が漏れ出しています
地域医療支援センターへの異論相次ぐ
27日の会議ではそのほか、医療提供体制のうち、地域医療支援センターや在宅医療、療養病床について議論。
地域医療支援センターとは、医師不足対策として厚労省が2011年度から予算化した事業。都道府県が「コントロールタワー」となり、地元大学や地域の医療機関と協力しながら、医師確保、医療機関への医師派遣などを行う事業。現在、9県で先行的に行われている。厚労省は、この地域医療支援センターを医療計画に位置付け、都道府県が責任を持って医師不足解消に取り組む体制を提案。
だが、この案については、様々な視点から異論が続出。邉見氏は、「そろそろ都道府県に丸投げするのではなく、国が直接、実施しなければいけない。この10年、幾つかの取り組みがあったが、医師の地域偏在も診療科偏在も解決していない。マッチング的な強制的な取り組みなどを検討しないと、地域や診療科の偏在は一向に改善しない」と述べ、国の関与を求めた。
中川氏は、各県の地域医療支援センターの多くが、数名程度の医師の派遣等にとどまっている現状を指摘、「ほとんど効果がなかったと読める。地域医療支援センターは、(行政の)自己満足ではないか。派遣する医師もいないセンターが機能するのか。根本的なことも議論してもらいたい。医師は、臨床研修を行った地域に残るケースが多い。研修の希望者と募集人数をほぼ一致させることが偏在解消策の一つ」とした上で、「医師不足の問題については、医学部教育、医師国家試験、臨床研修などを総合的に議論すべき」と指摘した。
これに対し、厚労省医政局指導課長の井上誠一氏は、「この事業は今年度から始まったばかり。また各大学の地域枠の医学生が卒業するのは先のことであり、今後の取り組みをぜひ見てもらいたい」と弁明した。
東京大学大学院教授の永井良三氏も、「若い医師の専門医志向があり、また今の日本の医療は多くの専門医を集めないと成り立たなくなっている。こうした点を根本的に変えていかなければいけない。そもそも今の専門医の養成の仕方でいいかという問題もある。地域ごとに専門医を養成していくなど、様々な問題を国レベルで考えるべき」と、総合的な検討が必要だとした。
地域医療支援センターの法的な立場はまだはっきりとしていませんが、他の医療者の発言に対して、厚労省の回答は明らかに浮いています
要するに、地方が若手医師に嫌われる根本原因には一切触れる気はなく、地域枠卒業者が増えれば自然と地域医療支援センターの参加医師は増え、医師不足は解消されるという考えととれますが、現時点ではそれを担保するネタはありません
これが脳内お花畑の妄想なのか、何らかのバックグラウンドとなる密約があるのかは現時点では想像することしかできませんが、マッチングで地方大の一人負けが続けば、大学の身売りもあり得るでしょう